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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第4章 動き出すとき
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第9話 アトモス公国▷▷行ってきます!!

 ーー猫族(アイウラ)の人たちとコボルトさん達に、お礼を言った。


 カレンさんにも宜しく。と、お伝えしておいた。


 シロくんはコボルトさん達から、がんばれよー! 未来の魔法使い! などと、茶化されていた。


 うんうん。いいねー。そうゆうの!


 と、私は思いつつ、あったかく見守った。


 そしてーー、私と飛翠は旅に出る前に街のアイテムショップ。更に武器屋に立ち寄った。


 本日のイベント!! それは、シロくんのロッド買わないと! である。


 そうなのだ。シロくんにロッドを持って貰わないといけないのだ。


 アドリア大公妃から……旅に必要な物を買いなさい。と、私達は2万コアも貰ったのだ!


 なんていい人!! お陰様でマジックメイトいっぱい買えました!!


 私と飛翠。そしてシロくんで、街中の武器屋に入ったのだ。


 シロくんは大はしゃぎで、ショップの中を見回している。


 飛翠は……放置で。


 壁に立て掛けてある剣を、見ていた。


 ショップの中はけっこう広い。色んな武器が、置いてある。カウンターにはおじさん。


「いらっしゃーい」


 にこやかな顔をしていた。


 私とシロくんは、ロッドが並ぶ所。その前に立つ。長いのもあるし、短いのもある。


「どれにする?」

「でも……僕。あんまり金貨ないです。」


 シロくんは悲しそうな顔をしていた。


 私はうふふ。と、笑ってみた。


 シロくんの前にしゃがむ。


「おまかせあれ! ここはおねーさまがプレゼントします! シロくんにはコカトリスの時に、助けて貰ったからね。そのお礼。」


 私がそう言うと、シロくんは蒼い瞳をまんまるくさせた。


「え? いいんですか!?」


 はい! 待ってましたー! そのリアクション! この嬉しそうな顔! 


 うんうん。これよ! このカワイイ顔が見たかったのよ! おねーさんは。


 なんかおばーちゃんが、孫にプレゼントする気持ちがわかる。


「いいに決まってるじゃーん!」

「でも……」


 シロくんはカワイイ! あらあら。やっぱり。渋った。そうなの! このリアクションもわかってます!


 俯いちゃった。


 私は飛翠をチラ見した。


 だが、飛翠は真剣に剣を見ている。全くコチラに無関心。


 おい!! 打ち合わせしたろーが!!


「飛翠く〜ん。」


 顔が引き攣りつつも、そう呼んだ。ちょっと優しく呼んでみた。


「あー……」


 飛翠は頭を掻いた。


 ちょっと気まずそうにしつつも、やって来たのだ。


 早よ! 来いや!!


 シロくんはきょとん。としているが、


「シロ。この女が買ってやる。なんてのは二度とねーぞ。ケチだからな。」

「違うだろ!!」


 私は思わず立ち上がってしまった。


「……うるせーな。わかってるっつーの。」


 飛翠は少々……不機嫌になりつつも、しゃがんだ。シロくんの前に。


「礼だ。助けて貰ったからな。俺達の気持ちだ。」


 と、渋々ではあったが言った。


 よし! 打ち合わせどーり! そうそう。優しい感じでナイスです! でもそこでちょっと微笑むとかしてほしいな。


「ですが……」


 シロくんは頑固であった。頑なだ。だが……


「うるせーな。礼だ。って言ってる。ウダウダしてねーで、選べ。買え。」


 飛翠は思いっきり睨みつけたのだ。


 あちゃ〜〜。逆効果だよ。も〜〜。短気だな。


 私は頭を抑えた。


「わかりました。」


 え!? 納得しちゃった!? シロくんって押しに弱いの!?


 私はシロくんが、ロッドを選び始めたのを見ると、驚いてしまった。


 たくさん並んでるロッドから、私とシロくんで選んだ。私の好きな色。蒼。シロくんは、それを選んだのだった。


 選んでるときも、お金を払うときもロッドを持ってずっとにこにこしてた。


 嬉しそうだった。




 それは、店を出てからも変わらなかった。私達の前を歩きながら、ロッドを眺めている。


「長くね? 短いのもあったよな?」


 飛翠はシロくんのロッドを見て、そう言った。シロくんより高い。


 でも、シロくんは


「いいんです! これがいいんです!」


 両手で持ってやっぱりにこにこしながら、言ったのだ。


 蒼いロッドの先は、十字架(クロス)の様な槍になっていた。その下に、魔石をつける所がある。


 シロくんは“紅炎石”。“碧風石”。“白氷石”を選んだのだ。使ってみたい魔法だそうだ。


 どうやらこの世界のロッドには、武器として使うものが多いみたいだ。


 さっきの武器屋にはまるで曲刀みたいなカタチの刃。それが先端についていたのもあった。


「ありがとう御座います!! 蒼華姉様! 飛翠さん!」


 シロくんはくるり。と振り返るとそう言った。


 とてもにこやかなのだが、私と飛翠は避けた。


「アブねーな。」

「シロくん。いきなりはやめようか?」


 そうなのだ。ロッドを持っていない。その感じで振り返ったので、ぶんっと振り回す様になってしまったのだ。


「あ……ごめんなさい。」


 シロくんはてへっと笑っていた。


 あ〜カワイイ! なんてカワイイんでしょう! この生き物!!



