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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第4話 戦いの前に

 私は右腕のバングルを見据えた。

たった今、継承石は命を取り戻し私の元に還った。

 (ティア王女が何を考えてるのかは解らない、でも、彼等は戻った……。私の元に!!)

 私は黄金の光に包まれるロッドを握りしめて、狂った様に笑うティア王女を見据えた。

 「ふははははっ!! 何が、支配者よ!! 支配されてんじゃないのよ! 死んだも同然っ!!」

 あははははっ!

 ティア王女の美しい顔は……可哀想なぐらいに歪んでいて、何だか悲しくなった。

 この人は……可哀想な人だ。

きっと、目の前の滑稽な存在を見て笑って、自分の存在を優位だと思っていたい人。

 (死ぬのは……お前だっ!!)

 私は黄金のロッドをティア王女にむけた。そして、心の中で叫ぶ。

 (言う事を聞けよ? いいなっ? 聞かなかったら、私と飛翠で制裁してやっからなっ!!)

 心の中でそう叫びつつ、ティア王女にロッド向けて、怒鳴った。

 「出て来い!! 力有り余ってるクソ神獣どもっ!! 暴れてやれっ!!」

 カッ!!!!

 (まじか!!)

 半信半疑、いや……なればいい。と、思って叫んでたから、現実になると思わなかった。

 でも、私の怒鳴り声と黄金のロッドの光で、彼等は再び舞い戻った。5体の………“ウゼぇ神獣”達が、私の目の前に現れたんだ。

 ふぅ………。

溜息ついたのは……深紅の獣。イフリートだった。

 「お主は………アレだな。ちょっと……“気狂い”だな。」

 「は??」

私は目の前に並ぶ5体の神獣達を見て驚いてたんだけども、イフリートの言葉に目を丸くしていた。

 「普通……“嫌い”なら呼ばんだろ。」

 イフリートは、眉毛を逆への字にしてた。

 「あ……………。」

私はそれを聞いて

 (確かに。なんで……呼んだんだろ? なんか呼んでた……、ティア王女を見て、可哀想と思って。なんで??)

 思ったけど、碧の大きな身体をした鶏。アトモーネスが言った。

 「すまぬ、見えておらんでな。本当にあれは……“ティア王女様”なのか? “蒼華”、私には“狂神”にしか思えぬ。」

 「え??」

 私が聞き返すと、リヴァイアサンが水色の大蛇の身体くねらせながら言った。

 「おったのだよ、蒼華。“狂神”、それは人間でもなく、神獣でもなく、魔物、多種族でもない“狂った存在”が。神ではない、そう呼んだだけ。だが、そう言わざる得ない程……“狂った存在”だった。」

 リヴァイアサンの言葉に飛翠が言った。

 「イフリート、お前が言った“もう1度”とやらは、それか?」

イフリートは、飛翠を真っ直ぐ見た。

 「ああ、ワレらは素知らぬ顔をしてた、戦争が始まった時は。だが、その“狂神”はちと……違う。これまで見て来た“悪意の塊”とは。そうだな……“血”を見たくて仕方ない。そう見えたな。」

 「え!? 血?? どーゆうこと??」

 私が聞くと、樹氷の獅子が言った。

 「殺戮、人間の悲鳴、人間の血肉、人間の惨殺。それを目的に、突然戦地に現れた“黒い騎士”だ。あの顔にティア王女が似てる。それは神でもなく、人間でもなく、そう……“狂神”。狂った様に剣を振り血の雨を降らした。ソイツに似てるのだよ。」

 ライムスの声にいつの間にか隣にいた、ハウザーさんが言った。

 「それ、聞いたけどな。そんなの居るワケがねぇ。お前らのハナシはいつも大袈裟。いい加減にしろよ?」

 「えっ!? いつの間にっ!?」

 赤と茶色の混じった髪、右目に大きな傷がある剣士は、大剣❨ハルモニア❩を右肩に担ぎながら、そこに立ってた。右目は見えていないのか、開いてはいても白い。左目の金色の瞳がイフリート達を睨んでた。

 そうそう。と、その隣にはグリードさんが居た。大きく頷いてる。蒼い狼犬グリード さんは、大きな両刃の斧“スーパーアックス”を、背中に担いでた。額に三日月の刀傷付いた狼犬だ。

 「グリードさんまで!?」

 私が言うと、ネフェルさんが言った。

 「ハウザー、グリード? 召喚獣達はどうした?」

怪訝そうな顔で彼が言うと、荒くれ者コンビは揃って大きな溜息ついた。はぁぁぁ。と。

 がっくり肩を落とす2人に我等がアイドル白い紀州犬に似た、シロくんが心配そうに言ったんだ。

 「ど……どうしたんですかっ!? グリードくん?? ハウザーさん??」

 すると、すったかたぁ〜〜……激速でグリードさんはシロくんに駆け寄って、彼を抱き上げぎゅうっと、ぬいぐるみみたいに抱きついてその頬にすりすりと、自身の頬を擦り付けてた。

 「わぁぁっ!! キショい! キショっ!!」

シロくんはむっちゃ嫌がってるけど、130㌢程度と190㌢では勝てないみたいで、グリードさんにむっちゃすりすりされてた。

 「シロ〜〜、聞いて? アイツらヤル気ねぇのよ?? 疲れるだけなのよ? 癒やして?」

 「だからキモっ!!」  

 シロくんがグリードさんの頭をバシバシ叩いていた。

 「ハウザー、なん?」

飛翠が聞くとハウザーさんが、首を傾げて言ったんだ。

 「ああ、いいトコまで行くとさ、あの王女様が回復させてリセット、で、なぁんもしねぇのよ? 敵前逃亡もねぇの。ただ、俺とグリードの剣技受けてるだけ。人形みてーなんだよ。」

 「何ですか? それ。」

 ネフェルさんが真顔で聞くとハウザーさんは呆れた顔をしてた。

 「や? 俺が聞いてんのっ!」

 と。彼は遂には声を荒げてた。すると飛翠が言った。

 「あのクソじじぃは死んだ。時間稼ぎじゃねーのか。」

ぼそっと呟く様に。

 私はそんな皆様に提案した。

 「やりましょ? どっちにしても倒さなきゃなんないんだし、フルボッコにしましょ?」

 皆様&神獣達が、きょとん。としたのは言うまでもなかった。

 「や? だってそぉでしょーよ? ティア王女とシェイドさんは、倒さなきゃなんないんだし。飛翠の第2の師匠、ガルパトスさんは助けなきゃだし?」

 私はそう言った。するとシロくんが、頬にすりすりしようとしてるグリードさんの顔を抑えながら言った。

 「蒼華姉様っ、紫雷のグロームさんも助けて下さいね! 雷魔法は大切ですから!」

 「シロぉっ! 先ずは俺を癒せ!」

 「だからキショいんだよ!!」

 シロくんはグリードさんにキレていた。

 (確かに、グロームさんを何とかしないと雷魔法の上級は使えない。つか……アズール魔導館が無いんじゃ、魔法ってどうなるの??)

 私の中にまたもや疑問は産まれたのだ。

けれども考えても仕方ないので、私達はティア王女、シェイドさん討伐に向かったのだった。神獣5人引き連れて。   


 

 

  

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