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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第22話 アズール魔導館▷▷違和感

 金色の光……、空から一直線に射し込むその光に包まれなから、ぐるん、ぐるんと回転して届くソレは、“黄金の光”放つ剣だったんだ。突進して来る神獣バハムートの前に突き刺さり、その剣から金色の閃光放たれて辺り一面を覆った。

 

 当然、私もその閃光をモロに受けたんだけれども、その閃光でロケットみたいに突っ込んでくる大きなバハムートの身体が包まれて、金色の炎が彼を覆った。

 

 (な……なんなのっ!? コレっ!!)

 

 私は目を見開きぱっちり出来なくて、風の影響で。なので必死に腕で目元ガードしつつ薄目で光景を見た。目を反らすのがどれ程恐ろしいかこの世界で知ったから。気付いた時に、大切な仲間が血だらけなのは何度も経験したから。

 

 私はハッキリ見た。バハムートが黄金の炎で焼かれて悶て、ひっくり返っていたのを。更に、地面に突き刺さった剣の上には今もなお、黄金の光が射していた。更に聴こえる……。

 

 『飛翠っ! 使えっ!』

 

 切羽詰まった様な男の人の声が天空から。何処からともなく頭の上から。その声に飛翠は駆け出していたんだ。

 

 「飛翠っ!!」

 

 まだ、閃光と突風凄いのに彼は気にせず……その光る剣目掛けて疾走して、掴んだ。地面から抜き取り構えて……ひっくり返って金色の炎に焼かれてる、あのバハムート目掛けて走ったんだ。

 

 「飛翠っ!!!」

 

 私にはそれが血迷った行動にしか思えなくて叫んでいた。でも、彼の身体は剣を掴んだ瞬間に、眩く光に包まれていた。

 

 「ネフェル! 何だ!? あれは!」

 

 後ろでハウザーさんの声が聞こえた。私はその声に振り返る余裕が無かったけれども、次に聞こえたのはネフェルさんの声だった。

 

 「解りません……、空から剣が舞い降りた事しか……それが、バハムートを撃退したことしか……。」

 

 普段は冷静沈着なネフェルさんの驚いた様な声が聞こえてきた。でも、私の目は身体を起こそうとする神獣バハムートに突っ込んで行く飛翠しか見えてなかった。

 

 「飛翠っ!」

 

 叫んだ時に、彼は黄金の光放った身体で地面を蹴りジャンプしたんだ。そう……これはあの技!

 

 「“黒の鉄槌”!!」

 

 カルデラさん直伝の剣技! 脳天から振り下ろす剣が、敵の頭をカチ割り、そのまま切り降ろすと言うなんか大技らしい。一撃必殺? とか、なんとか。

 

 ギェェェェェっ!!

 

 「えっ!?」

私はその気味の悪い声に驚いた、確かにこの剣技は威力が凄まじいらしいけど……見た事が無い“瞬間”を目の当たりにしたんだ。

 

 ズバッ!! と、宙から切り下ろした飛翠の剣で、バハムートの姿が……真っ二つに切り裂かれたんだ。

 

 「え? えぇっ!?」

 

しかも、バハムートの大きな黒い身体は真っ二つに裂かれて、文字通り一刀両断されてるので、身体2つに分かれて地面に倒れ込んだ。それも、金色の炎に焼かれながら。

 

 「な……なんだ? え? 兄貴……飛翠は何したんだ?」

 

 グリードさんの声がした。

 

 「知らねーよ! 俺に聞くなっ!」

 

 怒鳴ってた……ハウザーさんが。

 

 と、言うことは? この状況は、この世界に住んでる人達にも、想定外。何が起きてるの??

 

 飛翠が地面に着地して、黄金の光に包まれた剣を肩に乗せて、私達の方を振り返った瞬間……

 

 ドォォォン!!

 

真っ二つに切り裂かれて金色の炎に包まれたバハムートの身体が、爆破したんだ。

 

 「えぇっ!?」

 

私は驚くしかなくて、爆風を背に受けつつ剣を肩に乗せて、歩いてくる彼を見ていた。その背後では、木っ端微塵に消え去ったバハムート。何が起きたのか解らなかった。でも……。

 

 「うっひょ♪ すっげ! 飛翠っ! まじすっげ!!」

 

 歓喜の声上げて飛翠に駆け寄るグリードさんが居た。

 

 (ちょっと待って?? 今の何??)

