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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第25話 黄金のロッド▷▷神導者ネフェル

 キラキラと空から川の様な黄金の光が射していた。その行き着く先には突然目の前に舞い降りた“黄金のロッド”。眩い黄金の光の川は、私とシロくんの目の前にある1本のロッドにまるで、空から光を注ぐかの様に流れていた。だから、そのロッドが発光するかの様に光り輝いたのは直ぐだった。

 

 カッ!!

 

 「わぁっ!」

 「シロくんっ!!」

 

 突風と眩い光が襲って、私は彼の身体をぎゅっと抱き締めていた、頭の上から彼の驚いた声が聞こえたから。彼の私より小さな身体が吹き飛ばされない様に抱き締めていた。

 

 でも、突風は私達を吹き飛ばす様なものではなくて、只、いきなり舞った強風みたいな威力だった。

 

 でも、そんなのよりも私が驚いたのは、シロくんがロッドをまるで盾の様に私達の前に突き立て、私の肩を血だらけの右手が掴んでたんだ。

 

 ぎゅっ。て。

 

 まるで……“護る”みたいに。

 

 やがて突風が消えると黄金の光だけになった、空から川の様に流れてたあの光はもう無い。その代わり浮いてる黄金のロッドが光を放っていた。

 

 よく見えなかったんだけど、その黄金のロッドの先端は何やら花の蕾みたいに丸くなっていてそれがいきなり開花したんだ。

 

 眩い光がまたもや私達を襲う。目を開けてられなくて、私は目を閉じていた。ぎゅっ。と、でもはっ。とした。

 

 (シロくんはっ!?)

 

 私は彼を見上げた。彼はロッド持つ左手で目を庇い光を遮ってその眼を閉じてなかった。

 

 私はこの時……彼はとても強く、さっき尊敬し救ってくれた命の恩人でもある、“大魔導士ゼクセン”さんに吠えた気持ちは、“強い信念”があるんだって。覚悟があるんだって。受け入れる覚悟が。

 

 私も目を開けた。しっかりとロッドから放たれる眩い光を見つめた。開花したロッドの先端には円球が付いていた、その円球は砲丸投げの砲丸程度の大きさで、掌で掴めそうなぐらいのモノだと思う。でも、むっちゃ金色に光ってる、その円球の周りには黄金の羽、さっき開花したのはこの羽が閉じていたのが開いたからなんだね。

 

 とにかくなんだか滅茶苦茶強そうなロッドが目の前にあったんだ。やがて、光も落ち着いて優しくなった。

 

 でも、ロッドは浮いていてしかも羽が動いてるんですよっ!

 

 「シロくん! あれ何!? 何でロッドの羽が今から羽ばたきますけど何か!? みたいに動いてんのっ!?」

 「わ……解りません! 僕もこんな“生命体”みたいなロッドは始めて見ます! “魔導書”にも載ってませんでした。」

 

 驚いてるシロくんの声が聞こえた。けれども、ネフェルさんの声が聞こえたんだ。

 

 「“蒼華”ちゃん、僕も“神導者”になってから知ったことなんですが。」

 「えっ!?」

 

 私は後ろから少し躊躇う様な言い方のネフェルさんを、振り返った。彼は黒い神父服を着ている、碧色の長い髪を揺らし、銀の眼は、何処か驚きを隠せないみたいだ。けれど、彼の前にある“神導書”は、パラパラと捲れていた。

 

 「イシュタリアには別の“生命体”が居るんです。」

 「は??」

 

 ネフェルさんの声に私はもう驚きばっかだ。

 

 「別の生命体って何?? 宇宙人っ!?」

 「いえ、その表現は解りませんが。」

 

 ネフェルさんの銀色の眼が“落ち着け”と言ってる様に、睨んだ気がしたので、私は口を閉じた。

 

 彼は言った、とても穏やかな声で。

 

 「僕の使う“神導術”の産みの親とも言うべき存在、それがイシュタリアに住む様々な“種族”とは異なる“生命体”なんです。」

 「オイ! ちょっと待てよ? 今はゼクセン殿の話だろっ!?」

 

 遮ったのはハウザーさんだった。ネフェルさんの左肩を掴んでいた。

 

