表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第2章  私達の逃亡生活は、波乱万丈!
15/131

序章  私達の向かう先。

 ーーぺちぺち。


 と、なんだか頬を叩かれている様な気がする。


「おい、起きろ。蒼華(そうか)。」


 ん〜……この声は……ガキ大将?


 私は目を開けた。


 頬を叩かれて起こされた。

 オレンジのランプの下で、見下ろす顔。


飛翠(ひすい)


 私はどうやらベッドで眠りこけていた様だ。


「蒼華殿。行きますぞ。」


 ん? この声は……。


 私はようやく起き上がった。


 部屋の中には飛翠と、それからカルデラさんがいた。カルデラさんは、銀の鎧を着たままでドアの側に立っていた。


 私は、ベッドの上から降りる。


 いつの間にか寝ていたらしい。


 すると、飛翠が私にブラウンのショールみたいなのを渡してきた。


「これ着ろ。寒みぃらしい。」


 と、そう言われたので私は受け取ると眺める。ポンチョみたいになってた。


 なので頭から被って着ることが出来た。


「あったかい」


 布なんだけど、なんか毛布にくるまってるみたいにあったかい。


 飛翠はマントみたいなのをかぶった。

 背が高いからこのポンチョじゃ意味ないんだろうなぁ。


 色は同じブラウンだったけど。


「カルデラさん。もしかして……王国の人たちが来てるってこと?」


 私はソファーに立てかけておいたロッドを掴む。

 飛翠は、大剣を背負った。

 なんかベルトみたいのをいつの間にか装着してるし。


 それで背中に背負れる様になってる。


「近づいて来てる様ですな。遠くで火が灯ったのを、この街の人間が見たそうだ。」


 カルデラさんの声は何処となくひっそりとしていた。


 すっかり夜になっていて、窓から射し込むのは月の灯りだ。

 部屋の中も薄暗い。


「この街から出るんだと。」


 飛翠はそう言うと私に、ショルダーバッグを渡してきた。学校に持っていってるバッグだ。


「どうやって?」


 と、私が聞いた時だ。


 コンコン……


 部屋のドアがノックされた。


「カルデラさん。」


 と、ドアの向こうから男性の声が聴こえた。


 カルデラさんはドアを開ける。


 なんだか緊張してきた。


 それはこの宿のフロントにいた男の人だった。左手には、ランプを持っていた。


 紅い光とオレンジの光が灯るランプだ。


 私と飛翠は荷物を持ちドアに向かった。


「蒼騎士の連中です。そこまで、多くはないですが、“サデューさん”がいます。」


 と、男の人はひそひそと小声で話をしている。


「出発の時じゃな。」


 カルデラさんの腰には重そうな剣が、挿してあった。その剣を使うんだろうか。


 私はそんな事をちらっと考えてしまった。



 宿の男の人の案内で、私達は下に降りると外に出る。表玄関ではなく裏口からだった。


 そこには既に、馬が三頭。


 ああ。トーマスくん。

 元気そうでなにより。


 私の乗ってる馬ーー、トーマスくんは茶色の毛並みがつやつやしていた。

 頭をぶるぶるとさせて、出陣の時だと悟っているかの様だ。


 戦う気はないけど。


「すまんな。“ヴィッセ”。」


 と、カルデラさんは馬を連れて来てくれたであろう。男の人にそう言った。

 馬小屋の主人であった。


 何だか心配そうにカルデラさんに、黒馬の手綱を渡している。


「本当は街の外れから出るのが、安全なんだろうが……街の中は目立つ。“ホルン峠“を越えてゆくしかないだろうな。」


 と、ヴィッセと呼ばれた男の人はそう言った。


 するとカルデラさんは


「いや。それは余りにも危険すぎる。お二人はまだ“浅い”。少々遠回りだが“ウルスの洞窟”から回る」


 と、言った。


 ホルン峠? ウルスの洞窟? 

 なんだかどっちも怪しい。


 とにかく“平坦な道”では無さそうだ。


「お気をつけて」


 と、トーマスくんに乗る私に手を貸してくれたのは、宿屋のフロントの人だった。


「ありがとうございます」


 私は、ロッドを持ちながら手綱を握る。


 それぞれ馬に乗り、出発である。



 私はヴィッセさんと宿屋のフロントの人に手を振った。


 こうして私と飛翠。

 そしてカルデラさんは、“サデュー”とやらの気配を感じながら、クレイルの街を後にしたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