 

バハムートを撃退したのが、凄いのは解る……でも。何かすっごく、不安に駆られたんだ、グリードさんみたいに喜んであげれなかったんだ。解らないけど。

 

 飛翠は私の前に立つと軽く笑った。右肩に乗せてる剣は、“大剣(クレイモア)”だった。でも、彼は金色に光るその剣の刃を肩に乗せて、変わらぬ涼し気な顔。

 

 「あー……すげぇな、この剣。」

 

 そう1言、言った彼に私は不安になっていた、解らない、なんだか解らないけど、私の知ってる飛翠が……消えていく。そんな思いになったんだ。でも。

 

 「俺、最強♪」

 「俺も最強♪」

と、飛翠とグリードさんが笑い合ってた、しかも肩をがしっ。と、蒼い狼犬のグリードさんが組んでいた、飛翠は笑いながら私を見ると

 

 「そんな俺の彼女は?」

 

 と、ノリを訴えてきたんだ。

 

 は?? と、思いつつ彼等を見ると、隣のグリードさんまでも、ヘラヘラ笑いながら、

 「飛翠の彼女は??♪」

 

 と、ダル絡みしてきた。ので、私は呆れつつも

 

 「………サイコー。」

 

 答えといた。

 そしたら、2人はイェイ♪ と、ハイタッチしてた。はぁぁ。私は溜息つく。が、

 

 「ノリ悪りぃな? お前。」

 

 飛翠に言われた。

 

 (飛翠がバカになった!!)

 

 私は頭を抱えた。 

 

 「い……今のは何ですか? と言うよりも……その剣は何処から?」

 

 此処で我等がアイドル紀州犬に似た真っ白なイッヌのシロくんが言ったんだ、私と飛翠がPresentFouyouしたロッド握り締めて。

 

 私は振り返っていた、今、1番欲しい言葉だったから。

 

 「だよね?? 何なのっ!?」

 

 そう聞いてたんだ、けれども答えたのはネフェルさんだった。

 

 「飛翠くんは……もしかすると……。」

 

 とても驚いた様な顔をして、彼はそう言った。けれど、その時だった。

 

 「バハムートを倒したぐらいでいい気になるなよ!? ふざけるなっ!」

 

 メンヘラ王女様の怒声が響いたんだ。はっ。とした、私達は彼女に目を向けた。彼女は憤怒の表情そのままに、黄金に光るロッドを天に突き立て叫んだ。

 

 「戦神オーディーン! 紫雷の神グローム!!」

 

 彼女の声に上空は雲が渦を巻き、雷槌が轟く。暑い雲が螺旋を巻いて、その雲の周りで稲光が轟いた。

 

 更に彼女は叫ぶ。

 

 「剣神ガルパトス!!」

 

 (えっ!?)

 

 彼女の声に、私は耳を疑った。けれども、その疑問は直ぐに出た。雲が覆う空から3つの黒い物体が降り立ったんだ。私達の前に。

 

 ドォォンと……地を揺らす程の着地。その姿を見て私は愕然とした。剣豪ガルパトスさんが、真っ黒な身体をして双剣握って着地したんだ。

 

 「ガルパトスさんっ!?」

 「あ?」

 

 それには飛翠も驚いた様で声を発していた。そう、飛翠の第2の剣の師匠が、イフリート達と同じ様に真っ黒な身体して降り立ったんだ。その姿は、変わりない。でも、全身が真っ黒でその眼が氷の様に冷たい。

 

 私達に向けてるのはハッキリとした殺気だった。

 

 「ど……どーゆうこと?」

 

 私は呟くしかなかった。でも、隣の飛翠は何も答えなかった。ただ、目の前に居る者達を睨みつけていたんだ。

 

 (もう……帰れない……。)

 

 何故だか、何度も思って来たけどこの時改めて思ったんだ。彼の強い“憎悪”混じる眼を見て。不安しかなかった。私は。

 

 でも、ティア王女は空に黄金の光放つロッド掲げたまま叫んだ。

 

 「“神獣王バルバロス”!! “聖騎士の亡霊ディアマントス”!!」

 

 (は? 乱発っ!?)

 

 私はビビった! どんだけ呼ぶのよ! と。ティア王女の声に金色の光に包まれるロッドは、空に向かいその光を放ち渦巻く雲から黒い光が続々と射し込み、私達の目の前に姿を現す。


聖騎士の亡霊デイアマントは、1人ではなくて騎士の格好してるけど、ほぼ覆面状態の奴等で、ずらりと並んだ。剣を握り構えた騎士達は強大で、それも10人は居る。

 

 「な………なんなのっ!? これも召喚獣!?」

 

私は飛翠の腕を掴み叫んでいた。けれども、彼は右肩に剣の刃を乗せて彼等を見据えて言った。

 

 「知らね。まー……ブっ潰す相手なのは変わらねーな。」

 

 冷静沈着な声が返って来て……私は不安に駆られていた。

 

 (どうしよう……ナニか……飛翠が可怪しい、ブチ切れてるとかではなくて……、ネフェルさんとかに言っても……解らないよね、元々を知らないんだから……、誰か……飛翠を前から知ってる人が……、欲しい……。)

 

 不安しかなくて私は頭の中が一杯だった。 

  

 

  

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