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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第2章  私達の逃亡生活は、波乱万丈!
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第2話 ウルスの洞窟▷▷ヤバい奴!!

 ーーウルスの洞窟は、蒼と白が入り混じった岩壁に覆われていた。


 なんだか洞窟と言うと、じめっとしててコウモリとかいそうなイメージだったけど、凄く綺麗な場所だった。


 それに、カルデラさんから教えて貰った……魔石の“原石”が、凄くキラキラしていて岩壁から、まるで、宝石みたいにひかってる。


 神秘的で不思議な所だった。


 最初こそは広くて歩きやすかったけど、奥に行けば行くほど、道は曲がりくねったりしてきた。


 狭さはそんなに変わらない。

 けれど……さっきから異様に寒い。

 なんか……真冬に冷凍庫を開けた時みたいな……ひやっとするあの寒さ。


 手も少しかじかんでる。氷を掴んだ時みたいに。


 はー……


 なんだか白い息まで、出てきたけど。


「寒いよね?」

「ああ。一気に冬になったみてーだな。」


 隣で答える飛翠の口元からも、白い息が零れていた。銀の鎧を揺らしながら歩くカルデラさんは、平気なんだろうか?


 私や飛翠みたいに、マントやポンチョみたいのを着てないんだけど。

 あの鎧は“防寒”にもなってるんだろうか。


 まさか、カイロなんてないだろうし。


 と、思っているとカルデラさんが、近づいてきたのだ。


「え? どうかしたの?」


 私がそう聞くと、カルデラさんはしっ。と、口元に指をたてた。


 え? また? まさか!? 追手とか!?


 このジェスチャーは、“静かにしろ”だ。万国共通なんだな。


「ここには“ちょっと危険なの”が、棲んでおる。この奥は、その者の棲み家。少し静かに進むぞ。」


 カルデラさんは、ひそひそとそう言ったのだ。


「え……? なにそれ? ヤバいの?」


 私は自然とそう聞いていた。

 “魔物”がいる事は、わかったからだ。ここに来るまでは、今の所遭遇してないけど。


「ワシは“苦手”だ。」


 と、カルデラさんは言うと戻ってしまった。少し先を歩き案内の様に、先導してくれているからだ。


 待たせている黒馬の手綱を掴むと、再び歩きだしたのだ。


「なんなのかな?」


 私は、トーマスくんの手綱を掴みながら歩きだした。隣の飛翠も白馬を引いている。


「さあな? てか、あの“草原”にいた時は、何度か“魔物”に会ったよな?」


 と、飛翠はそう言った。


「そうね。黒崎さんと飛翠のお手柄だったね。」


 そう。“モザ平原”では、あの後、何度かウルフとやらに遭遇した。黒崎さん……あー……。えっと。

 “ゼクセンさん”と、飛翠の活躍と私のちょろっとの活躍で、撃退した。


「魔物ってのは、“神出鬼没”みてーだったよな。」


 と、飛翠はそう言った。

 吐く息が白いのがどうにも気になる。見てると寒気がする。


「うん。いきなり出てきた。」

「ここにもいても、おかしくねーってことだよな。」


 飛翠のその言葉に、私は視線を向けた。


「そうだけど……。なに? まさか会いたいとか、言わないよね?」


 声のトーンをなるべく落として、会話する。でも、洞窟だから反響する。


「つーか、だったらこんだけ歩いてて、なんで出てこねーんだ? おかしいだろ。」


 と、飛翠はそう言ったのだ。


「あ。言われてみれば……そうだよね。洞窟なんていそうだもんね。暗いし人目につかないし。棲みやすそうだよね?」

「幽霊じゃねーだろ。」


 飛翠からのツッコミを頂いた。

 これでレベルアップとかになんないかな。


「ん〜……やだ。そうゆうハナシをすると、寄ってくるんだよ? やめようよ。私。やだ。会いたくない。」


 断固拒否だ! お断り!


「だから幽霊じゃねーっつーの。」


 呆れた飛翠も、頂いた。


 右に曲がる様な洞窟の道。

 灯りはあるからまだ道もわかりやすいけど、これ。真っ暗だったら壁にぶつかるよね。


 こんだけくねくねされてたら。


 私達が、そのトンネルの様な道を曲がった時だ。


 少し開けた場所にでた。


 空洞とまでは行かないけど、視界が広がった。


 なんだかキラキラした“者”がいた。

 それも浮かんでいた。


「へぇ? 珍しい。“王国兵士”と……。ん? なんだかへんてこりんな格好だね。」


 しゃ……喋った。


 宙に浮いているそのキラキラした者ーーは、見た目からして変!


