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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第2話 全てを取り戻す為に

 崩落した月読(つくよみ)の塔、その前で黄金の炎に包まれたイフリート、リヴァイアサン。彼等を見ながら私は黄金の光に煌めくロッドを見た。

 

 (まだ、終わりじゃない。あのクソ共はまだ居る!!)

 

 私はぎゅっ。と、ロッドを握り締めた。金色の光を放ちながら、開いた黄金の羽はこれでもかと、高速でばっさ!ばっさと羽ばたいてた。

 

 (何か……力が(みなぎ)ってるのか……それとも、キレてるんでしょうか?)

 

 私は目を閉じた。精神集中の様に。

 

 (えぇいっ! 蒼華(そうか)! いいっ?? 今はヨケーな事を考えるべきではないっ!!)

 

 私は自分に喝を飛ばした。

 

 (すみません。)

 

 取り敢えず謝罪も入れといた。

 

 (彼らは既に召喚されてる。でも、まだ私の元に帰って来てない。これは賭けだ! イフリートとリヴァイアサンがココに居るなら、彼等も呼べる筈。解らないけど。)

 

 私は目を開けるとロッドを見つめた。黄金の光放つ宝玉。その周りで羽広げてバサバサっと私をまるで煽る様に、羽ばたく黄金の翼。

 

 (オケぇい♪ アンタ達の気持ちも固まってるみたいだし? ココはやっぱ。行くしかないっしょ!! もうここ迄来たらやれるモンはやってみろ! だ!)

 

 私はロッドをぎゅっ。と、握って叫んだ。

 

 「大地の守護神“大地の暴君タイラント!!

 疾風の女神“碧風の女帝アトモーネス”!!

 氷の化身“樹氷の獅子ライムス”!!」

 

 カッ!!

 

 それは物凄い突風と閃光の渦だった。まるで私達に突撃してくる台風の強風みたいだった。

 

 「きゃあっ!!」

 「蒼華っ!!」

 

 吹き飛ばされる私を力強く抱いたのは飛翠(ひすい)で、、、

 

 「うわぁ!」

 「シロくんっ!!」

 

 シロくんの叫び声にネフェルさんの声が聞こえた。

 

 私達は吹き飛ばされていた。地面に。

どさっ。と、落下したのと同時に台風みたいな強風、眩しい光も止んでた。

 

 (どうなった!? えぇっ!? なにがどぉなったよ!)

 

 何時もなら反射神経など死んでる。でも、この時ばかりは私の身体は途轍もなく迅速対応してた。飛び起きてロッド握ってたんだ。自分でも驚くぐらいに。

 

 だから、何時もなら飛翠に腕を掴まれて起こされるのに、彼が倒れてるのも、ネフェルさんがシロくんを抱き締め……違う! 抱きかかえて庇って倒れてたのも見えたんだ。

 

 (ほぉ。コレが別視点。)

とか、何とか? 卓越した気分で叫んでた。

 

 「大丈夫!? みんな!」

 

 それには皆様……はい。途轍もなく驚いたご様子で。

 

 「「「はぁっ!?」」」

 

 怒り混じえたツッコミを戴きました。

 

 (シロくんまで……。)

 

 「つか、何がどーなった?」

 

 立ち上がった飛翠が黄金に煌めく大剣構えて隣に立った。私はちらっとそれを見た。

 彼の大剣の柄の先にも黄金に煌めく宝玉は嵌め込まれていて、私のよりは小さいゴルフボールみたいなサイズだけど、でも、その周りにはやっぱり、バサバサバサと煩いくらいに羽を羽ばたかせる黄金の翼がある。

 

 (う〜ん……飛翠の翼も健在なんだな。何なんだろ? 私達の武器は。)

 

 目覚まし時計の音みたいに羽バタつかせてるんだよね。勢いが強過ぎる。

 

 「蒼華姉様! アレは支配者たちですよね!?」

 

 シロくんがネフェルさんに抱き起こされながら叫んでた。私はその声に出現した3体の“支配者”達を見据えた。

 

 「うん、そー。」


 私は答えた。取り敢えずな感じで。深くツッコまれても答えられないので。でも、彼らは居る。少し先に。 

 

 (ちゃんと揃ってる。)

 

