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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第3章 仲間を紡ぐ
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序章 コボルト村▷▷初!買い物!お金について

 ーーコボルト村にて、シロくん❨紀州犬に似た顔をした白いわんこ❩を待つ間。


 私はようやく“ショップ”とやらを覗く時間が出来た。


 露店みたいな場所だけど、木のテーブルの上にはキラキラとアクセサリーが並んでいた。


 後ろにはグレーの三角テント。

 ここの村に出店みたいな感じで、訪れるおじさんのやるお店だった。


 ターバンみたいな緑の布を巻いた、上半身裸のなんだかランプの精みたいなおじさん。

 白髪は短いのかな? ターバンしてるから見えない。でもその目は、綺麗なコバルトブルーだった。


 肌は真っ黒。日焼けがとても強調されている。


 ただ、やっぱり胡散臭いんだよね。

 この白いチョビ髭。

 鼻の下で、両端ピローンと上がってるんだよね。なんだろ? これは狙ってんのかな?


「どれでもいいモノだよ。」


 あ〜……話し方も胡散臭い。

 シルクっぽいこの紫色のズボンですら胡散臭い。


 私は蒼い石のネックレスを手にとった。

 凄く綺麗な蒼だ。海の色。


 私は蒼が好きなので、どうしても見ちゃうんだよね。


 ん? 表示してある。

 木の板には金額が掘ってあった。


「850コア? ん? これって……」


 え? 金貨一枚で1万コアだから……。

 てことは……1コア……1円計算になるのかな?

 日本と同じ感覚でいけそうだな。


 他のを見てみると何に使うのかは、わからないけど真っ赤な羽。

 小学校の時に、なんか貰った“緑の羽と赤い羽”に似てる。これはかなりリアルだけどね。

 鳥の羽みたいだけど。


「30コア? 30円ってこと?」


 私は羽の金額を見ながらそう言った。


「そ。30コア。そっち850コア。」


 と、白い髭をぴんっと指で伸ばすおじさん。

 とう見ても……60歳はいってそうだ。

 ちょっと細いのが心配になる。


 上半身裸だからアバラが浮いてるのが、丸見え。


 私が左手に持つ蒼い三日月の様な形をした石の、ネックレスを指差した。


 ちゃんとチェーンなんだな。



蒼華(そうか)。行くぞ」


 と、そこに飛翠(ひすい)が登場。


「あ。シロくん。準備できたの?」


 飛翠は隣でしゃがむ。

 店の前のテーブルを覗きこむ。


 そう。おじさんは座って営業しているので、低いのだ。なので、私もしゃがんで眺めていた。


「お前。まさか買う気か? 値段は書いてあるが、“品名”がねーよな?」


 飛翠が私の持ってる石を見ながら、ため息ついたのだ。


「これから聞くところです。」


 私は、おじさんに聞いてみた。


「ねぇ? これって何のアクセサリーなんですか?」


 と、蒼い三日月の形をした石のネックレスを、おじさんに見せる。


「それは“暗視(サテライト)”のネックレスだ。」


 と、おじさんはそう言った。


暗視(サテライト)?? なんですか? それ。」


 サテライトってなに? ライトってついてるから、明かりでも灯すのかな?


「“敵の苦手”がわかるアクセサリーだ。」


 おじさんはそう言ったのだ。

 その髭をぴんっと伸ばすと、びよーんと揺れる。


 気になるな。それ。


「敵の苦手? あ。もしかして“属性”とかですか?」


 私がそう聞くと、おじさんはふふっと笑った。


 え? なにその不気味な笑みは。


「そうそう。そんな感じ。」


 うんうん。と、頷きながらおじさんは言ったのだ。へらへらとした笑いを浮かべながら。


 がくっと。私は力が抜けてしまった。


 ちょっと〜……なんなの? ホントに。

 この世界の人たちっていい加減が、モットーなの?


「買うならさっさとしろよ。使えばわかるだろ。」


 飛翠はため息つくと、立ち上がったのだ。


「う〜ん。買ってみようかな。始めてのアクセサリーだし。」


 私は、カルデラさんが用意してくれた、腰元のベルトにつけておける”巾着“を、開く。


 この中にお金が入っているのだ。まだ金貨三枚なので、魔石も一緒に入れてある。


 お金が増えたら、魔石用の巾着欲しいな。飛翠のことだから、魔石を集めるだろうし。


 アクセサリー作成に興味持ってたもんね。


 にしても……。

 なんだか目の前のおじさんが、とても嬉しそうなのは気の所為だろうか?


 騙されてないよね?


