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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第19話 月読の塔▷▷蒼華と支配者たち

私は飛翠(ひすい)から離れると、風の精(シルフ)の王シーラさんに叫んでいた。

「私は何処にも行かない! イフリートとリヴァイアサンを助けるのっ!」

「は??」


シーラさんはとても美しく成長したけど、そのクソ生意気な性格は変わらないらしい、私を見て何言ってんだ? と、言わんばかりの顔をしていた。でも、彼はサラサラとミントブルーの長い髪を揺らしながら言った。


「じーさん死んでもいいの?」

「!」


私は咄嗟に両手握り締めてた、いつもならこの手は”ロッド“を握ってる。でも、今はない。だけど、握り締めた。


(もう……“お試し”は充分。私は……私の“意志”で動く! もう誰も……喪わない為に! ゼクセンさんを助ける為に!!)


私は叫んでいた。


「お願いしますっ!! シーラさん! ゼクセンさんを助けて下さい! いえ、少し力を貸して下さい!」


あ? と、シーラさんの表情が険しくなった。でも、私は言った。


「私は! 私を助けてくれたイフリートとリヴァイアサンを助けたい! だから! 私が助けたい! その為に力を貸して下さいっ!!」


私は彼に頭を下げていた。思いっきし。すると、思わぬ所から怒鳴り声が聴こえた。ネフェルさんだった。


「無理です! 貴女、今“魔導力”ナシです! 魔導力の源(ロッド)が無いんですよ!? 解ってます??」


私は叫んだ。


「うるさいっ!!」


最早……私は暴走してた。でも、これは……”賭け“だ。ティア王女も言ってた。

この世界(イシュタリア)は力のある者が強者。』だと。だったら!! 私は右腕の金色のバングルを掴む。


金色のバングルには、灰色の石になってしまったイフリートとリヴァイアサンの石がある、けれど、“大地の暴君(タイラント)”、碧風の女帝(アトモーネス)”、樹氷の獅子(ライムス)”の継承石が嵌めてある。  


私はその宝石たちの上に手を重ねた。


(お願いっ! “チカラ”を貸して!!)


私は叫んでいたんだ……、空に右手突き上げて。そう、ロッドを突き上げる様に。


「大地の守護神……“大地の暴君(タイラント)!!」


カッ!!


と、私のバングルの金色のダイアモンドカットの宝石が煌めく。私は更に叫ぶ。


「疾風の女神“碧風の女帝(アトモーネス)”!!」


カッ!! 

碧色の光が放たれる。

サファイアのハート型の石が煌めく。


「氷の化身“樹氷の獅子(ライムス)”!!」


バングルから最後の光が放たれる。ティバーカットの蒼い宝石が煌めく。


私達の上空が渦を巻く……、金色の曇が渦を巻いて彼等は降りてくる。金色の光に包まれて。威風堂々と。


ドォォォォン……。


それは地響きと、地揺れ。私達の前に現れたのは金色の光放つ3体の支配者たち。けれども、


カッ!!


と、3体から眩い程の金色の光が放たれた。辺りを、私達を包むように。


「わっ!」


私と飛翠もその光に包まれた。


でも、少し経つとその光は消えて彼等の本来の姿が現れた。タイラントは、茶色の身体した鬼だ。ライムスはその名の通り、雪氷のライオン、身体が雪氷で包まれたライオンだ。


アトモーネスは碧色の身体した大きな怪鳥だ。巨大な羽をバッサバッサさせて、言った。


「あら? 見た顔だねぇ? どうしたの? “炎上野獣”と、クールビューティー“、真っ黒だけど?」

「え?? クールビューティー??」


私が聞くとアトモーネスは大きなその羽を閉じると、言った。


「私等の中ではね。」


そう、彼女はメス。珍しく。


「信じられない……魔導力の源(ロッド)が無いのに……“召喚”? しかもさっきの金色の光は何だ? あ"? 破天荒にも程があるっ!!」

「オイっ! 俺にキレんなっ! ネフェル! 飛翠か? お前わっ!」

ネフェルさんとハウザーさんの喧嘩は放置で。


「で? 救世主? イフリートとリヴァイアサンはどうした? 見た所……真っ黒だが?」


そう言ったのは大地の鬼タイラントだ。


「わかんない。私と飛翠の”武器“が消えたの、弾けたの。で、そしたら2人が出て来たの。」


私がそう言うと雪氷の獅子ライムスが大きな氷の鬣ついた首を傾げた。


「武器……剣とロッドか。」

「ああ。ゼクセンから貰った武器だ。」


彼の言葉に飛翠が答えた。う〜む。と、アトモーネスが綺麗な碧色のトサカついた頭をふる。ふるふると横に。


「そなたらはそもそも”破天荒“だからな、だが、ゼクセン殿が関わっていて、それも嫌な奴等もいる。となると…“試練”かもしれぬ。」


アトモーネスはバッサバッサと碧の羽を羽ばたかせた。え? と、私が聞くとタイラントが言った。


「月読の塔におるのはバハムートだろ? となれば、ティア王女、シェイド殿がおる。そこにゼクセン殿だ。救世主……早くも“世界の終末”が来たのかもな。」


タイラントは私と飛翠を見て何故か……にやり。と、牙のある口で笑った。けど、ライムスが


「タイラント、お主は少し妄想癖がある。それは女子(おなご)に嫌われるぞ?」


言ったんだ。


「うるさいな。お前こそ“ライちゃん”って嫁に首輪つけられてんじゃねーか。」

「お前がうるさいわっ!」


え? 何ですか?? 仲良しさん??


バッサバッサとアトモーネスが羽をはばたかせて、ホッホッホ。と、笑った。


「久方振りで会話が止まらんのぅ。けど、救世主、急いだ方がよい。ここは任せよ。腐っても元は支配者、イフリートもリヴァイアサンも“魂“までは支配されておらんじゃろうて。」


アトモーネスがそう言うと私にトサカついた頭を下げた。え? と、聞くと


「ん? これから戦うのでな。いい子イイコは必要じゃろ? 救世主。」


長い嘴の口元が緩んだのは気の所為かな? 私は、彼女の頭をイイコ、イイコしてみた。めっちゃふっさふっさ。


撫でたら直ぐだった。 頭を上げて大きな羽を広げた。


「行くよ! お前ら!」


そう言うとキエェェ!! 鳴いたと思ったらその口元に碧色の光の円球を溜め始めたんだ。


「わっ!」


眩しい光の中でアトモーネスの開いた大口から、放たれる。


「“女帝の怒り(アトモシーラス)“!!」


アトモーネスから放たれたのは碧色の旋風巻き起こす波動砲だった。見た事ないその大きな波動砲は、私達にも旋風を与えつつリヴァイアサンに向かっていったんだ。


けど、リヴァイアサンは海龍の長い首を上空に上げて吠えた。


グェェェェっ!!


気味の悪い鳴き声で叫ぶと、大津波が私達に向かって来たんだ。けど、その津波の前に立ったのは、雪氷の獅子ライムス。


彼は跳び上がり頭を振り下ろすと、


カッ!!


と、一瞬で白色の光が津波を氷漬けにして破壊した。凍結した津波が破裂して氷の粒が辺りに煌めく、その中を彼は降り立つ。


「え?? 何? バチ? これくらってたら私……秒死ですよね??」


ちょっと怖くなった。余りにも凄い力のぶつかり合いで。だって、あのアトモーネスの波動砲を津波が消して、それをライムスの凍結??


私……よー生きてたわ。


「だから殺さぬ様にしてただろ? 感謝するんだな。」


雪氷の獅子にドヤ顔された………。

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