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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第14話 碧風VSディアマントス

 ア〜アアアアアア〜ッ♪

響き渡るのは甲子園球場に鳴り響く、あのサイレンみたいな音。

 そして鳴り響く応援団の太鼓の音。甲子園球場は満員御礼だ、私達の学校の生徒達も応援団引っ提げてシートに居る。

ドンドンッ♪

 「飛翠っ♪ タイちゃんっ♪」

 チアガールの声援まで聴こえる。

 「女王っ♪」

ドンドンッ♪ 太鼓が鳴り響く。

 「1番、ピッチャー柏木飛翠(かしわぎひすい)。」

甲子園球場に響くアナウンスの音。

 わぁぁぁっ♪ 歓声を受けて飛翠がマウンドに走る。

 「2番、キャッチャー桜木蒼華(さくらぎそうか)。」

ドンドンッ♪ ドンドンッ♪

 太鼓の音と歓声が響く。そして、黒の学ラン姿の勇ましい応援団たちの声も。

 「かっせ♪ かっせ♪ 蒼華っ♪」

 「いてまえっ! 蒼華っ!」

 「やったれ蒼華っ♪」

 飛翠が上がったマウンドの正面……、キャッチャーとして私は登場した。

 「他、神獣一同!シロ! グリード!ベンチを守るは 愉快な仲間たち!!」

 アナウンスのその声に はっ!? と、私は眼を見開く。

 「オイ!」

 と、、、ハスキーヴォイスが聴こえた。

 更に……バシッ! と、頭に強い痛みが走った。


 その瞬間、目の前は甲子園球場ではなく、緑の草原が広がっていた。

 「え? なに!?」

 私は取り敢えず痛い頭を擦りながら声を発していた。すると、目の前に飛翠が居た。

 「妄想してんじゃねーよ、バカ女。」

 思いっきり睨みつけられて、あ! と、私は気づいた。

妄想が暴走していたことに。はっ。と、して横を見ればアトモーネス達が、、、ドン引きしていた。

 「そなた……“異世界(あっち)”でも行ったかと思った……。」

 アトモーネスの言葉に私は うわ。と、むっちゃハズくなった。

 (わっ! 私、久々の〜? 妄想で不気味にぐふふっと笑ってた感じ??)

 「あ……ごめん。」

 (や? つか、なんで甲子園っ!? しかも、なんで私がキャッチャー??)

 私の妄想にもちょっと疑問を持ちつつではあったけども、ネフェルさんが言った。

 「兎に角、先ずはディアマントス。これ1択。戦神オーディンに関しては飛翠くんは、バハムートを倒してるし、蒼華ちゃんはオーディンを倒してる。」

 すると、アトモーネスが私を見た。ばさっ。と、碧の両翼を1度、羽ばたかせながら。

 「ああ……そうだ、そなたらの力もやはりまだ未知数だな、“聖上界(アサイラム)”の力だが。」

 そう言うととっても大人しくって、気配すら無かったシーラさんが声を発した。彼は“風の精(シルフ)の王”だ。

 ミントブルーのボブヘアに、浅葱色のマント。私より背は高いけど、同じ歳ぐらいに見える。

 短めのロッドを持ってて、銀色で岩みたいにゴツゴツとした尖端が特徴。

 「アサイラムがコッチに関わってくんのは異例だ、つか、お前ら心当たりねーの? ゼクセンだけじゃなく誰か居ねぇの? お前らに執拗に関わってきた奴。」

 シーラさんの言葉に私は飛翠を見た。

 「え? カルデラさん?」

 「親父?」

 私と飛翠は即答だった。何しろカルデラさんは、ゼクセンさんの次に私と飛翠を助けてくれたお父さんみたいな騎士だからだ。飛翠にとっては特にそう、“父親”みたいに慕ってた人だ。飛翠はカルデラさんを“親父”と呼んでた。今は離れてるけど……。でもシーラさんは言った。

 「それはねーわ、カルデラはイレーネの王国騎士。それもゼクセンに頼まれてお前らを逃した。アサイラムと何の関係もねーよ。」

 それを聞いた飛翠がシーラさんを睨みながら言った。

 「つか、お前やっぱ知ってんじゃねぇか、色々と。」

 シーラさんはそれを聞くと はぁ。溜息つく。

 「そりゃ俺は風の王なんで。噂話は届く、風の噂ゆーてな。」

はっはっはっ。と、ドヤ顔で笑われた。

 「うぜぇ。」

 飛翠がシーラさんを見て言うが彼は、はっはっはっ。と、笑っていた。

 「蒼華姉様っ、ディアマントスが構えてます!」

 そう言ったのは紀州犬に似たシロくんだ。 

 「えっ!?」

 私はシロくんの声に草原を見た。

 総勢10人、横に1列に並ぶ黒い騎士達が剣を構えていた。長い剣だけど、飛翠の様な大剣ではなく刃が細い。なんだっけ? 確か長剣とか言うんだっけ。

 えと……“聖騎士の亡霊ディアマントス”とか言ってたな。逃げたティア王女が。で、ネフェルさんいわく、イシュタリアの騎士達の亡霊だっけ?

