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第3話 ダンジョンの掃除屋集結!

すいません。今回モンスターネタがあまり掘り下げられず、短めです。

 新たなモンスターを求めて、別の場所へと移動を決意。しかし、その通路たる場所にワイアームが陣取っていた。なにをどうしたって、スライムの亜種であるゼラチナス・キューブである俺が勝てるわけもないので、逃げる。

 その逃げる途中に不自然な横穴を見つける。もしかしたら、この横穴はワイアームを避ける為に作られた抜け道と考えた。

 まだ見ぬモンスターに心躍らせ、いざ穴の中へ――はい、詰まりました。


 穴の幅が狭くて詰まっているわけじゃない。粘液状生物なので、周りの地形に合わせて移動なんて余裕です。それで、なんで詰まってるかって? そんなもんは決まっている、()()がいるからだ。

 今、俺の目の前にいるのは “クロウラー” である。


 クロウラー――体長約3m程のイモムシみたいなモンスター。頭部には大きく開く丈夫な顎と、鋭い歯が並ぶ口があり、その下には8本の触手がある。


 なんというか……イモムシみたいなモンスターだけど正確にはイモムシではない。なんと言えば言いのか……ゴカイとイモムシを足したような見た目だ。イモムシとの違いは成長しないところだろう。でも、ゴカイでもない。()()してはいけない、とか言ってみる。

 簡単に説明すると、主にミミズやゴカイなどの柔らかく細長い虫に似たモンスターを『ワーム』と呼ぶ。

 蝶や蛾などの幼虫――つまり、イモムシに似たモンスターを『キャタピラー』と呼ぶ。

 そのワームとキャタピラーを足したような、カンブリア紀にでも居そうなイモムシみたいなモンスターを『クロウラー』と呼ぶ。


 大雑把に区分するとこんな感じではある。そして、驚くなかれ! なんとこのクロウラーには別名があったりする。

 それが――ダンジョンの掃除屋。

 わーい、やったね! 同業者が増えたよ! って、嬉しくない。出来れば、出会いたくないモンスターです。別に襲われる危険性が高いとかじゃないんだけど……現に今だって襲われてないわけだしね。うん、まぁね、薄々は感じていたことなんだよ。目の前のクロウラーを見つけた時には既に。

 入って来た横穴が大分広くなってるからね、約3mのクロウラーが余裕で通れる幅になってるし、ちらほらと更に横穴があるからね。多分、これらは彼()の通り道なんだと思う。


 そうクロウラーが居るってことは、その近くには “奴” が生息していることが非常に高い。そして、俺は奴には絶対に会いたくない。

 いやいやまだ慌てることじゃない……クロウラーがいるからって、奴が居るとは限らないんだ。どこかに居るとは思ってたよ、ミノタウロスの集落を見た時にね。糞尿を垂れ流すだけとはいえ、トイレを用意しているのだから。だからってこの近くに居ると決まったわけじゃない、なによりその集落からここまでだいぶ離れているからこの近くに居る方がおかしいんだ。


 大丈夫、きっと奴は居ない……そう自分に言い聞かせるように頭の中で考えていた。一抹の不安を抱えながらも移動を続けるが、突然なにかに捕まれ別の穴へと引きずり込まれた。

 だぁぁあ! マジ勘弁してくれよ! スライムを捕食しようとするバカは誰だ⁉ まともに食えるモンスターじゃないだろ⁉

 はい、出会ってしまいましたよ。一番出会いたくなかったモンスターに。どうやら俺は奴に捕まってしまったようだ。周りを見れば、誰が俺を捕まえたのか一目瞭然だった。

 だって、ここ――汚物溜まりなんだもの。

 嫌ー! 無修正でその汚物溜まりを見せないでくれー! 誰かモザイクを⁉ と、心の中で叫ぶも現実は無慈悲である。嗅覚が無いのが、せめてもの救いだと思った。


 最も不潔な場所に棲息する汚らしいモンスター―― “アティアグ” 。

 体長2~3m。脚が3本あり、肌の色は褐色や鼠色をした卵形の胴体部分に鋭い牙のついた巨大な口がある。脇や頂部からは触手が3本生えている。脇から生えている2本は先端が木の葉の形をしており、鋭いトゲで覆われている。頂部に生えている残りの1本には2つの目玉があり、ここには視覚器官とともに嗅覚器官もある。


