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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第18話 転生▷▷聖上界

 取り敢えず……“召喚士ティア王女”が居ないので消えた黒い騎士達……、“召喚獣ディアマントス”は復活する兆しは無いのだけれども……、その草原に代わりと言ってはなんだが、私の“父親”が降臨していた。しかも、隣にむっちゃ美人なお姉様従えて。

 何がなんだか解らないので整理しよう。うん。

私の父親……“桜木颯(さくらぎそう)”は、私が中学2年の時に交通事故で亡くなった。それも、飲酒運転で横断歩道に突っ込んで来た“暴君”……、会社員の男性……33歳の、所謂“ブラック企業”で働く人だった。

 裁判で彼は“死にたかった”。そう言ってた、それがとても印象的で気弱そうな男性だったのも覚えてる。

 ❨飛翠は担当弁護士の計らいで一緒に傍聴してる。私に他に身寄りが居ないのもあったから。❩

 “だからと言って。”ではあったし、むっちゃ引き摺って……今でもやっぱり“彼”は赦せない。

 お父さん……“桜木颯”は享年38だった。

✢✢✢✢✢

 そんな父は、娘の私が言うのもなんですが……”モテメン“なんですよ。生前の父は会社員で役職も“営業部”の部長で、異例の出世とか言われて、まぁ兎に角……この人……“天然人誑し”なんで。

 何かと言うと家に人が来てた。部下とか上司とか、近所のマダム達、商店街のおじ様達とか、そう男女問わず。バレンタインとかのチョコは、紙袋にどっさりで。私も飛翠もア然とする程で、飛翠と良く競い合ってた。まぁ、お父さん圧勝だったけど。

 あ。そんなモテメンなら再婚は? と、思うよね。でも、お父さんは、私が5歳の時に病死したお母さん。

 “桜木鞠愛(さくらぎまりあ)”さんを溺愛していたから最婚はしなかったんだ。 

 そんな……父親、桜木颯が何故かイシュタリアに居る。

 「お父さん? え……と? なんでココに居んのっ!? つか、その女神みたいな人はなん??」

 私は兎に角、気になる事を聞いた。

 髪はブロンドだけど、瞳は私と同じ、ダークブラウン。それに、相変わらずの……イケメンっぷり。

 お父さんって芸能人でも絶対やってける顔立ちしてるんだよね、哀愁漂うイケおじ俳優さん。や? まだまだ、ヒロインの上司役で恋愛対象になれる顔なんだよね。

 そう、ヒロインと拗らせ恋してるイケメンの間を、引っ掻き回すタイプ。その顔面持ってんのよ。娘が言うのもなんですが。

 「あ。紹介するよ、この人は“俺の妻”、聖上界(アサイラム)の“聖姫”フェリシア。」

 お父さんは黄金の光に包まれたまま、へらっ。と、笑って言った。更にその隣に居る三編みサイドアップの、ブロンドの髪した美女は、にこり。と、笑って言った。

 「初めまして。“聖王ネフェリティア”の娘、私は聖上界の姫フェリシア。そして、彼の妻です。」

 「えっ!?」

 私は………止まった。全てが。

 (は?? 妻っ!? つか、聖王っ!? 聖姫っ?? や? 待て待て待てっ! なん?? 入ってこん!)

 パニック状態だ。

 「お父さん! なん?? どーゆうことっ!?」

 私が聞くとお父さんと、その聖姫さん? は、柔らかく微笑んだ。

 「蒼華。その前に……。」

 黄金の光に包まれたキトンを着たお父さんは、そう言うと私と飛翠の向こう側に居る“彼等”に目を向けた。そして、深々と頭を下げた。

 「皆さん、申し訳ない。こんな娘を護って戴いて。」

 お父さんは言うと頭を上げて更に言った。

 「貴方達の動向、今迄の“状況”は把握している、我等は“イシュタリア”……つまり、地上にはほぼ関与しない。だが、“監視”はしている。」

 お父さんの眼は見た事ないぐらい……キツくて、何か怒ってる様に見えた。でも、お父さんは私じゃなくて……ネフェルさんと、ハウザーさんを見てた。そして……“イフリート達”、“シーラさん”を。

 「イシュタリアと“聖上界”は別世界だ。言うなれば……“時”の進み方も違う。けれども、同じ空間には存在出来る。不思議な“世界”だよ。我等も“アサイラム”についてはまだ何も解っていない。」

 お父さんが言うと飛翠が声を発した。

 「親父さん、つかなんでココに居んの?」

 彼は真っ直ぐとお父さんを見て言った。ああ。と、お父さんは相槌打った。

 「気になるよね?」

 「なるだろ、バカじゃねぇの?」

 お父さんの天然ちっくな返しに飛翠は即答で、イラっとした様に言った。

 すると、答えたのは“聖姫フェリシア”さんだった。

 「それについては私がお答えします。私は“猫”でした。」

 「「「は??」」」

至って真面目な顔で言った美しいフェリシアさんの1言に、私達はおもクソ呆れた顔で聞き返した。

 けれども、彼女は真面目な顔で言った。

 「いえ、猫だったんです、“生前”は。」

 フェリシアさんは更に言った。

 「“貴方達の世界”に居たんですよ、私は。けれども、ある時、私は“飼い主”と共に自決したんです。いえ、“無理心中”ですね。その後、気づいたら私は“聖上界”に居ました。」

 私はそれを聞いてフェリシアさんを見て言った。

 「待って! それ……“天国と地獄”のハナシ?? え? まさか、聖上界って……“天国”なの!?」

 昔……何かで見た。そのお話を私は思い出した。でも、私が言うとフェリシアさんは言った。

 「いえ。貴方達の世界の天国=聖上界ではない。“転生先”と捉えて貰うとわかり易いかと。」

 「転生先っ!?」

 私が言うとハウザーさんが、言った。

 「あ。ソレ聞いたことあるわ。“死んだ戦士の魂は輪廻する”。だから臆することなく戦えって意味だけどな。」

 片目が傷ついて見えていない戦士ハウザーさんの言葉は、重みがある。フェリシアさんは少し表情暗くして言った。

 「戦士の言う“意味”とは重みが違えますが……、“生命の重み”と捉えて貰えると有難い。私、そして……“颯”……ネフェリティアは、“転生”した。この地に。」

 そして、彼女はマリンブルーの眼で私を見た。

 「死を与えるには惜しい存在。それを見極めてこの地に甦らせる。それが“聖上界”。言うなれば、異世界の転生先です。」

 すると、ネフェルさんが言った。

 「ああ……だから、貴方達はこの世界にも“関与しない”。」

 すると、フェリシアさんは言った。

 「ええ、それをすれば必ずわかり易く“贔屓”は産まれる。私達は、“見極める者”だから。」

 すると、飛翠は言った。

 「だとしたら、親父さんはお前らにとって“やべぇ奴”なんじゃねぇの? 蒼華の親父だ。」

 すると、フェリシアさんは私を見た。

 「いいえ。彼女は“父親”を二度と喪いたくない筈。だから、“大丈夫”ですよ。」

 私はその威圧感を交えた蒼い眼を見て違和感を覚えた。

 (………コレは……“何か”……嫌な感じがする……。)

 そう思ったのだ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

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