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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第27話 2人の答え

 倒壊しそうなアズール魔導館を前に、私はネフェルさんから聞いた言葉に、眼を開眼するしかなかった。

 

 「どぉゆうことっ!? 建物が本体って!! え? それは最早……ロボットっ!? それともターミ○ーターが支配する世界っ!?」

 

 「落ち着いて下さい! 何言ってるか解らないしっ!」

 

 ネフェルさんに怒鳴られた。

 

 「あ……すみません。」

 

 私はネフェルさんを見た。

 

 「いいですか! この魔導館が無くなったら、どうなると思います?」

 「え……? 」

 (アズール魔導館は……魔法使い目指してる人達が来るんだよね、うん。で、私とミリアも魔導士目指してココ目指した……うん、で? 無くなったら……? え?)

 

 私はネフェルさんを見上げた。彼の銀色の瞳とぶつかった。私は、彼の黒の神父服の胸元掴んでた。

 

 「待って! それって……この世界から魔法使いを目指す人が、いなくなるってこと!?」

 

 私が聞くとネフェルさんは、俯いた。彼は言った。

 

 「それは、ご本人が居るんで。彼に語って貰いましょう。」

 

 静かにそう言ったんだ。私は はっ。として、セクセンさんを見た。彼はもうとてもしんどそうな顔をしていた。私はアズール魔導館、いや、月読の塔を見上げた。

 

 ばっさ、ばっさと未だに警戒して飛んでる黒龍たち。

 

 (ちょっと待って? コイツらは何? そんで……ティア王女達はゼクセン達を殺しに来たんだよね? でも……この黒龍達とは……別? 解んない……どーしよ……解んない……)

 

 私は必死で考えたけど解らなくて……いつの間にか涙が溢れてたんだ。

 

 (飛翠ぃ……解んないよ……何?なんで居ないの? 飛翠っ。)

 

 私の目からは涙が、ぽろぽろとこぼれていた。

 

 「蒼華ちゃん!?」

 「蒼華姉様っ!?」

 

 ネフェルさんとシロくんの声が聞こえたけど、私の頭の中はぐるん。ぐるんで。とにかく、涙が止まらなかった。

 

 (ダメだ……飛翠っ! 解んないっ! 飛翠が居ないと……っ。)

 

 私は蹲っていた。無意識に。

 

 「蒼華ちゃん! お願いだから強くなってくれ! 貴女は、まだ知らないといけない!」

 

 ネフェルさんの声が聞こえたけど、私はもう解らなくて帰りたくて……何故か……呼んでた。

 

 (お父さん………飛翠……。)

 

 でも、聞こえた。

 

 「蒼華!」

 

 その声が。

 

 はっとして振り返った。

 

 「蒼華!」

 

 飛翠が走って来てたんだ……。

 

 私は、立ち上がって彼の元に駆け寄った。

 

 「飛翠ぃぃぃっ!!」

 

 走り……泣きながら……立ち止まって迎えてくれる彼の胸元に、抱きついていた。飛翠は私の頭を抱いてぎゅっ。と、私の頭を胸元に抱き寄せた。

 

 私は泣いてた……帰りたい、もう嫌だと。わぁぁぁと。そして……お父さんに会いたいと……。

 

 飛翠は、私の頭を強く抱いていた。

 

 ✢✢✢✢✢✢

 

 少し経つと、飛翠は頭の上から言った。

 

 「蒼華、聴け。」

 凄く落ち着いた声で。私は顔を上げた。え?と。

 

 彼は言った。

 

 「いーか? 俺らみてーな素人はナメられて利用される。が、見極める力さえ持てば、騙されることもねーし、逆に利用する事も出来る。」

 

 私はそれを聞いて頭を起こした。飛翠は真っ直ぐと私を見て言った。

 

 「蒼華、俺はこの世界をブッ壊す、もー決めた。お前はどーする?」

 

 私はその真剣な眼差しを見て頷いてた。だって、私にとって大切なのは飛翠だ。だから、彼が歩む道なら私も共に歩みたい。

 

 「私もブッ壊す。飛翠と同じだ。」

 フ…と、彼は笑い、言った。

 

 「ならハナシは早ぇな、先ずは……あのくそジジィからブチ殺す。」

 

 飛翠は私の後方を睨み付けていた。

 

 「えっ!?」

 

 私が聞くと、飛翠は私から手を離しアズール魔導館を睨み付けながら言った。

 

 「あの塔の中には“この世界の魔導書”、つまり“魔法”ってのが詰まってる。」

 

 飛翠はそう言うと私を真っ直ぐ見た。

 「ココからが本題だ。いーか? お前はバカで純真で、人を疑う事を知らねー、けどな? それを利用する奴等ってのはどの世界でも居る。」

 「え?」

私が飛翠を見ると、彼は言った。

 「利用されてたんだよ、お前も俺も。」

 「えっ!? 利用っ!?」 

私が言うと、飛翠は言った。

 「あのジジィじゃなく……この世界の“力”を持つ連中にな。」

 「ちょっと待って! どーゆうこと!?」

飛翠は私を見て言った。

 「”支配者“だ。」

 「えっ!? それって……イフリートとか?」

私が言うと飛翠は言った。

 「違和感はあった、”救世主“と崇めといて、お前をフルボッコ。つまり、最初からお前……素人を”支配“すんのが目的。お前はバカだから、力を認められて助けてくれるイイ奴等と思ってたんだろーが、奴等はソレ狙い。」

 え? と、私は飛翠を見た。けど、彼は言った。真っ直ぐ私を見つめて。

 「お前が彼奴等を崇めて救いの神だと傍に置くのが目的、奴等は存在意義を取り戻してーだけ。この世界に、今は”不必要“だから。」

 「ま……待って……じゃあ……なんで……イフリートや、リヴァイアサンは、私を助けたの?」

 

 私は怖くて……飛翠を見て聞いた。けど、彼は言った。

 

 「言ってたろ? 支配者を殺さなくて済む”生還魔法“があるって。それをお前に教えなかったのは、ゼクセンだ!」

 

 いきなりだった。飛翠が怒鳴ったんだ……。私はビックリして、彼に聞いた。

 

 「じゃあ……ゼクセンさんは何をしたかったの?」

 

 私が聞くと飛翠は ふぅ。と、息を吐いた。けど、その眼はとても鋭く、目の前のゼクセンさんを睨んでいた。

 「アイツはお前を利用し、力をつけさせ、支配者を集め、自身を護る”力“が欲しかっただけだ。」

 「えっ!?」

 

 私が聞くと飛翠は言った。

 

 「言ってたろーが、アイツは呪術を施され身動取れねぇ、しかも、”闇魔石“を守護してた”アズール魔導館の化身“だ、本体を護る為に居るよーは守護霊。」

 「えっ!?」

 

 私が聞くと飛翠は更に言った。

 

 「そのジジィが呪術施されて弱ってんだろ? だから、今、狙われてる。決まってた事なんじゃねーの? この世界では。闇魔石をイレーネに渡した時点で。」

 

 私は飛翠の腕を掴んだ。

 

 「ちょ……なんでそんなこと知って……」

 

 けど、彼の瞳がとても真っ直ぐで、私はそれを見据えて何も言えなくなってた。

 彼は真っ直ぐ私を見つめて言った。

 

 「だからブチ壊す言ーてんだろーが。」

 

 飛翠の強い眼差しを見て、私は何も言えなかったんだ。 

  

 

 

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