逸 話 オリティエ地下大迷宮 概要書Ⅰ
今回は、本編と異なるお話です。10話まで来ましたのでここで一度軽くではありますが、世界観や大墳墓に関しての設定に触れておこうと思った次第です。
説明なしで、話を読み続けるのは辛いのではないのかなとも思います。しかし、こちらは読み飛ばしても問題ありません。主人公とは別視点にてお送りしてますので。
主人公と共に謎を解き明かすも良し、全てを読み更に深みを楽しむのも良し、です。
どうぞ興味がある方は読んで下さいませ。
オリティエ地下大迷宮。
いつの時代に造られ、誰が何の目的で造ったのか一切不明。
一説によれば、神が造りし神殿と言われている。あまりにも広大な迷宮だけにそう説く者がいる。現在までに行われた調査を統合すると、その大きさはおよそ1,500,000km² にまでに及ぶ。これでも地表近くである上層部だけに限ったことである。しかし、神が造りし神殿等とは突拍子もない噂に過ぎない。
調査を進めれば進める程に人為的に造られたものであるのは明らかだ。建設様式は年代ごとに異なっている箇所があるが、人間の手によって造られていることは判明している。故に、神が造ったものではないと言える。
オリティエ地下大迷宮、内部構造について。
古くは千年近く前から内部調査が行われ、人間は長い年月を掛け大まかな構造を理解するに至る。
地下大迷宮の構造は、大まかに3つに区分けされている。
上層部。
10階構造による迷宮。この上層部が主に調査対象となる。又、地下大迷宮と呼ばれる所以でもある。
しかしながら、人間が立ち入れる領域は第3階層までである。10階構造であることが判明したのは、現在までの長い年月と国による幾度かの大規模調査によるものである。
広大な地下大迷宮を人間が踏破しうるのは第3階層が限度であり、それ以降の階層は死を覚悟しなければ赴くことを許されない。
中層部。
大自然が広がる未知の区画。しかし約200年前までは、その階層に到達したという明確な記録は残されておらず、信憑性は薄かった。けれど、勇敢にして幸運に恵まれた者達がその階層へと辿り着き、中層部の存在が実在したと判明。
残念ながら、その記録はその場到達したところで終わりを迎えた為に詳細は未だに不明のままとなっている。
安全と確実なルートを確立し、今後の調査続行を願う。
最下層部。
前人未到の区画――にも関わらず、最下層が在るとなぜ分かるのか。事実確認は未だされてはいないが、世界各地に残された僅かな記録や文献などから推察すると最下層部は存在しているという結論に至る。
断片的に残された記述を頼りに最下層に到達に至ったのは2回程であった。ただ、どういった場所であるかまでは記載されていなかった。
ただ、信憑性は低いが興味深い記述が一つだけある。それは、抜け道の存在だ、確かに広大な地下大迷宮の最下層に到達するには、その様な道がなければ事実上不可能であると思われる。
今後はこの抜け道の発見に重点を置きべきではあるが、それは叶わぬだろう。
オリティエ地下大迷宮の調査目的。
古くは技術の発展の為であった。まだ我々人類が未発達であった頃はこの地下大迷宮から多彩な技術を持ち帰り文明を発展させていった。
今日では、その目的は変わっている。現在においても革新的な新技術が発見されることもあるが、それはあくまでも副産物に過ぎない。現在では失われた魔術を取り戻すのが主な目的となっている。
約400年前のある日を境に隠匿するかの如く、多くの魔術に関する物と者が失われた。その理由は定かではないが、しかしながら確かに地下大迷宮には失われたモノが残されていた。文明を発展させ、国を繁栄に導く為には必要不可欠なものだ。各国は躍起になりその失われた技術を求め、オリティエ地下大迷宮を調査する。
オリティエ地下大迷宮は、各国の所有するものであるが、どの国の独占地でもなかった。奇しくも、六大国家が取り囲むように中心地に存在しているからだろう。それ故に、どの国も独占しようと強行策に出ることが出来なかった、すれば条約違反となり残りの国から攻め入られるからに他ならない。
六大国家を含め、その他の国も虎視眈々と失われた魔術を独占し、世界の頂点に立つことをつけ狙っている。早急に我が国が見つけ出す為にも調査をより一層行わなければならない。
調査に際する懸念点。
広大な迷路に加え、魔物が数多く生息していること。多種多様な魔物が生息し、その大半が地上には生息していないものであることが最大の難点でもある。未確認魔物である為に対処法が見い出せず、又地上の魔物と比較すると強力な魔物である。
主には、この二つの理由から調査が難航している。千年近く調査をしておきながら、その詳細を掴めずにいるのはこの魔物の出現が要因となっている。
地下大迷宮、特有魔物は希少でもあることから捕獲が優先されている。ただし、捕獲が成功した例は極少数である。捕獲任務もまた調査の妨げの要因であろう。けれども捕獲することによって解明された事柄も存在しているのも事実である。その事実とは、失われた魔術に類する技術に依って生み出されている可能性があるからである。我々が知らぬ技術の残滓が発見された為に、魔物を研究することに依り新たな魔術を再生させうる可能性が秘められている。
しかしながら捕獲を優先するよりも、内部調査を優先させればその魔物を生み出す基を探し当てられるはずである。効率を重視するのであれば、魔物は排除し内部の安全面を確保し探索しやすくすべきだ。
訂正。最大の懸念点は国王の姿勢だろう。地下大迷宮調査に関してあまり熱心ではないのだ。現状の文明で満足してしまっている。それはこれ以上の発展は国民にも影響を及ぼし、国の在り方が変化することを危惧しているのだ。
国民がもし魔術で力を手に入れたら王でいられなくなるのではないか、と考えているのだ。
己の保身しか頭にないのだ……なんと愚かな思考だろうか。失われた魔術を手に入れさえすれば、国王どころか、世界の覇者にもなれる可能性が大いにあるのだから。
オリティエ地下大迷宮 調査概要書 エルパオロ=ツィアーノ=エルコッベ 記す
男は洋紙を手に取ると執筆していた机から離れる。そして、丈夫そうな小箱へとその洋紙を入れ、錠を付け石壁の中へと隠した。
再び机へと戻ると気怠そうに溜め息をつきながら執筆し始めた。
**************
この調査概要書は後の世にて発見された、オリティエ大墳墓に関する断片の一つ。
時代背景とその時代の情勢が垣間見える興味深いものであることが覗える。しかし、エルパオロ=ツィアーノ=エルコッベが残した物はこの洋紙だた一つであった。
こんな感じの内容を今後も10話ごとに差し込みたいと考えてます。
どうでしたか? 更に謎が深まったのではないでし――あっそんなことはないですね。(笑)
特に大した設定開示ではなかったので、楽しんでもらえないのではないかと不安です。
ただ、作者の私はこういった別視点による物語展開などが好きだったりします。
新たな視点で新たな解釈が生まれるからです。
こんな物語ですが、楽しんで頂けることを願って今後も頑張って執筆していきます。