 巾着は濃い目のブラウンだ。

 革製で、破れにくいらしい。これは猫人(アイウラ)の人が、手作りで用意してくれたらしい。


 こんな事ならカレンさんの所で、ショップを覗くべきだった。


「蒼華様。どうされたんですか?」


 と、そこに“博識であろうシロくん”が、登場したのだ。


 あら〜。カワイイ。

 ちゃんとブラウンのマントつけて、ネイビーのシャツに黒いベルト。シャツは長めが好きなのかな? ふとももまであるけど。白いズボンに、ブラウンのブーツ。


 なんてカワイイんでしょう。

 サスペンダーがないのが、残念だけど。


「シロくん。“暗視(サテライト)”ってなに? なんかこのアクセサリーつけると、敵の苦手がわかるみたいなんだけど。それって属性のこと?」


 私は魔導書とやらを、読んでいるシロくんに聞いたのだ。


 するとシロくんは、首を傾げた。


暗視(サテライト)ですよね? それは遠くにいる敵の“弱点”がわかるものですよ。勿論。属性もわかります。つまり後衛です。魔法使いには有利なアイテムですが……」


 と、シロくんはそう教えてくれたのだが、私の事を見ると、露店のテーブルに視線を向けた。


「なに? それって持ってた方がいいの?」


 と、私はテーブルの上をふんふん。と、眺めるシロくんにそう聞いた。


 蒼いお目々で真剣に眺めている。


 ブローチや、ネックレス、それにリングもある。それから、スカーフかな? そんなのもあるけど。


「僕としてはそのアクセサリーよりも、“コレ”をオススメします。」


 と、シロくんは並んでいる指輪を手にしたのだ。


 それは、銀の装飾が施された太めのリング。

 “水色の長方形の石”が埋め込まれていた。水色の石はなんだか、アクアマリンみたいだ。


「これ? でも1210コアだよ?? 高くない??」


 私はちょっと退いてしまった。

 流石に千円超えられるとね〜……。あ。千コアか。


「これは“回復魔法”をバトル中に、一度だけ使える指輪なんです。この石だと“水魔法”ですね。この値段なら安いですよ。」


 と、シロくんは私にリングを見せたのだ。


「回復魔法?」


 私が聞くと、シロくんは頷く。


「はい。魔石で使える魔法は、攻撃魔法だけなんです。回復魔法は、魔法使いにしか使えないんです。❨魔道士は特別枠なので忘れて下さい❩このリングは、水魔法の一つ“水流の雫(アミナス)”を、使えます。」


 と、シロくんは私にリングを差し出しながら、そう言ったのだ。


「へぇ? あ。それって傷を治すってこと?」


 私は先ず……そこから聞いた。

 回復とは言っても……魔力だの技力だの、傷治療だのありそうだよね。


「そうです。体力回復と傷を癒やす力です。アイテムを使っているタイミングが、無い時などに役に立ちます。特に“戦士”の方は、前衛で戦いますから、魔法使いがサポートするのが効率がいいんです。」


 と、シロくんは丁寧に教えてくれたのだ。


 ふむふむ。なるほど。

 たしかにね。戦いの最中に、アイテムとか出したり飲んだり、食べたりは難しいよね。


 そっか。回復魔法か。


「そのリングをつければ、誰でも使えるのか?」


 と、後ろで相変わらず偉そうな飛翠が、腕を組みながらそう聞いたのだ。


「はい。これはアクセサリーですから、考え方は魔石と同じです。装備すれば誰でも使えます」


 と、シロくんは偉そうな飛翠の方を向いたのだ。

 すると、飛翠は


「蒼華。俺のも買え。ついでにお前も。シロ。」


 と、そう言ったのだ。


 え!?


「いいんですか?? 僕も。」


 と、シロくんは目を輝かせたのだ。

 その愛らしい顔がますますにこにことなった。


「あー。いいんじゃね?」


 飛翠が……照れてる。

 こんな飛翠ははじめて見た。


 気まずそうに頭なんか掻いてるし。


 1210コア×3。と、3630コアか。


「おじさん。金貨でもいいですか?」


 細かいの持ってないからな。


「おーいいよ。3630コアだから、6300コアお返しね。」


 金貨を受け取るとおじさんはそう言った。


 ん?


「コラ。誤魔化すな! 6370コアだ。」


 ギロッ。


 私は即座に睨みつけてやった。

 これだから! 困るんだよね。女だと思って舐めてんだから。


「はいよ〜……お嬢ちゃん。おっかないね。目が本気だね。」


 おじさんはひげをぴくぴくさせながら、そう言った。それもあんまり悪びれてない。


 へらへらしてる。


「当たり前だ! お金は大切なんだから!」


 と、私は手を差し出した。

 おじさんは銀貨六枚、銅貨三枚。それから紅い石を7つ。掌に置いたのだ。


「ん? なんで石?」


 私は右手に乗っかるその紅い石を摘む。

 なんかキラキラしててルビーみたいだけど。


 紅い石は、ダイヤ型だった。でも小さい。

 小石みたいだった。


 指で摘めるサイズだけど。


「その石は“換金”出来ます。ただし、二十からなんです。それで、銅貨一枚です。」


 と、シロくんはそう教えてくれたのだ。


「換金? あるのか?」


 飛翠がしゃがむ。


 私の手に乗る紅いダイヤ型の石を、手にした。

 キラッと光る。

 やっぱりルビーみたいに見える。


「はい。この村にはありませんが、大きな街には換金ショップがあります。その石は、“原石”なんですよ。なので端数通貨として利用してるんです。商人は、旅先でそう言った原石の欠片をよく目にするんです。だから、使い道が無いかと考えたそうですね。」


 シロくんてば……“歩くイシュタリア辞典”みたい。ウィキ○○ィア入ってる。

 凄いんだけど。


 私は感心してしまった。


「その原石集めて“加工”する。そうすると“原料”として使える。だから換金してくれるんだ。」


 おじさんはそう教えてくれたのだ。

 なんだか口調がちょっとおかしいけど。


「なるほどな。おもしれーな。この世界」


 飛翠はまじまじと紅い石。魔石の原石を眺めたのだ。


 私は巾着にお金と石をしまう。


「蒼華さん。“水流の指輪”です。」


 と、おじさんから指輪を受け取ると、私に差し出したのだ。


 もう。なんでこんなにカワイイんでしょうか。

 指輪を両手で持っちゃうとか。可愛すぎ!


「ありがとう。」


 私は受け取ると右手の中指に通した。

 うん。ぴったり。


 あ。カルデラさんとかはいいのかな?

 聞いてみよう。


 私は銀色の指輪を眺めながら、なんだかちょっとお姫様気分だった。


 こんな宝石❨魔石の原石❩ついた指輪なんかなかなかつけられませんからね。女子高生じゃ。

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