 蒼白い光に包まれたその身体。ふわふわしたスカートみたいな服。

 でもその上にも蒼い布みたいのを巻いて着ている。


 白いスカートみたいのは、羽根みたいにひらひらしてる。けれど、耳が尖っていた。


 それに、髪の毛まで蒼と白が混じってて、アッシュ系。でも……なんだか血の気が無いのは気の所為?


 美白とかの問題じゃないぐらい、顔真っ白だけど。真っ青? かな。


「出おったか。」


 と、カルデラさんはそう言うと、その腰元に掛けていた剣を抜いたのだ。


 え!? 抜いた??

 ってことは……


 隣で何やら気配がする。


「アンタもかいっ!!」


 私は思わず叫んじゃったよ!

 だって飛翠が、“大剣(クレイモア)”とやらを既に、構えてるんだもの。


「は? 魔物だろ。」


 さらっと言うな。さらっと。


「おやおや。それなりに“良さそう”なもの持ってるじゃないか。へぇ? へんてこりんなのにね。」


 きらきらと蒼い眼が、光ってる。ほっぺたに蒼い跡みたいのが、ついてるけど美人。

 三本の爪痕? に、似てるかな。そんなカタチをしたアザみたいのが、両頬についてる。


「飛翠殿。“早まるでないぞ”。こいつは“妖精(エルフ)だ。変な力を使ってくる。」


 カルデラさんは、剣を構えた飛翠にそう言ったのだ。


「魔法って言いなよ。人間」


 冷たい返しが聴こえてはきたが、そんなことよりも。



 え? ”妖精(エルフ)!? 今……そうおっしゃいました??


 確かに聴こえた。


「ほぉ。良かったじゃねーか。蒼華。会えたな。」


 飛翠の嫌味が聴こえた。

 しかも、なんだか感じの悪い顔をしている。


「ウソだね! こんなんじゃない。もっとほわほわして、カワイイんだから! こんなキツそうで、性格ワルそうじゃないんだから! それにもっと小さいし!」


 と、私は指を指してそう言った。


「失礼だね。小娘。」


 え? 


 その声が聴こえたと思ったら、なんか飛んできた。


「きゃっ!!」


 私は思わず飛翠にしがみついた。


 見れば、地面に氷の刃みたいなのが、突き刺さっていた。氷柱(つらら)みたいだ。


「なに?? ねぇ? なんなの?」

「だから“エルフ”だろ。」


 飛翠はそう答えた。


「蒼華殿! “炎”じゃ。」

「は??」


 カルデラさんの声が、聴こえた。


 なんて言いました!?


「へぇ? “魔法使い”かい?」


 ぎろっと睨まれた。

 蒼い眼で。


 凍りつきそうなぐらい、感じ悪い眼ですけど。


 しかも、右手をこっちに向けてる。


「いやだ! 飛翠! 何とかして!!」

「うるせーな。わかってるっつーの。」


 こんなところで、氷柱(つらら)で死にたくない!


「蒼華殿。大丈夫じゃ。ワシもついておるでな。」


 カルデラさんの優しい声が、聴こえてきた。

 見れば、優しい眼をしていた。


「落ち着け。とりあえず」


 その声に、私は見上げた。

 飛翠もなんだかちょっと……優しい目をしていた。


「さて。久々の“獲物”だね。ここらで、あたしのコレクションにでもしてやろうか。」


 エルフとやらの、右手が青白く光はじめた。

 私は、咄嗟だったけどトーマスくんのお腹から、ロッドを抜いていた。


 ちゃんと落ちない様に、ベルトで押さえた銀のロッドを。


 はぁ。


 落ち着け。そう。大丈夫。

 逃げるか。戦うか。それしか無い……


 と、私が思った時だ。


 ゴッ!!


 何やら物が落ちた音がした。



 その音に前を見る。


 私の足元だ。

 ほんとすれすれ。


 そこに、氷柱(つらら)みたいな氷の刃が、突き刺さっていた。


 厶……ムリかも。


 こんなので刺されたら……アウトでしょ。


「お喋りはそんなに好きじゃないんだ。さっさと氷漬けになりな。」


 冷たい眼をしたエルフは、右手を私に向けた。そこに光る青白い円の様な光。


 薄気味悪く口元をにたり。と、あげている。


 妖精(エルフ)は、お姫様の手助けをしてくれて、話し相手になってくれるとってもカワイイ存在。


 そんな概念が消えた日だった。

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