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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第6章 イシュタリアの闇
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第1話 支配者たちとの再会

 私達……いや? 私は茫然としていた。

またもや、私の目の前で飛翠(ひすい)が敵を撃破したのだから。それも、涼し気な顔で黄金の大剣を右肩に乗せて、のっし、のっしと歩いて来るんだから。

 

 彼の背後では倒壊した月読(つくよみ)の塔❨アズール魔導館❩が、紅炎と灰色の煙撒いている。アチラコチラから聴こえるのは、諦めの悲鳴。なのに、彼は涼し気で颯爽と舞い戻る。

 

 「飛翠さん………貴方様は何者??」

 

 私が聞くと、彼は は?? と、馬鹿にした様に聞き返して来た。

 「や? なんであんなすげぇの? 剣技。」

 

 そう聞いたら彼は あー…と、黄金の大剣を右肩に乗せたまま言った。

 

 「知らね、身体が勝手に動いたし、なんつーの? 俺が思うよーになった。」

 「え?」

 

 私が飛翠に聞くと彼は涼し気に答えた。

 

 「“ブチ壊す”、そー思ってたら勝手になった。だから、知らね。」

 「!」

 

 私はそれを聞いて自身の握る黄金のロッドを見据えた。さっきまで開花した様に、両翼羽ばたかせてたのに今はピシっ。と、黄金の翼広げて停滞中。その中心には黄金の光放つ宝玉。

 

 占い師が良く使う水晶球みたいな宝玉。それが、眩く光ってるだけ。黄金の両翼は動かない。

 

 「私も……思ったんだ……ブチ壊してやる。って……、そしたら魔法? ぶつけてた……。」

 

 ロッドを見ながら私が言うと飛翠は言った。

 

 「“魔法の世界”だ、何が起きても可怪しくねーし、それに囚われ過ぎんのも宜しくはねぇ。」

 「え?」

 

 私が飛翠を見ると彼は更に言った。真っ直ぐと私を見つめて。

 

 「力ってのはある時、ふと。ってのもある。それをどう使うかなんじゃねーの? 意味があんだろ、俺らが今、使えるこのチカラに。」

 「どうゆうこと??」

 

 私が聞くと飛翠は、ふぅ。と、息を吐いた。それは溜息に似ていて、なんか怖くなった。突き放されるのかと。

 

 でも、彼は違かった。

 

 「囚われるってのは何故? ばかりで、沼に嵌まるだけだ、前を見ろってハナシ。貰ったモン、授かったモンてのは絶対に意味がある、誰が? 何の為に? どうして? は、見えて来るモンだ。」

 

 私は飛翠を見ていた。彼は真剣な顔で更に言った。

 

 「それを今、考えても仕方ねぇんだよ、俺等はこの世界の住人じゃねぇ、与えられた現実を受け入れて次を考える。その先を。どうしたいかを考える。じゃねぇと喰われて終わり。言ってんよな? 何回も。」

 

 怒るワケではなく、諭す様な飛翠の声に私はロッドを握り締めていた。

 

 (私が……どうしたいか……、それがさっきの魔法に繋がったってこと?? ブチ壊してやる。って思ったから?? じゃあ、この世界は……思った事が“現実”になるの?)

 

 私はそう思ってたんだけども、そんなのを吹き飛ばす現象が起きた。

 

 カッ!!

 

 とーー、眩い閃光走る。何回目よっ!? とも思うが眩し過ぎるので、私は目を庇う様に腕で両目を覆う。

 

 けれども聞こえた。

 

 「紅炎の支配者(イフリート)深海の乱暴者(リヴァイアサン)!!」

 

 シロくんの声だった。私はその声にはっ。として、前を見た。彼等はそこに居たんだ。威風堂々と。

 

 イフリートは、赤黒い身体が特徴的で、顔つきは野獣そのもの。狼と犬と獅子が混じえた獰猛な獣。似てると言えばライオン。口の両端に鋭い牙があって、犬ではないな。可愛くはない。

