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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第12話 実は? 蒼華と神獣たちは最強説。

 緑の草原にでっかいクレーターが出来ていた。大きな穴……。

巨大隕石でも落下したのかと思うぐらいの凹み。緑の草原だったのに抉られた地面は、真っ黒だった。

 そして……その前に立っているのは大地の暴君(タイラント)。大地の神獣だ。

 彼はグレーっぽいセメント色した長い髪が特徴的で、腰元まであるんだけどゴツゴツしてる。なんか岩みたいに固まっていて風が吹いても靡く気配はゼロ%。頭の上には黄色の山のカタチした、石が3本突き刺さってるんだよね。や、生えてるのか。それが角みたいに見える。

 鬼みたいな風貌と顔。角もあるし口元の両端には白い牙もある、だから鬼だと私は思っている。眼も黄色く光る三角眼。身体もイフリートみたいにむっちゃ筋肉ムッキムキ、腹筋8パック。それに腰に虎巻してるんだ。虎柄のサロンみたいなヤツ。その下からナマ足全開なんスけども……、筋肉がエグい。

 無駄な脂肪を無くし、鍛えあげた筋肉質な身体を持つ世界イチのボディビルダーもビックリすると思う。

 さすがにしっぽはないけど、両手両足には長い白い爪が生えてて、これだけでも凶器になりそう。つか、引っ掻かれたら痛そう。や、皮剥げるな。うん。

 首には大っきな数珠を提げてる。トパーズみたいな黄色の数珠で、野球のボールみたいな大きさ、むっちゃ重そう。

 そして、彼は無邪気な笑顔を向けている。巨体で鬼が牙だして笑っても可愛くないんだと、私は失礼ながらに思ってしまった。

 けれども、タイラントは言った。

 「蒼華(そうか)、バハムート殺したから“神獣のお供”くれよな。」

 と。

 「や? 殺したって……何?? つか、なにがどぉなってんだよっ!!」

 見てたけど? や、半分は目潰ってたか。でも、見ててもきっと解らないだろう。なので、私はタイラントに聴いたんだ。けれど、タイラントはぶっとい首を傾げた。ん? と。

 「だって居ないだろ? “バカムート”。」

 とってもきっと……無邪気で愛くるしい笑顔なんだろうけども、でも笑えんのよ、タイラントさん。貴方……顔面が鬼面なので。ただ、不気味なのよ。

 (でも、確かにバハムートは居ない。イフリート達の攻撃で拘束されて、ライムスとタイラントの連携技で消えた。)

 私はクレーターの向こう側に居るブロンド髪靡かせた王女ティアを見た。

 さぞや? 焦ってるか、悔しそう? かと、思いきや彼女は笑った。

 「あっはっはっはっ。」

 黄金のロッドを右手に握り締めて高笑いをしたんだ。しかも、蒼い瞳がきらっ。と、煌めいた。宝石みたいに。

 「え? なんでそんなヨユーなのっ!?」

 私がビックリする番だった。

ティア王女は私に黄金のロッドを向けた。

 「ムダだよ。“合成神獣”すなわち、魔術で産み出された者達は“死なない”。そんな事も解らぬお前に、いや……そんな事も解らぬ“クソ支配者”達では、私は愚か“合成神獣”は倒せない。」

