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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第4章 動き出すとき
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第7話 闇魔石スゴすぎでしょ!?▷▷どーすればいいの!?

 ーー私と飛翠はロッドを掴んだままだ。


 草原ではまだイレーネ国の騎士たちと、アトモス公国の兵士たち。


 みんな……戦っている。


 真紅の鎧。ブラウンの少し長めの髪。それが、この涼しい風、その中で靡く。


 息切れなんてとんでもない! 飛翠にちょっと傷つけられた鎧。それぐらい。彼が、この戦いで負傷って言うのをしたのは。


 私なんて……ぜーぜー。はーはー。言ってますよ。隣に飛翠がいて、支えてくれてなかったら、倒れますよ!


 あー。一気に疲労感が……。


「もう終わりか? 回復薬はどうした? 待っててやるよ。」


 イレーネ王はにやっと笑ったのだ。


 まー! なんとカワイクない言葉!!


 イラっとするわ〜! まじで殴りたい! 飛翠じゃないけど、ぶっ飛ばしたい!


 イレーネ王は全然ヨユー。そんな表情だ。更にこの上から目線の態度!


 こうゆうのを挑発って言うんだな。うん。覚えておこう。


「飲むわよ! 言われなくても!」


 私はそう怒鳴った。


 硬直状態? そう言うんだっけ? イレーネ王は、大剣握り私達をまるで“バラエティ番組”でも観ているかの様だ。


 楽しんでるんだ! この私の弱々な感じを! それぐらいはわかる! バカにされてることぐらい。


 飲んでさっさと撃ってこいよ。死ぬまでどーぞ。的な!!


「あの黒いガードだな。アレを崩せれば、一撃。くれてやれるかもな。」


 飛翠は蒼い小瓶。マジックメイト。それをごくごくと飲む私の隣で、そう言ったのだ。


 なんか今の状況……。リング脇のセコンドと選手みたいだな。


 とか。何だか思えるのも、こうして飛翠が傍にいるからだろうな。変な安心感あるんだよね。


「でもさー。どうすればいいの? 言っとくけど。私の魔法は効かないよ?」

「わかってるつーの。俺の剣技もだ。」


 おやおや。認めた!? 自分のも!? あら。珍しい。


 でも……飛翠は言ったんだ。私の顔を真っ直ぐと見て。そのキレイなライトブラウンの瞳で。


「何とかするしかねー。俺達で。」


 この言葉は……あの、コカトリスと戦った時も言っていた。


 飛翠はいつも諦めない。負けず嫌いもあるけど、違う。諦めたら終わり。それを知ってるんだ。


「あ!」


 私はとても昔……ほどではないけど、思い出した。


 カルデラさんの言っていた言葉。


「飛翠。アレ。出来ないかな? どうやってやるのかわからないけど。」


 私が言うと、飛翠は驚いた顔をした。


「何だ? ワケわかんねー事言うなよ。お前のバカッぷりに付き合ってるヒマはねーぞ。」


 飛翠はそう言いながら、大剣を振って待っているイレーネ王に、目を向けた。


 まー。ヨユーだこと!


「“魔法剣”」


 そう。ここに来た時。あのカワイクないエルフに会った時。その話を聞いたのだ。


 魔法使いと戦士。二人の力を合わせる。そんな事を言っていた。


「は?」


 飛翠は私を見た。でも、直ぐに大剣。それを見たのだ。


「……魔法と剣を合わせるんだったよな?」


 そう言って、大剣を両手で握った。


 えっと……確か。


「魔石をつけた武器と、魔力。それを合わせるみたいな事、言ってた。」


 私は飛翠にそう言った。


「俺がつけてて、蒼華が継承してるのは……“紅炎石”か。」


 飛翠は剣の魔石。紅炎の魔石を見つめた。


「うん。紅炎石の力なら何とかなるかも。」

「あのガードが、魔法剣も抑えるかもしんねーが、やってみるしかねーな。」


 飛翠はそう言うと大剣を、ぶんっ。と、振り下ろした。


 うわ! 近っ!!


 離れてやってよ! アブないな!


 いきなり隣で振り下ろされたので、ビックリしてしまった。


「ちょ……ちょーっと待って! どーすればいいの!?」


 飛翠はさっさとしろ。的な感じで、前に出た。


「知るか。何とかなんだろ。俺とお前なら。」


 いやいや! とても嬉しいお言葉ですが! そんな簡単に……。


 あ! でも待って。


 今までのハナシからすると、魔法は心。強く思うこと。


 それに……相手は飛翠だ。


 何とかなるかも。コラボとかなら……。


 そう。私は本当に行き当たりばったり。これで何ともなんなかったら、ごめんなさい! みたいな気持ちで、飛翠にロッドを向けた。


「“紅炎の剣(ファイアーソード)”!!」


 でも、強く念じた。何故。この言葉が出たのか。それは、完全な思いつきだ。


 紅炎の魔法。それが……“ファイア”だから。


 ドンッ!!


 それは私も驚く程。ロッドから放たれたのは紅炎の炎の玉。


 飛翠はそれをジェット噴射みたいに背中に、受けると紅炎に包まれた。


 飛翠の大剣。それすらも炎に包まれたのだ。


 そのまままるで、飛んで行くロケットだった。


 イレーネ王に突っ込んだのだ。


「黒の鉄槌!!」


 飛翠は更に炎の剣。その超高速なスピード。イレーネ王が、黒い光の玉。

 それを放つ余裕すら与えなかった。


 そう。“闇の檻籠(ダークスフィア)”。あの、魔法ガードだ。


 紅炎の炎に包まれた剣は、飛翠の剣技。脳天直撃の技。斬り降ろし。


 それを放った。


「ぐぅぅ!!」


 避ける間もない。イレーネ王は炎の剣に斬りつけられ、身体が紅炎に包まれた。


 飛翠はそこから


「“バックグラウンド“!!」


 裏拳。身体を反転させ剣を薙ぎ払う。


 炎の渦。それはまるで竜巻。イレーネ王の身体を包み、浮かせ更に切り降ろし、切り払う。


 その攻撃すらも炎の刃。真紅の鎧にピシッと亀裂が走る。


 いつもの剣技。その数倍。


 イレーネ王は回転しながら、炎に包まれはじめて、地面に倒れたのだ。


 やった!? 今度こそ! 一発喰らわせた!?