 でも、その顔つきは凛々しくて百獣の王って感じ。

 身体もバカデカくて、プロテイン飲み筋トレしまくり、身体を整えボディビルダー選手大会に望むアスリートみたいなんだ。

 そう、誰が見ても美しい筋肉が彼を覆ってる。腹筋8パック、しかも腰に黄金の布巻きしかしてないから太腿の筋肉とかエグい。逞しい……と、今見ても思う。

 

 対する“深海の乱暴者”リヴァイアサンは、ほぼ海蛇。顔立ちは狐に似てるけど、目元が細目でシュッとしてるから。なんだけど、でも、顔立ちは“竜”。青髭揺らしてコチラを見てる。蒼く煌めくアクアマリンの眼が私達を見据えている。

 身体は長く蛇そのものにとぐろを巻いて目の前に立ってる蒼く煌めく“光色体”。けれども、やはり“水流”の護神なのか、全身は水の様に蒼い光が流れてる。まるで、彼の全身を水が流てれるかの様に。

 

 「え!? イフリート? リヴァイアサン!?」

 

 私も驚いて目の前に現れた“支配者”達を見て叫んだ。2人は、コチラを見ていて、真っ黒な姿では無かった。

 

 「救世主。」

 

 イフリートは私を見たが、直ぐに崩落した月読の塔を眺めた。更に、私達の少し先も。

 

 はっ。とした。私達の少し後ろには、グリードさん、ハウザーさんが居て、更にティアくそ王女と、女に狂った騎士シェイドが居るのだ。

 

 (え……と、この人達は自分の生きる場所を求めてるんだから、それをブチ壊そうとしてる私達はおもクソ敵なんだよね?)

 

 私は何だかこの戦地を眺める様なイフリートを見て、ぎゅっ。と、ロッドを握った。

 

 (確かに、“召喚獣”と言う存在は私には絶対的に必要だ、だって、ティアクソ王女は従えてるんだから。それも“魔導士”……つまり、人間が造り出した“召喚獣”を。)

 

 私はイフリート、リヴァイアサンを見据えた。

 

 (彼等は天然素材。つまり、人の手、魔導士の術で造られた“人形”では無く、一種の生命体。故に……きっと、この世界の“起爆剤”。だからゼクセンさんは“共存”して来たし、“原石”だから少々、面倒臭くても宥めて彼等の“生きる場所”を与えて来た。そう、ブチ切れて破壊されたら困るから、抑えて来たんだ。この破壊力を。)

 

 私はぎゅっ。と、ロッド握り締めてイフリートと、リヴァイアサンを見据えて叫んだ。

 

「お前らの“支配者”は居ない! もう死んだ! だから、これからは私がお前らの“支配者”だ! 従え! クソ野獣ども!!」

 

 不思議なことに、私のロッドはまたもや黄金の光に包まれた。

 それに驚いていたのは、シロくんだった。

 

 「蒼華姉様っ!?」

 

 私はバチバチっ。と、黄金の光が稲妻みたいにロッドを包んでそれを見て、咄嗟に両手で握りしめていた。

 

 (利用されるのは弱いからだ! なら、私が“強者”になってやる! この世界でそれが通用するなら! 私は……強者になってやる!!)

 

 私は茫然と立ち尽くす偉大なる“支配者”、イフリート、リヴァイアサンにロッドを向けていた。

 

 「“聖なる支配者(エレン)”!!」

 

 私が放ったその1言、黄金のロッドはまたもや宝玉が煌めき、周りの両翼は羽をばさっと、羽ばたかせて止まる。けれども、黄金の光は放たれる。

 

 「うあっ!」

 「うっ!」

 

 熱そうに彼等の顔が顰めるのも無理はない。イフリートと、リヴァイアサンの身体は黄金の炎に包まれたのだから。

 

 全身を炎に包まれる彼等を見て、私は言った。

 

 「ここからは私のターン。いい? 暴走は許さない。従って貰うから!」

 

 解らないけど、私は彼らに言ってた。

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