第6話 聖なる下僕
はぁ。私は息を吐いた。
(何か解らんこと言った……シーラさん。ん? 言ったよね!?)
なので、、、私は例の如く、飛翠の腕を掴み彼のサラ艶黒髪から覗く、ライトブラウンの瞳を見上げてやりましたよ!
ええ、ガン見してやったわ!! その美しい〜ぃ、涼し気な目元を!! そして発動! いつもの私の得意スキルを!
「ど〜ゆうことっ!? え!? 何なんっ!? “聖上界”って何?? んでもって……」
飛翠の右手が私の顔面掴んだ。アイアンクローだ。
ふがっ。と、私は顔面を彼の大きな手で掴まれ、変な声出た。
そして彼は言う。
「うるせぇし、知るかよ。俺もお前と同じ環境で生きて来た高校生。イチイチ聞くな、バカ女。」
あ。と、私は思った。この御方の何だか解らん驚異な姿を見て、私はいつの間にかこの御方は、“最強戦士”だと思いこんでいたことに気づいたのだ。
なので彼が手を離したのを見つつ、何か?申し訳なくて
「あ。すみません……、ふっつーの“只のヤリ○ん”だったわ、貴方。」
そう言った。
「あぁ"??」
直ぐに飛翠から睨みが返ってきた。
「え? だって貴方……“大奥”目指してるクソですよね?」
私は何の悪気もなくて……思ったことを言ったんですが、ハウザーさん、グリードさん、ネフェルさんがぶはっ。と、吹き出して大笑いしたんだ。
「え!? 飛翠ってそーなん!?」
最初に言ったのはグリードさんだ。
「まじか! 飛翠、嬢ちゃん命、嬢ちゃんしか要らねぇのかと!」
はっはっは! ハウザーさんは笑いつつ、
「なんだよ。なら言えよ? すっげイイ女紹介してやんよ!」
そう言ったのだ。
飛翠は私の胸倉掴んだ。そして……睨み倒した。
「蒼華てめぇ、まじで犯されてーのか? あ"ぁっ!?」
「イヤですって!!」
飛翠は私の頭にヘッドバットした。ゴッ!!と。物凄い痛みが走った。
「痛いっ!!」
「ざけてんじゃねーぞ? クソ女!」
私は………飛翠にヘッドバット喰らい怒鳴られ……しゃがみ込んでいた。
(なんなのよ〜〜。)
私は解らずにおでこ擦った。
✢✢✢✢
さておき、、、目の前にずらっと並ぶのはティア王女の従える“召喚獣”達だ。見知った顔も居る。でも、私が気になったのは、10体は居るであろう騎士軍団だ。それも、真っ黒な騎士。確かに“戦神オーディン”も気になる。
銀の馬に乗り長いレイピア握ってる騎士だ。しかもむっちゃデカい。それに、彼はこの中に居る召喚獣達と違い、色彩ハッキリしてる。周りに居るのは皆黒い。身体も何もかもが。
戦神オーディンだけは銀色の馬、そして彼も銀色の全身鎧を着ていて、右手にこれまた銀のレイピア。
彼だけ異質なのだ。
「飛翠……、もしか……あの“戦神オーディン”は、まだ闇堕ちしてないのかも。」
私は隣の飛翠に言った。けれど、飛翠は黄金の大剣を、構えて言った。
「あ? だから? 悪いが、俺はアイツと話をしたくねーな。つか、意志あんなら動けや。と、思うけどな。」
彼はそう言った。私はオーディンを見た。美しい銀色の鎧、銀色の馬……気高い戦士。そう見えた。
「行け!! 戦神オーディン!! アイツらを蹴散らせっ!!」
聴こえたのはティア王女の声だった。
その声と共に、銀色の馬は駆けだす。
馬に乗る銀色の騎士は長い剣を振り上げた、天に向かって。
「斬鉄剣!!」
オーディンの口から放たれるその言葉、同時に彼は剣を振り降ろした。それは上空からの斬撃と、私達を薙ぎ払う斬撃の同時攻撃だった。
(ヤバい!!)
私は咄嗟に思いロッドをオーディンに向けていた。上からも横からもの攻撃に戦士達は、怯んでいたからだ。
私は黄金のロッドを向けて叫んでいた。
「聖なる下僕っ!!」
金色の光に包まれた剣を持ったキトン纏うドール達。それが、私の周りに集い、漂い、私の前に集まる。
彼女達は黄金の光放つ小さい人形そのもの。リ○ちゃん人形みたいな大きさだ。
それらが私の前に漂う。皆、片手剣を持って。
「え? なに??」
私は言ったけれども、オーディンの斬撃を前に彼女達は、剣を突き出し一斉に叫んだ。
「聖なる守護剣っ!!」
彼女達は剣を突き出し叫んだ。
上空から大きな剣が降り立つ。
オーディンの頭上に。そしてそれは黄金の光を纏いながら、振り降ろされる。
オーディンを真っ二つにするぐらいの大きな剣だった。叩くみたいに、オーディンと銀色の馬を真っ二つにしたんだ。
「は??」
ドォォン!! 私はその爆発音に眼を丸くしていた。オーディンと銀色の馬は消えていた。




