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陰キャラなのかな?


 どういう女子なのかすら分からないままに、俺とサトルとで新作パンを棚から全て買い占めをした。この光景にはコンビニの店員は慣れっこであり、特に何かを言われるわけではない。


 しかし陰の女子は店員には初顔なだけに、俺たちと同じ新作パンを手にしていたことには驚きを隠せなかったようだ。


「サトル。で、今日はどこで食べる? その前にいい加減、あの子を俺に紹介してくれ」


「食べる場所はいつもの公園な。んで、彼女は――」


「葛城高久さん……」


「おわっ?」


 気づいたら目の前にいた。さっきまで建物の壁に張り付いていたはずなのに。この子もしや、そういうキャラか? 声はクールボイスだし、ゆかりなさんよりは背も大きいし……髪が長くて片目を隠しているっぽいけど、意図的なものは感じない。そんなことよりも何故にフルネームで呼ばれるのだろう。


「そ、そうだけど。えっと、キミが新加入の……」


那月佐那なつきさなです……さなとお呼びください……葛城さん」


「さ、さなさんだね? よ、よろしく――って、ちょっと? どこに行くの」


 とりあえず握手を求めようとしたら、彼女はそそくさと俺の元から離れて、再び建物の陰に隠れながら俺を見つめている。どういうことかな。


「まっ、そういうことだ。悪い子じゃないぞ。高久は気に入られているし、いや、多分好かれている」


「ホワイ? 初対面だよな?」


「お前はそうだな。だけど、那月はお前のことをずっと知ってるらしいぞ。それこそ花城と付き合う前からな」


「……陰キャラか?」


「いや……それに関しては否定も肯定もしない。けど、悪い子じゃない。だからお前ならすぐに慣れるはずだ。恥ずかしがり屋だからパンを食べる時も近くには来ないだろうけど、近くにいるから気にするな」


 もの凄く気にするっての! そりゃあ悪い子じゃないのは何となく分かったけど、何で俺なの? それもゆかりなさんと付き合う前からって……ずっとどこかの陰で見つめられていたとか? 嘘だろ……。


「せっかくパン仲間になったのに、離れた所からってそんなのありか?」


「ありだろ。あ、それと……いや、今はいいや」


「言いかけてやめるなっての。というか、新加入はあの子だけなの?」


「あと一人いるよ。それも女子! スゲーだろ。高久が青春出来そうな感じだぞ。花城とそういう関係かもだけど、まだ決まってもいないんだし女子と仲良くするくらい、いんじゃね?」


「いやいや、俺にそれを言うのか? ゆかりなさんは一途だから気を付けろって言ったのはサトルだろ。何でわざわざ、火に油を注ぐようなことをするんだよー」


「花城に隠すようなことでもないだろ。友達が出来たってことを花城に言っとけばよくね? そうすれば別に何も起こらないし、パン仲間の女子にとやかく言わないと思うぞ。それに、高久が那月とかもう一人の女子とどうこうなるわけじゃないだろうし、心配ないだろ」


「いや、まぁ……ううーん」


「とにかく、公園行くぞ」


「お、おー」


 公園に向かって歩き出すと、さなという女子は一定の距離を置きながら俺たちに付いて来ているようだった。パン仲間なのに離れて歩いてるし、何故か俺だけ見つめて来るし……どういうことなんだか。

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