 彼女はそう言うと黄金のロッドを天に振り翳そうとした。けれども、それを止めたのは隣で黙って見ていた“黒髪の騎士シェイド”だった。彼女の右手を掴み言う。

 「ティア、もういい。“目的”は果たした、ココに居ても時間の無駄だ。」

 彼が言うとティア王女はすんなり。だった。ロッドを下げたのだ。

 「そうね……。」

 けれどもティア王女は私を見て くすっ。と、不敵に笑った。

 「また逢いましょう。“蒼華”。」

 そう言うと彼女の黄金のロッドが カッ! と、光った。

 「離脱(ブレイク)!!」

ティア王女がそう叫ぶ。黄金の光が、シェイドとティア2人を包んだ。更に2人はその光に吸い込まれる様に消えてゆく。

 「なにあれ?? アレも魔法なのっ!?」

 私は少し後ろに居るネフェルさんに聴いた。彼は頷いた。

 「ええ、“正攻法の魔法”ですよ。この場から“立ち去る”為の魔法です。」

 ネフェルさんの声に私はティア王女とシェイドを見たけど、彼等はもう姿はなくて、黄金の光も消えていた。

 まるで……“時代劇のどろん状態”で消えてしまったんだ。

 (あれも……“魔法”……。ちょい待て! どんだけ覚えなきゃならんのじゃっ! 数学の数式超えてね??)

 私は……少しお先真っ暗な気持ちになった。

 だけれども……ティア王女とシェイドが居なくなったからといって、何かが変わる訳ではなかった。

 そう……彼女に放置された“召喚獣”たちが緑の草原には居るのだ。その中には飛翠の第2の剣の師匠、“ガルパトス”さんも。

 そして……10人越えの黒騎士集団“ディアマントス”。

あんまり助けたくないけど……や。シロくんの“お願い”なので、兎に角どうにかしなきゃいけない、“雷の神獣グローム”さんも居たりする。

 “戦神オーディン”……合成魔術で創られた神獸……。

よーは、“AI”みたいな認識で宜しいのでしょうか??

 「蒼華ちゃん、この中でも1番ヤバいのは“ディアマントス”です。」

 「えっ!?」

 私はネフェルさんの言葉に聞き返していた。

 (てっきりオーディン言うかと思ったから。)

 でも、ネフェルさんは神導書を閉じたまま、言った。

 「ディアマントスは“イシュタリアの騎士”達の亡霊です。つまり、この世界で無残にも命を落とした者達。それらを“闇魔術”で集め“神獣”にした。合成神獣とは、人間が“糧”に出来る存在を魔術で“強大”にした生物です。」

 ネフェルさんの言葉に私は言われる事もなく、

 「は? え? どぉゆうことっ!?」

 聞いてました。ネフェルさんは私を見て言った。

 「つまり……操るに容易い者達。人間、魔導士が“力”だけで捻じ伏せられる者達。術で“奴隷”に出来る者達。言葉は要らない、主従関係の肯定も。力で“塗り替える事の出来る存在”。」

 けれども……私はきょとん。で、解らなくてネフェルさんを見て再度聴いた。

 「あの……ごめんなさい、師匠……解らない……。」

 けれども、ネフェルさんは言った。

 「これから解りますし、これはね……、“実際”に見ないと解らない。その時に貴女はきっと“強くなる”。」

 え? と、私は聞き返したけども、

 「嬢ちゃん! 来るぞ! なんか、コイツら動きだした!」

 ハウザーさんの声が聴こえた。

 私は はっ。と、して緑の草原を見た。

 ティア王女に放置されたガルパトスさん達が、皆……今迄ただカカシみたいだったのに、剣を握り、臨戦態勢になってた。

 そう。10人の暗黒騎士ディアマントスも、揃いも揃って剣を構えていた。

 「蒼華ちゃん、いいですか。神獣達と僕達で倒さなければならない。それには貴女の“力”が必要だ。メンタルブレてる場合じゃないよ。」

 ネフェルさんが私を見てそう言った。でも、少し優しく笑ってくれた。

 「はい!!」

 私はロッドを握り臨戦態勢状態の、ディアマントスを見た。

 「イフリート! コイツらをブチ殺せっ!!」

 私はそう叫んだ。

イフリートは、その声にウォウッ!! と、吠えた。そして……、アトモーネスが言う。

 「ゆくぞ。創られた者達と、元より生命として現存していた者達との闘い……。」

 バサッ。

 大きな碧の両翼が羽ばたく。

 「女王様っ!! アイツらを蹴散らせっ!!」

 私がそう叫ぶとアトモーネスは、大きな碧の両翼を羽ばたかせ叫んだ。

 「“碧風”!!」  

   

  

 

 

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