 だが、彼は立ち上がる。


 ゆらっ。 その威圧感満載な身体は、立ち上がった。全身が炎で焼かれ焦げた熱なのか、それともメラメラと怒り。


 それなのかわからない。


 でも、全身から怒りを放っていた。


「魔法剣。発想はいいが軟弱だ。その程度では、加護を受けてる者には、通用しない。」


 イレーネ王は大剣を振り上げた。


 真紅の眼。それが光る。


 ウソ! 通用しないの!?


 凄そうだったけど!


「“闇の冷炎(ダークフレイム)”」


 振り下ろされた大剣。


 そこから放たれたのは、黒い炎。冷たい炎の熱風。私達は吹き飛ばされていた。


「蒼華ちゃん!」


 ネフェルさんの声が聞こえる。


 痛い!!


 私の身体は引きちぎられそうだった。痛い。あっちこっちが、痛い。


 動けない……。


 飛翠……。私より近くで受けてた。


 私は首だけ。草原の上で向けた。


 目の前には飛翠がいる。でも、わからない。顔が見えない。倒れてるけど。アッチ向いてる。


 飛翠……。


 声が……出ない。どうなってるんだろう? 私の身体……。


 首は動いたから繋がってるんだな。きっと。


「“水流の雫(アミナス)”!」


 その声が聞こえた。


 シロくん。光……。柔らかくてあったかな光。それが私を包むのがわかった。


 これは……水流の回復魔法。いつの間に使える様になったの? シロくん。


 私はその温かな光を感じながら、そう思っていた。


「コボルト。つくづく気に入らん連中だ。」


 イレーネ王の声が聞こえた。


「僕は! この人達が好きです! 貴方は嫌いですが!」


 え? シロくん??


 私は身体の痛みが消えてゆくのを感じながら、シロくんの声を聞いていた。


「人間が好き? 奴隷の分際で何を言うか。」

「違う! もう奴隷じゃない! 解放してくれたのも人間です!」


 シロくんが、怒鳴ってる。


 あの可愛いシロくんが。


「直ぐに奴隷に戻る。お前らコボルト、猫人(アイウラ)。人間に飼われてるのがお似合いだ。」


 イレーネ王の声が聴こえた。


 かっちーん。


 私の頭にとてつもない怒り。それが響いた。


 どうも。飛翠も同じだったみたいだ。


 立ち上がったら、飛翠も立ち上がってた。


「「ふざけんな!!」」


 同時だった。


 私と飛翠は怒鳴っていたのだ。


「寄り添ってんのよ! それぐらいわかんないの!? 一緒に生きてんの!」

「お前みてーのがいるから、クソが減らねーんだな。ブッ潰してやるよ。」


 と、私達が怒鳴った時だった。


 “それが………貴女の答え? 今なら帰れるけど”


 え!?


 私の声だ。


 この頭の中……どこからともなく響く声。


 “どうする? 帰る? それとも……貴女は、この世界の為に、命を賭ける??”


 え??


 私……なんだけど、とても辛辣。


 命……。


 私は後ろにいるシロくん。彼を見つめた。


 真っ直ぐと怒り。それをイレーネ王に向けた顔をしている。


 魔法使いになりたい。彼のその意志は、色んな事があった。その答えなんだ。


 危険な場所に一人で行って、その意志の為にブレない。


 私はーー、ロッドを握りしめた。


「帰らない! 倒してやる! こんな腐った男!!」


 私は怒鳴っていた。


 カッ!!


 私と飛翠。ロッドと大剣は光に包まれた。


 蒼いロッド。それは白い光に包まれ、紫色に変化した。持ち手は変わらない。でも先端は形状が変わった。


 槍。紫の槍だ。その周りを鳥が翼を広げた。そんなカタチの銀色の両翼。それも槍を囲む様に広がった。


 円形の銀色の両翼。その中に鋭い槍。根元には魔石を埋め込める逆三角形のカタチ。


 紅炎石、白氷石、紫雷石。私はそれを埋め込んでいる。それが煌めいた。


「まじか……」


 隣の飛翠を見れば、紫色のまるで宝石みたいに煌めくその刃。でもそれは曲刀。大きな刃だ。


 カマみたい。刃が大きいけど。


 相変わらず柄は、テニスのラケット。そのグリップみたいだけど。でも、長く細い。シンプルな形状で、柄には逆三角形の魔石を嵌める所がある。


 飛翠は、碧風石と紫雷石、紅炎石。それをつけている。


「これって……“進化”!?」


 私はそう言った。


「そうじゃねーの?」


 飛翠は大剣を持ち……当たり前の様に、振り下ろした。


「なるほどな。風の抵抗がねーな。完全な“殺る刀”ってことか。」


 は??


 なんですって??


 私はその危うい発言にも驚いた。が、


「ほぉ? 救世主とは名ばかりじゃない様だな。面白い。試してみよ。」


 イレーネ王は大剣構え、そう言ったのだ。


 私達の戦いはーー、まだ終わらない。

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