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仲間の亡骸と血塗られた掌  作者: 菜草
一章
2/4

味方の血肉とピエロ

「ーーーは?」

間の抜けた声は僕のものだった。影は確かに「これから行ってもらう世界」そう言った。


影を見ると、気のせいかもしれないが少し楽しそうに見えた。


「至極突然の反応だね。誰だって急にこんな事を言われたら驚くものだ」そう言い終える。


影に弄ばれている気がして苛立つ僕を尻目に影は続ける。


「だけどこっちの都合で少し時間を押していてね余り君のその反応を楽しんではいられない」


「ならさっさと本題に入れよ」僕は苛立たしげに髪を乱雑に搔きあげそう告げると。


「そうするとするよ」と楽しげにそう言い終える。


「もうこの影も必要ないか」独り言の様に言うと、言い終えた直後から影が引いて行く。世界がその言葉を待ち望んだ様に自然に。


少しずつ影が引いていき、先程までの形相が嘘の様に感じられるほどだ。


そこから、中性的な顔立ちと、白髪の短い髪が露わになる。


一連の不可解な事象への僕の驚嘆も何処吹く風とばかりにそれはいう。「そういえばまだキミはボクの名前を知らないのか、ボクの名前はミゼ」そう少し高い声の持ち主、ミゼはそう告げた。


「一様僕も名前を言おう。樹悠斗短い付き合いにしたいけどあまり期待しないでおこう」


「何度も聞いたよ。キミの声を覚え始めてしまった辺りで数えるのはやめたけど」そう言い終えて一拍置いて続けてこう言った。「短い付き合いの方は今日で会うのは最後になる訳だし良かったね、お互いの為にもそれが一番だ」


軽口を叩き合った後僕は「じゃあ本当に本題に入ってもらおうか。時間がないらしいしお互いの為にも早く終わらせられればそれに越したことはないだろ?」


ミゼは長いため息を吐き終えた後に続けて、「どうすれば他人にそんな事を言える人間に育つのか、親の顔が見て見たいものだね」


「まーそうだね本題に入ろうか。でも困るのはキミな訳だし別に構わないのだけど」


「キミをこの空間に招待した理由、それは異世界に行ってもらう為だ。話したっけ?まーいいやそれと最終的には魔王を倒してもらえれば願ったりかなったりな訳だけど」


ミゼは首にかけてある時計の首飾りの様な物を取り出して、そこに目を運ぶ。


「やっぱり時間が押してるなー誰かさんが理解力がないばかりに」


時間がないらしいしこの皮肉は無視を決めることにした。


「異世界の説明もしたかったけどまーその形相ならきっとあっちで説明されるだろうしいいか」


さらっと仕事放棄宣言しやがった目の前のクソ野郎に何か言おうかと思ったけど僕も大人な訳だし、許してやるか。


「先ず魔王に関しても説明されるだろうし少し省くけど、あいつは10人の、何だろうな直属護衛軍を倒さない限り魔王は倒せないから、まー頑張って」


なんかどこかで聞いたワードが聞こえた気がするけど、まーいいや。


「面倒だから最後にするけどキミが異世界に行った後の話だ」


ミゼは仕事放棄を重ねる発言をしたがそれは置いといて、「異世界に行った後の話?」聞き返すと。


「そうそう。憧れてやまないだろう異世界に行ける訳だ。当然対価を払うのは必然だろう?」そんな事を。


「ほぼ強制的に話が進められてるんだが対価も払わないと行けないのかよ。因みに拒否権は?」


「察しがいいね拒否権なんてものある訳ないじゃないか。それにこっちとしてはその対価が目当てでこんな面倒な事やってる訳だし」


なんだろう急にヤクザか何かに見えてきたぞこいつ。拒否権無くて対価も払わせるのか。


「それに」とミゼは続けて「それにキミは承諾したじゃないか、勝手に忘れているだけで」


いや覚えてないしな。


「まーいいや。とりあえず対価の方を言えよ話はそれからだ」


「話したところで拒否権ない訳だし、時間もない。あまり意味の無いことにかわりはないがそうだね」と一拍置く。


「キミと僕が入れ替わる。それだけと言っても身体が入れ替わる訳じゃ無いから変な想像しないでね」


想像も何も女だったのか。というか何て言ったこいつ?


「簡単な話さ、今いる世界、今走っている線路の交代をしようって訳だ」


「いや意味わからない。それをすることで何の利益がある、ここまで面倒な事をしておいて、こっちの人に危害は加えるのか?」


気味の悪い笑みを作った後に「もう時間だ」とこの話の打ち切りを告げる。


影の時と同様に世界がその言葉を肯定する様にこの真っ白い空間が崩壊する。


「次に目を開くとキミの知る世界は全くの別の世界だ。楽しみにしているといい」整った顔を歪ませそう言ったミゼの姿はもういない。


どちらともとれるそのセリフに唇を噛みこの行き場のない激情をぶつける。


支配者が居なくなった世界はこの空間の崩壊を加速させていく。
















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