 ▷▷▷



 私達は、ひとまずアドリア大公妃のいる館に、戻った。公邸と言うそうだ。


「カルデラさんは? あれ? ローズさんは?」


 戻ってくると、そこにはアドリア大公妃。それに、ミリア達。更にグリードさんとハウザーさん。ネフェルさん。


「ローズさんと一緒にフィランデル王国に行ったよ。だから、旅のメンツには入ってなかったんだ。」


 教えてくれたのはラウルさんだった。


「フィランデル王国? あ。さっきの人たちと?」


 私達は王城のエントランスにいる。


「そう。ちょっと……話があるんだって。」


 ラウルさん……う〜ん?? なんか隠してるな? この顔は。なんかとっても目を反らしてるけど? わかりやすいんだよね。この人は。


 ウソがつけないのだ。絶対。浮気がバレるタイプ。


「ラウルさん。もしかして戦争になるの?」


 私がそう聞くと、ラウルさんの美し〜い顔は、ビクッ! と引き攣った。


 物の見事に引き攣った。


「そ……それはどうかな? 何とも言えないけど……」


 ピクピクしてるけど? 顔! ほっぺた!


輝石(クリュス)か。アレが欲しいんだろ? あのちょび髭オヤジは。」


 と、飛翠はそう言ったのだ。


 すると黒髪に碧の瞳をしたちょっと、キツそうな美人。アドリア大公妃は真っ赤な扇子を揺らした。


「それはそうだろう。強力な力と言うのは、誰でも喉から手が出るほど欲しい。フィランデルにしてみれば、イレーネ王国を叩き潰すいい“武器”になるからな。」


 何とも……毒々しい言い方だ。イメージでそう聞こえるだけかな? 元愛人とか聞いちゃったから、余計かも。


 いかん。偏見じゃ!


「武器って……。それは元々……竜族のでしょう? 返さないといけないんじゃないの?」


 ファイアードラゴンは、言ってた。使わないのは、イシュタリアを傷つけたくないから。なのに……人間は……、奪っただけじゃなくて……戦争の、兵器にしようとしてる。


 そうゆう事だよね?


「戦争で勝ち取ったモノだ。返す気などないさ。イレーネ王は。それに奪えるモノなら奪いたい。フィランデルだけじゃない。他の国も思っている。脅威になるからね。」


 アドリア大公妃は笑っていた。その笑みは、どうゆう意味なのかわからないけど、何だか……イヤな感じがした。


「ま。とりあえず行かね? ここにいてもラチあかねー。」


 飛翠は隣でそう言った。


「そうですね。行きましょう。」


 ネフェルさんだ。微笑んでいた。


「蒼華! アズール魔導館で逢いましょ! 魔導士になる為に!」


 ミリアはアッシュピンク。その長い髪を揺らしながら、私の前に来るとそう言った。


 マリーゴールドの眼が、とてもきらっとしていた。


「うん! 魔導館で!」


 私とミリアは握手した。


 ちらっと……“王子様”を見てしまった。蒼いセミロングの髪をしたワインレッドの眼。


 セレストさん……魔導士の。ゆるふわなローブが何ともお美しい!


 にこっと微笑んでくれた。


 あかん!! それダメ! その微笑みは罪!!


「え!? ちょっと蒼華!!」


 私はふらっと立ちくらみがしたのだ。へなへな〜と、しゃがみこんだ私に、ミリアは声をかけたのだった。


 げし!


 私は後ろから蹴り飛ばされた。


 背中を。


「まじ。殺すぞ。お前」

「痛い……」


 飛翠くん……手加減して。私はオンナです。


 私は床に倒れながら思った。この人……浮気したら、まじおっかなそう。と。



 ✣


「行ってきまーす!!」


 そんなこんなで、私達は旅に出発です! 見送ってくれたアドリア大公妃に、大きくぶんぶんと手を振った。


 扇子ひらひら返してくれた。


「ネフェルさん。どこ行くんですか?」

「この近くに“ウラヌス鉱山”があります。そこに、“大地の支配者タイラント”がいます。」


 と、ネフェルさんはアトモス公国から出ながら、そう言ったのだ。


「大地……」


 タイラント? 何だか強そうだな。


「飛翠は“ガルパトス”。剣豪がいる。」


 そう言ったのはハウザーさんだ。


「剣豪?」


 飛翠はハウザーさんを見た。横目だが、とてもやる気満々。


 イレーネ王との一戦は、彼に火をつけた。元々ついてたんだけど……さらに、ついてしまった。


 ゴウゴウ燃えてるのだ。その胸中は。悔しさで。


「ああ。そうだ。鉱山の中にいる。」


 ハウザーさんはにやっと笑った。またコッチも強そうだ。ハウザーさんのこの悪意っぽい、笑い方。なんとなくわかる。


「飛翠。ちょっと会わねーうちに、なんかカッコよくなったな? 筋肉ついたんじゃねぇか?」


 蒼いコボルトのグリードさんは、飛翠の隣で二の腕をにぎにぎと、握っている。


「そうか?」

「ああ。すげぇぞ。筋肉。がっちがち!」


 なんなんだろう? やっぱり。グリードさんとは合うんだな。触られても怒らないし。それに、カッコいいと言われて、ちょっと嬉しそうだし。


 ハスキーに似てるから……“隼人くん”には、似てないけど、感じが似てるのかな?


「いいな。グリード。俺が触るとうるせぇぞ。コイツ。触るな! ってなもんだ。師匠なのによー。」


 あらまー。ハウザーさんまで。飛翠の脇で二の腕を、触りだした。


「触るな」

「ほらな?」


 それを振りほどく飛翠。


 へへ。特権だな。 と、グリードさんは笑っていた。


 何か不思議だ。こんなふうに飛翠にちょっかい出す人なんて、いなかった。


 でも楽しそうだ。飛翠も。


 と! 言う訳で、私達はウラヌス鉱山に向かって突き進むのであった!


 心機一転! 魔法集めに奔走します!

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