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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第15話 神獣たち▷▷飛翠と蒼華

 樹氷の獅子ライムスが跳び上がり、その脇では蒼い水流の様な煌めきをした海蛇リヴァイアサンが、全身を起こした。

 ナマズみたいに両頬から生えてるヒゲが揺れる。

 蛇の様な口が大きく開く。

鋭い牙の様に生えた歯が見える。

 (あんなでしたっけ?? リヴァイアサンの歯って。つか、あの歯で頭喰われたら、即死でウェイ♪だよね。)

 あんまりしっかりと見た事なかったから、直ぐ傍で大口開けたのを思わずガン見してた。

 でも、その口元に蒼い光が集まる。

パァァァッて、またしても眩いぐらいの蒼い光が。で、全身に吹雪を纏う白氷みたいな色をした獅子ライムスが、叫んだんだ。

 「リヴァイアサン! 手加減するなよ!」

 「誰がするか。お前の方こそ手抜くなよ? ライムス。」

 ギラリ。と、リヴァイアサンの深い蒼の眼が光る。彼はそう答えたあと、更に叫んだ。いや、2人同時に叫んだんだ。

 「「“深海の樹氷”!!!!」」アクアクリオス

 海……、緑の草原が海になった。

でも、それは高津波となって総勢10人の黒い騎士達に向かって行く。ドドォンっ。と、大きな水飛沫を上げながら。

 津波が黒い騎士達を飲み込もうと沸き上がる、けれども、それはピキィィインっ!! と、一瞬にして凍りついた。

 樹氷の壁みたいになったんだ。

 でも、それはバキバキ……と、亀裂が入り砕けた。黒い騎士達の前で聳え立つ樹氷の壁が砕けたんだけれども、それは大きな氷柱みたいになった。高津波が鋭く尖端尖る氷柱になって、幾つも……いや、むっちゃ沢山ロケット花火の大群みたいに噴射した。

 「な……何アレっ!? ロケットランチャーっ!?」

 私がそう聞くと隣で飛翠は、クソ真面目な顔で言った。

 「無駄に演出してね?」

 と。

 「知らんがなっ。」

 クソ真面目な顔で言うことかいっ!?

 氷柱のロケットランチャーみたいな弾丸は、黒い騎士達に向かって飛んで行くと、そりゃもう四方八方からブチ当たった。並んで立ってる彼等に直撃し、しかも彼等の身体を串刺しにした。身動きとれなくなった彼等は、的みたいになって氷柱の大群をモロに受けていた。

 「イフリート! タイラントっ!!」

 叫んだのはアトモーネスだった。バサッと、大きな両翼を羽ばたかせて彼女は叫んだんだ。

 私はその声に はっ。として、振り返った。

 大きな身体をした赤黒い獣人……、露出度多めの筋肉ムキムキマンだ。紅い炎みたいな長い髪した犬に似た獣人イフリートと、その横には同じく筋肉ムキムキの身体をした鬼、タイラントが居た。体格はイフリートの方が少しデカい。