 それぞれ、キョロキョロしながらも彼等はそこに居た。でも、碧の大きな羽を羽ばたかせる碧風の女帝(アトモーネス)が、背後を振り返る。

 黄金の炎に包まれるイフリート、リヴァイアサンを見て、大きな碧の翼をバタつかせた。

 焦った鶏の様に。

 

 そして彼女は私を見た。

深い緑の眼が鋭く尖る。

 

「救世主!! 何をした!! そなたは我等を裏切ったのかっ!?」

 

 アトモーネスの声を切欠に、タイラントが私を睨みつけた。


 彼は鬼だ。褐色のムキムキ筋肉質で、虎巻したちょっと体型的にはイフリートに似てる。でも、完全な鬼。グレーのゴツゴツした岩石みたいなロング髪。その頭上には角が3本生えてる。山のカタチをしていて、それは白い。

 

 彼の眼は黄色で、その険しい眼が私を睨む。

口の両端には鋭い牙。それを剥き出しにして。

 

「小娘!! 解放しろ! イフリートとリヴァイアサンを!!」

 

 激昂したタイラントの身体が黄色の光を放ち、彼の地面の土が浮き上がる。力を溜めた彼に伝導したかの様に。岩石の様にヒビ割れながら。

 

「救世主!!」

 

 更に叫んだのは樹氷の獅子ライムスだった。雪氷の獅子だ。彼は他の2人とは違い、何だかとても悲しそうな顔をしていた。

 いや、顔つきはその名の通りライオンと虎が混じってておっかないんですけども。

 

 でも、アトモーネスが言った。

 

「月読の塔が崩壊している……、まさか、救世主……そなた……ゼクセン殿を殺したのかっ!!」

 

 アトモーネスは直ぐに碧色の竜巻を身体に覆わせた。けれども、それを、いや、タイラント、アトモーネスを制止しようと、2人の前に飛び出したのは、樹氷の獅子ライムスだった。

 

 「やめろっ!!」

 

 雪氷の身体に覆われた白い獅子だ。彼等の前に立ち怒鳴ったのだ。アトモーネス、タイラントはその力を脱力させた。

 

 「何で止める!? ライっ!!」

 

 怒鳴ったのはタイラントだった。白氷が身体に降り注ぐライムスは言った。

 

「崩壊したと言う事はそうゆうこと。秩序は守られなかった。つまり、ここからは“強者の世界”。解らぬかっ!!」

 

 ライムスが怒鳴ったのだ。アトモーネス、タイラントは はっ。と、した顔をした。私はこの機を逃すまいと、彼等の前に歩み寄った。何となく今しかないと思った。

 

 彼等は戦意喪失してる。それが解ったから。

 

 私が彼等の前に立ちロッドを向けると、ライムスはとても驚いた顔をした。

 

 「……救世主……その……“石”は………。いや、そのロッドは……。」

 

 ライムスは更にそのブルーの眼で、ちらっと少し後ろに居る飛翠を見た。彼は はっ。として、私を見た。

 

 「お主ら……“何者ぞ?”……“黄金の宝玉”……、まさか……“聖上界(アサイラム)”……?」

 

 ライムスがそう言うと、アトモーネス、タイラントの顔色も変わった。途端に青褪めたんだ。

 

 「まさか!! ゼクセン殿はその様なこと!!」

 「聞いておらぬぞ! ライっ!!」

 

2人は慌てた。けど、私は言った。

 

 「いいから黙って。アンタらも私に従え。」

 

 ポウっ。

 

 黄金の宝玉が光輝き始めるとアトモーネスは焦った様に言った。

 

 「そなたが我等を“支配”するつもりかっ!? 人間が!?」

 

 私はロッドを握り彼女達に向けて言った。

 

 「そうだね、でも今の世界(イシュタリア)に“秩序の大魔導士(ゼクセン)”は居ない!! 何度も言わせるなっ!! 此処からは“強者”の世界っ!! アンタらの大っ好きな世界だっ!!」

 

 私はアトモーネス、タイラント、ライムスに向けて放つ。イフリート、リヴァイアサンを拘束してる同じ力を。

 

 「“聖なる支配者(エレン)”っ!!」

 

 カッ!!

 

 彼女達に黄金の光が放たれた。

    

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