表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
117/131

第5話 蒼華の神獣▷▷▷風の精霊の王シーラ

 倒壊したアズール魔導館の前で、私達は対峙する。

 煌めくブロンドのサラ艶髪は腰元まであって……風も無いのに靡いてる。なんで? と、思うけど雰囲気でしょ、きっと。

 その細い身体は真っ白な……そう純白のキトンだ。確か……ギリシャ神話とかに出てくる女神様が着てるやつ。で、ココには居ないけど、“花嫁さんみたいにキラキラして見えるのも雰囲気でしょ。うん。

 「あっはっはっ!!」

 そしてとっても美しい顔……私とは、180度似てねぇんだわ、この“美人顔”は。黒崎さん……いや、ゼクセンさんの悪意を改めて感じた。

 でも、その美人顔は狂った様に笑う。狂喜乱舞を独りでヤってしまってるんですわ。

 「何が可怪しいのっ!? 可怪しいのはお前の脳内だ! この犯罪者っ!!」

 私はその狂喜乱舞な王女様に怒鳴っていた。彼女の笑顔が ぴたっ。と、止んだ。途端に美しい済ました顔になった。私を見つめるのは、蒼く煌めく瞳だった。こんなにがっつり見た事無かったから、驚いた。

 黄金のロッドを握って立つ美しい女神……、今ならそう思える。

 でも、吐かれたのはそんな概念をブチ壊すクソ発言だった。

 「可怪しいわよ、支配者よ? 阿保ヅラ並べて直立不動、“元支配者”を前にして“契約解除”棄てられた事がトラウマなのかしらね? 私を怯えて見てるじゃないの。」

 あはははっ! ティア王女は彼等を見て笑ったんだ。

 「は? え!?」

 私はビックリしてしまった。だから近くに居るイフリートを見た。けれど、紅黒い大きな犬は目に見えて項垂れたんだ。

 (はぁ?? 捨てられた子犬か!? お前わっ!!)

 なんかその寂しげでブロークンハートな顔がむっちゃハラ立った。

 それに、その周りに居る神獣達よ。4人、揃いも揃って傷ついた顔してんのよ。コレがまた。

 女王様の雄鶏姿のアトモーネスすら、その厳ついご立派な碧のトサカ付いた頭を落としちゃってんのよ。大きな両翼までも閉じちゃって。豪華な羽付きトサカから、ひらひらと碧の羽が舞い散ってんだわ。

 (いや………コレ……ムカつくわ。)

 私は彼等に怒鳴っていた。

 「はぁ?? ふっざけー! 何傷ついてんだ!? バカどもっ!!いいか! お前らは私の“神獣”なのっ! 悪飼い主なんか忘れろっ! 今は私がお前らの“支配者”だっ!!」

 そう怒鳴ると……紅い眼をした悄気げたどデカい犬は、私を見たんだ。

 「………お主………嫌いなのでは?」

 とっても驚いた顔をしてイフリートは言ったんだ。私はその何とも言えない顔にもハラが立った。だから言った。

 「嫌いだっ! でも、そーやってマイナスな顔してんのはもっと嫌いっ! アンタ達はくそムカつく顔して、堂々としてるぐらいが丁度いい! あんまりイラついたら、これからは私が“おしおき”してやんよっ!!」

 私が怒鳴ると……5人は揃いも揃ってなんか晴れやかな顔になったので、それもそれでイラっとして言った。

 「だから泣くなっ!」

 と。そしたら勢揃いで言われましたわ。

 「「「「「泣いてねーしっ!?」」」」」

 ハイ。知ってますとも。

私は笑ってしまった。不貞腐れた顔をして、それぞれ肩回したり、羽広げたり、頭を振ったり……準備運動する神獣達を見て。でも、彼等は皆……元“飼い主”のティア王女を見ていた。それは、何処か吹っ切れた顔をして。 

 そして……忘れた頃に“来た”。

ふわり。ふわり。と、浮いて。碧の真っ裸の少女たち、その生命体を引き連れてこの御方は。

 「へぇ? 戦うの? “救世主”。ティアと、シェイドと。」

 私達の前にふわふわと浮く、ミントブルーのボブヘアに、浅葱色のマントを着た少年。さっきまでの“大人型”ではなく、私達と何ら変わらない少年が浮いていた。

 (“風の精霊の王”……シーラさん……。)

私はぎゅっ。と、右手の黄金の光放つロッドを握り締めた。 

 碧の光放つ眼が私を見てから隣の飛翠を見た。私が慌てて視線向けると、彼は……どうにも飛翠の持つ“黄金の羽”それが生えた大剣が気になったのか、ふわふわと浮きながらその右手近くで降りたんだ。当然……碧色の発色生命体……、あー、真っ裸の少女達、精霊引き連れて。 

 「あ? 近寄んな。斬んぞ?」

 飛翠は威嚇したが、彼はその黄金の大剣を眺めて ふんふん。と、頷いた。更に飛翠を見上げた。でも、馬鹿にした顔ではなくて、何処か無邪気に笑ってた。

 「なるほどな。あ〜……そゆこと。」

 言うと、シーラさんはふわり。と、私達から離れ空中に舞い戻った。碧色の精霊達を纏いながら彼は言う。浮きながら。

 「その剣もロッドもアレだろ? “聖上界(アサイラム)”の、“聖魔女(セイントシエール)”、“聖戦士(セイントネオス)”に授けられるモノだよな?」

 シーラさんの言葉に私と飛翠は声を上げていた。

 「「は??」」

 聞き返した。シーラさんは、そんな私達を見て あ〜……と、相槌打ち

 「そ〜ゆう感じ?」

 と、聞くとイフリート達を見たんだ。更に、ティア王女を。

 「何なのっ!?」

 私が聞くと、シーラさんは私達を見て、右手を向けた。掌を向けてまるで制止するかの様に。彼の碧色の瞳が宝石みたいに煌めいた。発色したんだ。へらへらしてたその顔も真顔になった。

 「話はあとで。取り敢えず……“神獣の奴ら”もヤる気になってんで、アイツら消してからでも遅くはない。“救世主”……。」

 シーラさんはそこ迄言うと何故か止まり、私と飛翠を見て言った。

 「あ〜……“蒼華と飛翠”だったな。まさか……お前らが“聖上界(アサイラム)”に守護された者達とは思わねぇよな。どー考えても。」

 シーラさんは、私達を見て少し微苦笑だった。

 

  

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