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ゆかりなさんと修羅場的な何か 1-2


「高久はスゲーな! 花城を瞬間移動でもさせて来たのかよ! いつの間に花城が来ていたんだ? しかも俺がトイレに行っている間に」


 サトルがゆかりなさんに覚えてもらえない理由が、何となく理解出来た。それはともかくとしても、トイレを貸しただけなのに、それにすら噛みつくなんて思ってもみなかった。


「は? ねえ、高久くん。得体の知れない奴を家に入れて、その上、トイレも使わせたの? わたしの許可も無く?」


「えーと、それは~……トイレに許可なんて求めなくてもいいんじゃないかなぁ……」

「あ?」

「で、デスヨネー。スミマセンデシタ」

「心がこもっていないんだけど? で、何で?」

「い、一応、友達。いや、大事なパン仲間なんだよ? 家に入れたのはパ、パンの試食をしようと……そ、そうだよな? サトル」


 (さぁ、俺の期待を裏切るなよ、サトル。真実を話せ。そして謝れ。)


「何を言ってんだ、高久。いや、お前のダチでパン仲間なのは本当だが、パンの試食はとっくに……俺は花城と付き合っている話をするためにだけ上がり込んだだけだぞ? さぁ、花城! 俺らの関係を高久と垣根に!」


 空気が読めない奴、それはサトル。今まで自分のことを話して来なかった奴だったが、金輪際話さなくていいと思った。しかし時すでに遅しであり、サトルのせいで……いや、おかげでマリカさんとのあらぬ疑いをかけられなく済みそうだった。


「てか、誰なんだよ! 勝手にわたしの家に上がり込んでさ! 出て行けよ! あ、出て行く前にトイレ掃除してよね。そして二度と入らないでくれる? 高久の仲間か何か知らないけど、わたしはあなたのことを知りませんから!」


「いやいやいや、ほらっ! 俺にクッキーを焼いてくれたこともあるだろ? それこそ高久と喧嘩中の時に! それに、俺の弟が花城にちょっかいを出したことも――」


「弟? 誰?」


 サトルの弟はゆかりなさんにちょっかいを出し、襲おうとした不届き者。間一髪で救ったことで、そこから俺と彼女の仲は深まって行った。なぜ今そいつのことを出すというのか。


「……高久くん」

「は、はい」

「警察を呼んで」

「それはさすがに……一応、俺の友達だし」

「もういい! ママを呼ぶから!」

「ホワット!? そ、それはまずいです! わ、分かったよ。追い出すから! 今すぐに!」


 ただでさえゆかりなさんとは冷戦状態なのに、ママさんを召喚されたら修羅場どころの問題では済まなくなりそうだ。ここは鬼となってサトルを追い出さなければならない。


「サトル、頼むから帰ってくれ」

「ダ、ダチなのにひでえな……だけど花城の機嫌の悪さはやばい。帰るわ。垣根も帰ろうぜ?」

「どうしてわたしまで帰らないとダメなんですか? 帰れと言われたのはサトルさんだけですよ」

「あ、うん。じゃあ俺だけ帰るわ……垣根、高久のことをよろしくな」


 また一つ余計な一言を残して、サトルだけ大人しく帰って行った。次はマリカさんの番らしい。


「何でマリカなの? 高久くんとどういう意味?」

「やだなぁ、マリカさんはただの友達だよ? ねえ、そうだよね、マリカさん」

「いいえ、高久さん。この際、ゆかりなにはハッキリと言わないとダメです」

「――は?」

「ひぃっ!?」


 サトルがいなくなったのに、さらに追い打ちをかける人がまだいたなんて、どうすればいいのでしょう。

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