 そんな事を考えてると、真っ黒な全身鎧を着た騎士達が揃って黒光りする剣を私達に突き出した。

 「“暗黒の亡霊(ダークナトリウス)”!!」

 総勢10本の黒光りする剣から放たれたのは、黒い霧だった。けれども、向かって来ながらその霧の中から キシャェェェッッ!!と、気味の悪い悲鳴みたいな金切り声を叫ぶ黒い影達が突出した。

 「ちょ……何あれっ!?」

 10体どころではなくて、霧から次々と黒い影達が沸いて突っ込んで来る。良く見ればそれは正に“骸骨”の顔をした鎧着た騎士の亡霊達だった。それも皆、揃いも揃って手に剣を携えてる。

 「アトモーネス! 力を貸せっ!」

 真っ先に怒鳴ったのはシーラさんだった。碧の精霊達を身体に纏いながら彼は浮くと、銀色のロッドを突き出した。亡霊達に向って。そのロッドのゴツゴツした銀色の岩みたいな先端が、エメラルドグリーンに煌めいたんだ。でも、それだけじゃなくてロッド全体が、パァァァっ。と、碧色の宝石の様に煌めきだしたんだ。まるで……“魔石”みたいに。

 「え?? 何? あのロッドって魔石??」

 私は驚いたけど、それよりもバサッ、バサッ…と、両翼羽ばたかせて浮き上がったアトモーネスを見た。

 シーラさんとアトモーネスが宙に並んで浮いたんだ。

 「風の精(シルフ)の王と……碧風の神獣のコラボですかっ!?」

 私が聞くとシーラさんが何だか、不機嫌極まりない様な顔をしながら言った。 

 「やりたかねーけど仕方ねーわな、コレばっかりは。」

 シーラさんの眼が碧色に煌めいた、更にアトモーネスの眼も碧色だ。深いエメラルドグリーンの色は2人とも一緒だった。

 「そなたとこうして共に戦う日が来るとはな。」

 アトモーネスは両翼を広げながら言った。シーラさんはそれを聞き、フン。と、鼻で笑ってた。

 けれども、目の前の真っ黒な骸骨の騎士達が突進して来るのを、2人は見据えて叫んだ。

 「「“碧風の煽り(エスプローダ)”!!」

 カッ!!

 アトモーネスは両翼から、シーラさんはエメラルドグリーンに煌めくロッドからその閃光は放たれた。

 それは竜巻。それも大きな竜巻が何本も地を這う様に渦を巻き、旋回しながら向かって来る騎士の亡霊達に向って行った。碧のトルネードが突風と閃光を撒き散らしながら、突進して行ったんだ。

 「「まじかっ!!」」

 私と飛翠は同時に叫んでいた。

 だって、そのトルネード達は申し訳無いけど、エグい太さと高さで大きいなんてモノじゃない。これ、もし街中に出現したら、高層ビル群なんか根刮ぎガッツリ無くなる。跡形もなく。いや? 街1つなくなるかも。

 私達も突風に煽られてるけど、でも真っ黒な骸骨の亡霊達が巻き込まれて、洗濯機の脱水状態みたいにグルングルン回ってる。

 それでも止まらなくて骸骨の亡霊達を巻き込みつつ、ディアマントス達に向って行った。

 ディアマントスは迎え討つつもりだったのか、既に剣を天に振り上げていた。総勢10人の黒い騎士達の剣が黒く光ながら、天を突き刺す様に。

 「“暗黒の剣(ダークサーガ)”!!」

 黒く光る長剣を彼等が一斉に振り降ろすと、まるでその剣が巨大化した様な黒い大きな剣刃を放たれた。

 それは碧の竜巻達を上から切り裂くみたいに、振り降ろされたんだ。10本の巨大化した黒い剣の刃が碧風の竜巻を、ズバァァッ!と、切り裂いて行く。

 チッ。と、シーラさんは舌打ちした。

 「お前ら追加攻撃しろっ!」

 真っ二つに切断された竜巻達を見てシーラさんは、イフリート達に怒鳴りつけていた。

 すると、樹氷の獅子ライムスが飛び上がった。大きな身体が宙に浮く。

 「リヴァイアサン!!」

 彼は吠えた。

 すると、ゆらりと蒼い煌めく身体をした海蛇がその全身を伸ばした。

 「……仕方あるまい。」

 リヴァイアサンの蒼い海の様な眼が煌めいた。

 (し……神獣って実は……クソやべぇ奴等なのかも。)

 私は目の前で起きてるダイナミックな戦いを見て、ごくり。と、生唾飲み込んでた。

   

 

 

  

     

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