 でも、2人とも腹筋8パックで威圧感がエグい身体してる。まぁ、守ってくれそうで乙女としては、きゅんきゅんする身体ではあるけども。

 そんな2人はアトモーネスの声に、眼を閉じて何やら溜め始めた。揃ってその両腕を握り、力を溜め始めたんだ。

 イフリートの全身に紅い炎が纏った。ゴォォォっと燃える様に、まるで彼の身体を焼いてる様に。

 その隣のタイラント……“大地の神獣”の全身は、黄色の光に包まれていた。けれども、彼の地面からは土が浮く。

 ピシッ。と、彼の裸足の長い爪が生えた足元から、地面に亀裂が走った。それは、ディアマントスの方にまで伸びたんだ。

 イフリートが眼を開けた。紅い炎に焼かれる様な燃え滾った眼を。

 「タイラ……行くぞっ!」

 イフリートの低い地響きみたいな声に、タイラントが目を開けた。黄色……トパーズみたいな色の眼が煌めく。

 「オッサン、その呼び方ヤメてくんね?? なんか、微妙なんだよ。」

 「ガキがナマ言うな。お前は“タイラ”で充分。」

 イフリートとタイラントの奇妙な関係性に、私は飛翠を見た。

 「え? なんのハナシ?? あの2人はなんなの??」

 「知らねーよ。」

 呆れた様に言われてしまった。

けれども、彼等の身体は浮いた。紅炎に包まれたイフリート、そして黄色の光の中で石と土がサイクロンしてて、それを全身に纏ってるタイラント。

 2人の身体は浮き同時にそこから消えた。

 「えっ!?」

 私は消えてしまった2人を探す様に辺りをきょと、きょと。と、見たけども見つけた時には、更に驚いた。

 「えぇっ!? ○空さっ、 いつの間にっ!?」

 てな感じで2人は、氷柱を的あてゲームみたいにぶつけられて、戦闘不能状態になってる黒い騎士達の前に浮かんでいた。

 紅炎の獣人イフリート、大地の鬼タイラントは、戦意喪失状態のディアマントスの前で叫んだ。

 「「“紅炎の岩石破”っ!!!」インフェルノ

 2人は彼等の頭上から右拳を振り降ろした。それは、ディアマントス達の立つ地を殴りつける様に。

 ゴォォォッ!!

 物凄い炎の火柱が彼等を包んだ。それはディアマントス達の身体を焼く。騎士達の身体が火炙りみたいに焼かれて、その後で大きな岩石が彼等の頭上から幾つも落下して、それが騎士達に直撃した。押し潰す様に落ちた岩石たちを眺めてる私に声は聴こえた。

 「蒼華ちゃん! 飛翠くん!“魔法剣”でトドメを!!」

 ネフェルさんの声だった。

私と飛翠はその声に同時に顔を見合わせた。

 「魔法剣て…。」

 私が言うと飛翠は言った。

 「じゃなきゃ倒せねぇんだよな?」

 飛翠は言うと黄金の大剣を握り締めて、構えた。私達の剣とロッドには、生きた様な黄金の翼が生えている。

 私のロッドは先端に黄金の光に包まれた水晶みたいな石がある、それを包む様に両翼が生えてて バサッ。バサッ。と、その翼を羽ばたかせてる。

 飛翠の大剣はそれが柄の所にあって、今も翼羽ばたかせていた。

 私達は夫々……武器を見た。私は黄金に煌めくロッドを握り締めた。ぎゅっ。と。

 「解んないけど……やるしかないんだよね?」

 飛翠に確認みたいに聞いたのは不安一色だからだ。でも、彼は大剣を両手で握り言った。

 「やるしかねぇ。術者を殺らなきゃブチ殺せねぇ事に気づけなかったのは、すげムカつくが……、それも“未熟”ってハナシなんだろーな。」

 「え?」

 私は飛翠の言葉に驚いて彼に聞き返したが、彼は大きな爆発に巻き込まれてるディアマントス達を見ながら、更に言った。

 「“無知”ほど滑稽な存在は居ねぇ。俺等は無知過ぎる、だから後手に回るし、“弱者”のままだ。どんなに“強者”を味方につけてても、俺等が強くならねぇと何の意味もねぇ。」

 飛翠は鋭い眼差しをディアマントス、そして、イフリート、タイラントに向けていた。

 「だったら俺は……“強者”を超える。知識と力を盗めるだけ盗んで“覇者”になる。その先に何が在るのかは知らねぇが、ムカつくだけなのは許せねぇ。」

 私は隣で何だかおっかない顔の飛翠を見て、ガチびびりだったけども、彼がこうして言葉にするのは珍しいので、聞き入ってしまった。

 「全て喰い尽くして俺のモンにしてやる。」

 飛翠の眼が鋭く尖るのを見て、私は彼が本気で“この世界”をブチ壊そうとしてるのを悟った。

 (気性が荒いから……、只の負けず嫌いとか思ってたけど、コレはガチなんだな。そか。私も……この人に付いて行くと決めてるんだ。支えると。私は飛翠が好きだから。)

 私はロッドを握り言った。

 「あのさー、血気盛んなのはいいけども、私は傍に居るんで。それは忘れんでくれるかな?」

 そう言うと飛翠は はっ。と、した様な顔をした。私を見たんだ。でも、とても驚いた顔をしてた。私は何だか少し可笑しくなって笑った。

 「この世界で私達の周りに誰も居なくなったとしても、私はずっと飛翠の傍に居るんで。」

 私がそう言うと飛翠は剣から左手離し、私の頭を乱暴に撫でた。ぐしゃぐしゃと。わっ。と、私は思わぬ乱暴な所作に驚いたけど、彼は言った。

 「阿呆、それはコッチ。お前が逃げ出しても連れ戻す、俺の傍に。」

 「え?」

 私は驚いて顔を上げたけど、飛翠は頭から手を離し涼し気な顔で大剣を握った。両手で。

 「蒼華、魔法剣。やるぞ。」

 真剣な顔で正面見据える飛翠に、私はぎゅっ。と、ロッドを握って頷いた。

 「うん。」

 と。

    

 

 

  

 

   

 

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