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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第8話 シロくんと私。

 崩壊したアズール魔導館。

そして、イシュタリアの“秩序の大魔導士ゼクセン”さんは死んだ。私達をこの世界に連れてきた人。色々あって……彼はもう居ない。

 そしてその魔導館の正面は風吹く緑の草原。

 そこに居るのは黄金の髪靡かせる、私と似てると言われる“イレーネ国の王女様”ティア王女❨サイコ&メンヘラ女❩。

 そんな彼女の隣に寄り添う様に居るのが、私の幼馴染兼彼氏❨?❩“柏木飛翠(かしわぎひすい)”にとても良く似た騎士。

 “シェイド”とやら。イレーネ国のお偉い騎士だったそうで、飛翠曰く……、女に狂ったド変態野郎。だそうです。彼は、黒い髪に真紅の眼。あ。この眼は違うんよ。飛翠はライトブラウンなので。でも、手配書はセピアでこの眼の色が良く解らんかったんだよねぇ。これが解ってれば、私達は無罪放免! とっとと自分達の世界に帰れたかもしれない。

 や? ムリか。私達を殺そうとして追っ掛け回してるのが、このメンヘラ姐さんの親父なのよね。うん。

 で、そのシェイドさんとメンヘラ王女ティア様は、王妃殺害、国宝泥棒、更に国民殺害の罪を疑われていて逃亡中。そして、何故か今、私達の目の前に居る。

 しかも、倒した“召喚獣”を復活させたんですよ。ええ。黒い龍みたいな“バハムート”って奴と、銀色の騎士……“戦神オーディン”を、今、またもや召喚したんですわ。

 「どぉゆうことっ!! グリード!!」

 私は蒼い狼犬のコボルト、両刃の斧を握る戦士グリードさんに向かって黄金のロッドを向けて叫んでいた。 

 「は?? 俺っ!? つか……グリードて。飛翠の彼女おっかね。」

 「うっさい! 答えろ! どぉなってんだよ!」

 グリードさんは、私を見て直ぐに飛翠を見た。とても、慌てた感じで。

 「飛翠っ!! ど……どどどうしたんだよっ!? 嬢様!!」

 「あ〜……ブチ切れてんな、珍しく。コイツさっき…俺にダル絡みして来たし、八つ当りだ。悪く思うな、グリード。」

 「はぁ!? 八つ当りて。俺は清く正しく戦ってますけどっ!?」

 「うるせぇんだわっ!! 説明しろ!!」

 私が怒鳴ると飛翠とグリードさんは、青褪めた。何故なら、私の周りに居る“黄金の守護霊”と言う名のドール達が、彼等に黄金の片手剣を向けたからだ。

 「ちょ待てぇいっ!! 嬢ちゃん! どーしたよっ!? 情緒っ!」

 そう言ったのはハウザーさんだった。けれども、私はロッドをシロくんに向けた。

 「シロくん!」

 「は……はいぃっ!?」

 シロくんは既に蒼いロッドを肩に掛けて、両手はホールドアップ状態。私を見て あわあわとしていた。でも、聞かなければならない。私は。

 「なんで? 何なのっ!? 倒した奴が復活するって何なの!? こんなの“マジックメイト”幾ら”あっても足んないんだけどっ!?それとも死ねってこと!?」

 怒鳴った私にシロくんは、ふぅ。と、息を吐きそのつぶらな黒いお目々で私を見つめた。そして、彼はホールドアップを解き私と飛翠があげた蒼いロッドを握り天に掲げる様にしたんだ。

 「え………?」

 私はちょっと驚いてシロくんを見ていた。彼はロッドを少し眺めてから、自分の足元に とん。と、落とし地面に杖を着くみたいに、ロッドを着くと私を見た。

 白い紀州犬に似た体長130㌢程の……“魔法使い”は言った。にこり。と、笑って。

 「大丈夫です。蒼華姉様は死にません、僕が護りますから。僕はやっと“魔法使い”になれたので。使いたい魔法は沢山あります。だから大丈夫です。」

 シロくんはそう言ったんだ。私はその言葉を聞いて……知った。自分がとても不安で心配で、弱気になってたことを。

 ぎゅっ。と、私はロッドを握り締めた。シロくんは……解ってくれてたんだと、知ったんだ。

 「シロくん……貴方は………やっぱ、すげぇわ。」

 私は白い紀州犬の顔が滲んでしまっていて……、良く見えなかったけど、そう言ってた。でも、彼は言う。

 「いえ? 僕だって不安ですよ? だって、蒼華姉様と一緒で、“魔法”を使うのは初めてですから。知識、想像、妄想、見識は合っても経験はゼロなので。アイテムでの魔法と自分で使う魔法は違いますから。」

 私は必死に涙を堪えていた。自分の心配、不安、懸念……恐怖。色んな感情が蠢いていて、私の心の中は満杯で今にも弾けそうだったから。でも、シロくんは言った。

 「力を持つと言う事。その意味。そして……力を使った後、どうなるのか。と言う事。僕だって解りませんし、間違うかもしれません、でも……蒼華姉様は大丈夫ですよ。僕はずっと傍に居ますから。泣かないで。蒼華姉様。」

 私は………堪えれなくて……ロッド持ってしゃがみ込んで……泣いてたんだ。

 たたたっ。と、軽い足音が聞こえて、、、シロくんが私の頭を撫でてくれた。

 「大丈夫です。その力は蒼華姉様、飛翠さんにとって必要な力なので、怖がらなくていいんです。」

 シロくんの言葉に、私は……恥ずかしながら、わぁぁぁっ。と、彼に抱きつき泣いていた。大声上げて。

 怖かったんだ。

 何か知らない力が勝手に出て来て……私が、私じゃない。私を変えてゆく。そんな気がして。怖かったんだ。とても。

 記憶はある、自分の発言も。

 でも……カッとなって、何か暴走してしまう……、そんな感覚に囚われて怖かった。でも、その時の感情はその時に必要なモノだから、言うよ。でも、私はそれを“魔法”と言うまた別の力を使える。それはとても強力で、歯止めが効かない。言葉で抑えられる世界に居た私にとって、自分の感情が“魔法と言う強い力”になる。それが……今迄は弱小だったから、叩き潰されたけど……、なんか今は違う。私の感情と比例してどんどん力が強くなる。飛翠もそう。私達は………ヤバい奴なんじゃねぇかと。この時思っていたんだ。そして、それを“後押し”する存在が居る、それが聖上界。この世界に関わらない存在……。

 (ガチのアウトローじゃねぇか。)

 私はそう思っていた。

    

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