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夢の中は拘束だらけ!?


「――んむむ……ハッ!?」


 ゆかりなさんを俺の部屋へ閉じ込めた後、スーパー土下座を繰り広げようとしたのが、勢い余って彼女の体に乗っかる様な体勢になってしまったまでは覚えている。そこからダイブすれば、間違いなく思い描いていた夢の中に突入出来ると信じて疑わなかった。

 

 しかし今自分の体に感じている感触は、下半身だけがゆらゆらと揺れた感じになっていて、心地いい適切な温度のお湯の中にいる感覚だったりする。両腕に関してはまるで身動きが取れない状態で、誰かに捕まえられているような危機的状況のような気がしないでもない。


「起きた? 目を開ける?」


 どこかで聞き覚えのある女子の声が部屋の中で響き渡っている。もしやここは地下室か何かかな。


「はいはい、起きていますよーって、椎奈さん? あれっ? ゆかりなさんは!?」

「ここにはいない。いるのは椎奈と高久お兄さんとお姉さんが二人だけ」

「はっ? お姉さんが二人……もしや」


 それよりもここはいつぞやに来たことのある花城の温泉だった。俺の両腕には見知らぬお姉さんが、がっちりと腕を掴んでいて、下半身だけが湯船に浸かっている。もちろん自分だけが裸になっていて、大事な所は海水パンツを履かされているので何も心配はなかったりする。


「熱い?」

「い、いや、丁度いい湯加減でございますよ。じゃなくて、俺は確かゆかりなさんにダイブをしたはず……それがどうして花城の本拠地にいて、拘束されているのかな?」

「覚えていない?」

「夢にダイブするところまでは覚えているよ。椎奈さんはどうして俺を?」

「しいちゃんって呼んでいい」

「えーと、しいちゃんはずっと俺を眺めていたのかな? そしてこのお姉さんをどうにか出来ないの?」


 黒服でサングラスなお姉さま方はずっと無言のままで、きっちりがっちりと俺を拘束してくれている。以前は同じ場所にゆかりなさんがいて、同じ湯船に浸かっていただけに今の状況は何とも言えない。


「出来る。しいも入っていい?」

「ふぁっ!? え、えーと湯船に浸かるのかな?」

「ん、入る。お兄さんと一緒に。だからどうにかするけど、いい?」


 いいと言えばいいに決まっている。しかし新たな問題は、椎奈さんが果たして、着ている服とスカートを脱ぐか脱がないかで、何かの運命が決まってしまいそうで怖い。


「お兄さんどうする?」

「ふ、服はさすがに脱がないよね? いくら義理の妹でも裸の付き合いは非常に危険なわけだし……」

「脱がないと洗濯が大変。だから脱ぐ」

「いやいやいや! 駄目だって! それこそ大変な目に遭うんだからね?」


 本当なら嬉しい出来事なはずなのに、黒服お姉さまたちに見張られている挙句、身動きが取れないこの状況は、著しく自分の思考力を低下させているとしか思えない。


「じゃあゆかりなを呼んでくる。お兄さんはそのまま待ってて」

「ほえ? ゆかりなはここにいるんだね?」

「いるよ。呼んでくるから、そのまま」

「まぁ、動けないんだけどこのまま待っているね」


 椎奈さんはそのままどこかに行ってしまった。この場には裸で湯船に浸かりながら、拘束されたままの間抜けな俺と、無言を貫いている黒服お姉さま方だけだ。

 ゆかりなさんに調子に乗ってダイブしたら、花城の本拠地に捕まっていたとかこれは現実なのかな。


「……むむ、そろそろのぼせてきそうだ。あのーせめて両腕の拘束を離して頂けると……」


 返事が無い、ただの黒服なお姉さま方のようだ。すっかり忘れていたけど、ゆかりなさんも椎奈さんも花城のご令嬢だった。そんな彼女にダイブしてここに連れて来られたのは、何かの罰が下されたに違いない。


「はぁ……なんてこった」

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