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ゆかりなさんとデレ的な何か

 自宅に上がらせたのは失敗だったと後悔しても、現状は変えられない。サトル以上の敵が潜んでいたのは大いなる油断だった。


「お、俺は……えーと」

「ハッキリ言いなさい! それでもゆかりなの夫となる男なの?」


 夫となる男がこの場に居ながら、何故に他の女子に告白をしないといけないのか。どうする、どうしよう。


 お母さんが来たことは想定外すぎるけど、ここは自宅だ。ならば取れる手段はただ一つ。お母さんが来たことで気を抜いているコイツを何とかしよう。


「マリカさん……俺はここで失うわけにはいかない! だから」

「え、そ、それってつまり……?」


『うおおおおおおおお!』


「はっ? な、何っ? ちょっ……」


 自分の家で良かったと言わざるを得ない。すっかり油断をしていたゆかりなさんを軽々と抱え上げ、俺の部屋へ入れることが出来た。マリカさんには悪いが、これしかなかった。


「な、何してんだよ! 離せ、はーなーせー!」

「こ、こらっ暴れるな。変なことするわけじゃないから大人しくしてくれ」

「むー! 高久のくせに何でこんなことしてるんだよ!」

「これしかなかったんだよ。と、とにかく、ベッドに下ろすから逃げるなよ?」


 逃げそうなので部屋の鍵をいち早く締めて、念には念を入れることにする。


「バカッ! ムカつく!」

「あ、謝らないぞ。お前には言いたいことが山ほどあるんだからな!」

「……ようやく本気になったんだ? ふーん?」


 こんなカタチとはいえ、ゆかりなさんとはもの凄く近い感じを受けている。まして最近はお母さんの方に行っていた彼女だ。部屋に入れることすら久々すぎる。


「で、何さ? 君は何を言いたいのかな?」

「ま、まずはだな……どうして急に帰って来たんだよ? 俺に会いたくないからってお母さんの所に行っていたはずだろ」

「そんなこと言った覚えないけど? ここはわたしの家でもあるし。ママもさっき言ってたじゃん。時々は家の様子を見に来てるって。帰って来て欲しくないわけ?」

「そうじゃないけど、何でこんな時に……」

「わたしも言うけど、マリカを家に入れたのはギリで許せても、あんな奴を入れるなんてムカついて仕方ないんだけど!」


 やはりサトルを家に入れるべきでは無かった。俺とゆかりなさんが、ここで一緒に住んでいるという考えにならなかったことだけがサトルの救いではあるけど、そういう問題では無かった。


「サトルのこと、真面目に覚えていないのか?」

「……ウザい男。馴れ馴れしい奴、勝手に近づいて来るムカつく奴、高久くんを陥れようとした奴。それから……」


 ちゃんと覚えているらしい。ゆかりなさん的に最も相手にしたくないタイプだということが分かった。


「どうせ妄想彼女として自慢話をしてたんだろ? そういうの、高久だけでいいんだけど? よく妄想するだろ?」

「するけど、嫌じゃないの?」

「嫌なわけない……わたしのこと好きで妄想してるんだし、変な奴の妄想とは意味が違うし。それを何だよ、何であんな奴を家に上げてるんだよ」


 (おや? 修羅場からのデレがキタのか? 本当に久しぶりの超接近ではあるが、それがイイ感じに?)


「高久が他の女子を見てもそれは別にいいけど、家に入れるのは別なんだからね?」

「ハ、ハイ……すみません」


 他の女子を見るのはいいのか。家だけは聖域的な意味をもっていたのかもしれない。徐々にデレっぽくなってきた気がするから、もっとデレさせなければ。

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