 このアティアグもダンジョンの掃除屋として認識されてはいる……しかし、別の名で呼ばれることのが多い。

『糞喰らい』と。だから、会いたくなかったんです。誰が()(この)んでこんな汚物まみれのモンスターに会いたいと思うかね。

 糞やゴミ屑、腐肉を漁る不思議な雑食性の腐食生物として知られるアティアグ。普段は汚物や腐肉を食するが、他に何もない場合や襲われた場合は生きた者も襲い、腐肉にしようとする。

 はい、つまり俺を腐肉しよう捕まえた――わけじゃない。多分、本当はクロウラーを捕まえようとしたと思う。だって、未だに喰われる様子がないもの。まぁいくら雑食でもスライムは無理だろうしなぁ。


 いや、確かにアティアグも面白いは面白いんだけどね。こんな生態でありながら、かなり知能が高かったりする。まず、仲間同士の意思疎通ができる、その方法がまた変わってて面白い。臭いを発して会話するのだとか……嗅覚がないので確かめようがないけど、いや嗅覚があっても確かめる気はないけどな。そもそも、この汚物溜まりで嗅ぎ分けなんて出来ないし。

 花の臭いが『失せろ』。腐ったリンゴの臭いが『腹減った、飯ないか?』。古いワインの臭いが『負傷している。助けてくれ』。と、使い分けているらしい。


 仲間同士の意思疎通だけにとどまらず、なんと “言語能力”があり、人語を解するほどの知能がある。なんだってそんな知能が高いのに、こんな所を生息域にしたのかね? 不思議だけに面白いと感じる。


 そんなわけで、目の前にいる4体のアティアグがなにやら会話をしているようだ。おそらく、こんな感じだろう――


『お前なにやってんだよ⁉』

『ゼラチナス・キューブなんて食べられないぞ』

『仕方ないだろう! 穴の前を通りかかったのを捕まえてみただけなんだから』

『腹減った、飯ないか?』

『『 その辺の糞でも食ってろ 』』


 彼らの動向を注視するとこんな感じだと思う。まぁ用がないのであれば、早くその触手を放してもらえると助かる。ホント勘弁してくれ……なにが悲しくて、異世界でス○トロ&触手プレイをしなきゃならんのだ。俺は、そんな特殊にして稀な性的嗜好なんて持ち合わせていない。だから早く解放してくれ。

 本当はクロウラーを捕まえるつもりだったんでしょ? なら早くした方がいいよ。話してると逃げられるよ、さっきのクロウラーに。

 クロウラーは、アティアグの巣穴の近くにいることも多く餌を横取りしようとするからね。逆に餌にもされているわけか。


 ――あれからしばらくして、アティアグから解放されたのであの汚物溜まりか離れた。そりゃあ、もう脇目も振らずに一心不乱にな! 一刻も早く離れたかったんでな!

 しかし、それは早計だったかもしれない……元の道がわからない。連れて来られた道をもっとしっかりと把握しておけばよかった、と後悔した。

 今、居る場所はダンジョン内ではあるんだろうけど天然洞窟の様相をしていた。汚物溜まりから考えて、ここはダンジョンの階層と階層の間にある、下水道みたいなものかもしれないなぁ。さしずめ、アティアグの巣穴は下水処理場ってとこか。


 当面は元のダンジョンに戻ることが目的――いいえ、その前に水場を求めます。元の場所に戻る前に、綺麗な体に戻るのが先決だ。早くこの汚れた身体を洗いたい……いや、真剣(マジ)で。


 身体を洗える水場を求めて、再び徘徊を開始……そういえば、粘液状生物の俺って水に浸かることが出来るのか? そんなスライムが水に入れるのか、粘液状生物において最大の謎を確かめるべく水を探しに出る。

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