 彼は、赤と茶色の混じった髪、右目に大きな傷があって、右目は見えていないのか、開いてはいても白い。ただ、左目の金色の光が凄く特徴的だ、

 

 何時もはヘラヘラとしてて、何処か気の良いおじさんみたいなノリなのに、今はとても……なんか……悲しそうだった。

 

 「シロが気にしてんのはソレだろ!? つか、飛翠とグリードも気になるし、悪いがこれ以上イシュタリアのウンチク話なら、俺はアイツらのとこ行くぞ!」

 

 そんなハウザーさんが怒鳴ったんだ、けど、その顔はやっぱり悲しそうだった。

 

  「そんな事は解っている!!」

 

 でも、ハウザーさんも、私もシロくんも……驚くぐらいの大きな声で怒鳴ったのは、ネフェルさんだった。彼もまたとても悲しそうだった。

 

 けれども、ネフェルさんは ふぅ。と、落ち着きを取り戻す様に息を吐いた。パラパラと捲れる神導書を見ながら。

 

 ハウザーさんは彼から手を離したけど、とっても困った様な顔をしていた。

 

 「おい……ネフェル……。」

 

 心配そうだった。でも、ネフェルさんが私を見たんだ。その銀色の眼で。

 

 「僕だって今直ぐに飛翠くん、グリードくんの元に駆け付けたいですよ。」

 

 その後で横に立つハウザーさんを見たんだ。

 

 「ですが、僕達が“生き残る為”には、ちょっとした“疑問、懸念、疑心、違和感“それらを払拭して解決していかないと、のみ込まれるんです! ”猜疑心“に!」

 

 ネフェルさんが怒鳴ったんだ。

 ハウザーさんが、はっ。としたのは直ぐだった。

 

 「いいですか? 蒼華ちゃん。」

 

 ネフェルさんは直ぐに私を見た。真っ直ぐ。

 

 「は……はいっ!」

 

 怖かった……その顔は。でも……。

 

 「ここからは捲し立てます、質問は受け付けない、今は。僕もハウザーも申し訳ないが、“今”のイシュタリアよりも“貴女達”が大切だ。」

 「え……? あの……」

 「質問は受け付けない。」

 

 ギロリと睨まれた。

 

 「す……すみません……。」

 

 (“今”のイシュタリアって何?? )

 

 けれども、ネフェルさんはパラパラ捲れる神導書を見ながら言った。

 

 「先程も言いましたが、この世界に住む者達とは異なる思想、生存理由、力を持つ者達がこのイシュタリアの“空”に居るんです、ですが、基本的に彼等は“何もしません”。」

 「えっ!?」

 

 私が聞き返すと、ネフェルさんは真っ直ぐと私を見た。

 

 「結論を言います“聖上界(アサイラム)”と言う別世界、別の生命体が住んでいます、このイシュタリアの空に。」

 「は?? 申し訳ねーけど、“飛翠召喚”していーですか!?」

 「無理です、彼の為に捲し立ててるんで。」

 

 ガチ切れされた。ネフェルさんに。

 

 (ど……どーゆうこと!?)

 

 「貴女と飛翠くんの“黄金の剣”……それと……」

 

 ネフェルさんは私の後ろに居るゼクセンさんを見た。今もとても苦しそうだ。

 

 「え? 」

 

 私が聞くとネフェルさんは、更に上空を見上げた。私も見上げた。

 

 ゼクセンさんの後ろに立つほぼ、全壊の“月読(つくよみ)の塔”、その上空を旋回する黒龍たち。そう、私を吊橋からバンジージャンプさせた黒龍だ。それが、鴉みたいに集まってぐるぐると塔の真上で、旋回してるんだ。でも、さっきまでの炎とかは放ってこない。

 

 「今は警戒している。」


 ネフェルさんがそう言ったので、私は え? 聞き返した。すると、ネフェルさんは真剣な顔で言った。

 

 「あの黒龍が狙うのは“大魔導士ゼクセン”ではなく、この“月読(つくよみ)の塔”そのもの。イシュタリアの魔導、魔法それらを破壊させる為。」

 「え??」

 

 「蒼華ちゃん、ゼクセンさんは“月読の塔”……つまり、アズール魔導館が“本体”です。」

 

 ネフェルさんはそう言った。


 

 

 


 

 




 

 

 

 

 

 

 

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