表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
‘あ・り・す’  作者: みやしん
■Channel 5 Marduk:
40/52

■Scene 39 乱心【Madness】

 謁見の間でドゥルジは腰の剣に手をかけまさに抜こうとしていた。

 マルドゥックの‘あ・り・す’の前である。

 だが、ドゥルジは彼女をネルガルの‘あ・り・す’と呼んだのだ。

「ドゥルジ……ここでわしに向けて剣を抜けばそれがどういう事か判らないおまえでもあるまい」

「判っている。もしわたしの目の前に居るのが本当にマルドゥックの‘あ・り・す’様であれば、即座に討ち取られ永遠に逆賊の汚名を着せられよう。だが」

 ドゥルジは鯉口を切り無音のまま剣を引き抜いた。

 細身の長剣だが粘りのある真鋼を中心に、四方に刃鋼を巻いて焼き付けた一品である。

 両側の背に血抜き溝があり、それに並んでマルドゥックの戦場句が刻んであった。

「タローマティが見たおまえはまさしくネルガルの‘あ・り・す’。なぜマルドゥックに居る、答えよ!」

「ドゥルジよ……おまえは本当にマルドゥックへの忠誠のためにわしを討とうというのかい?」

「当然」

「もっと正直になったらどうだい。マルドゥックの為ではなく愛しいタルウィの為だと」

「何?」

 ドゥルジの奥歯が鳴った。

「おまえもタローマティと同様、あの男では満足できなかったのかね? よほど男に飢えているとみえる」

「わたしを愚弄するな!」

 ドゥルジは剣を上段に構えそして振り下ろした。

 だが、この一連の動作を見ることができる者は少ない。

 切っ先からあふれ出した風は一直線に暗幕に進んだ。

 その軌跡はしっかりと床に刻まれたが、暗幕は揺れもしなかった。

「タルウィに何をした?」

「何をとは。おまえも知っておろう。元に戻したまでだよ」

「違う! あれはタルウィではない!」

「だが、おまえの身体は否定して居ないのではないか? 何か違和感を感じてもあの男を求めたのだよ。ドゥルジ、おまえの女はな!」

「違う!」

「ネボの‘あ・り・す’はタルウィの誘惑を拒んだよ。だが、おまえはどうだ? 疼いたのではないかね、あの男の精に腹を満たされて。もだえたのでは無いかね?」

「……何故、何故そんな事を……」

「わしはな、力が欲しいのだよ。それも世界を守るためにな」

「戯れ言を……言い訳にも聞こえぬ」

「ではどうするね……わしを倒すかね?」

「無論!」

 次の瞬間ドゥルジの身体は動いていた。

 疾風のドゥルジである。彼女が手加減をしなければ頭はおろか顔すらも残像に残らず、足音も聞こえず最後に耳にするのが自分の胸に剣が突き刺さる音だ。

 彼女の姿は消えた。

 まっすぐに暗幕に接近する。

 先ほど剣技で刻み込んだ床の直線の上を音の速さで近づいて、暗幕の前で踏みとどまるとその中の人物向けて剣を突き入れた。

 一度ではない、突いては引き引いては突く。

 それも常人には右腕の肩から先が消えたかのように見える。ぶれも見えない。

 剣の舞。

 一秒間に一〇回以上、布を裂く音すらしない。

 切り裂くというより突き入れることで、剣の厚さの穴が増えていくだけだった。

 数打ちの剣で有れば最初の二、三回で脆くも折れていただろう。それを剣士の技量と剣の頑丈さ、ねばり強さで保たせたのだ。

 突き入れはじめて五秒程度、ドゥルジは後方に飛んで間合いを計り剣を肩に担いだ。

「……音速斬りかえ?」

 信じられなかった。すでに暗幕の中の人物は人の形をしていないはずだ。

 原型を止める程度に手加減もしていない。

 ドゥルジは舌打ちすると腰を左側にひねり、背中を暗幕に向けた。一瞬左足一本で立ち上がり、それを軸足に右足で踏み込んで、下半身・上半身のひねりを全て剣に託して振り切った。

 剣全体が音速を超えている。

 衝撃波と一緒に床も天井もはがれ細切れになりながら暗幕に向かって飛んでいく。

 初めて見せる剣技である。名前すらない。

 この後は吹き飛んだ暗幕の中の人物にとどめを刺すだけだった。

 だが、爆炎が消え去ったあとにも、暗幕は何事も無かったかのようにそこに逢ったのである。

 しかし……踏み込みを止めることはできない。このままもう一度剣の舞を浴びせるだけだ。

 そこに、ドゥルジの目の前に暗幕の前に控えていた従女がすっと立ち、無表情のまま両手をドゥルジに差し出したのだ。

 ドゥルジの動きが止まった。

 常人では捕らえられない動きの剣、それを両手で挟み込んで止めたのである。

「な、馬鹿な!」

「……わしのそばに使える者をなめてかからん方がよい」

 ドゥルジは動くことができなかった。

 剣は髪ほども動く気配がない。

 やがて暗幕の中から、朽ち果てた木のような指が伸びた。

 その爪先から小さな碧色の光がふわりと出てドゥルジを包んだ。

 ドゥルジの身体が硬直した。目の前が真っ暗になり、何も聞こえず、声を発することもできない。

「……出あえ、ドゥルジが乱心である」

 ‘あ・り・す’の声に答えるように衛兵が駆け寄りドゥルジを取り押さえた。彼女は抵抗一つできない。

「審議は後ほど行う。こやつの自室に監禁せよ」

 衛兵は頭をさげ、ドゥルジの身体を引いて謁見の間を出たのである。

「……どうするのう、この後の会見は」

 荒れ果てた部屋の中の事らしい。

 その後、暗幕の中から‘あ・り・す’の乾いた笑い声が響いた。


  §


 深い闇の中に居た。

 自分が誰かさえも何も見えない。目は開いていると思うのに自分の姿を見ることもできない。

 自分? 自分とは誰だろうか。

 それを考えることが非常に面倒に思えた。

 だから、疲れることは辞めようと思ったのだ。どうせ目を開けていても何も見えない。なら、閉じてしまおう。

 そうした方が楽なはずだから……

『ドゥルジ』

 誰かの声がした。そして誰かの名前を呼んだ。

 ひょっとしたらそれはわたしの名前なのだろうか? 聞いた記憶はある……だがそうだとしたら一体何の用があるというのだろう。

 自分はもう眠りたいのに。

『ドゥルジ、寝ている場合ではないでしょ』

 再度聞こえる女性の声。その声も知っている。

 しかしじゃまな声だ。自分の眠りをじゃまする声だ。

『そんな事言ってないで、耳をすましてごらん』

 その声は無視するつもりだったが身体が従ってしまった。

 すると今まで無音だったその世界に、男の会話が聞こえてきたのだ。

「どうします? とりあえず部屋に連れて行けって命令ですけど」

「今は魔法で身体は動かないし、ちょっと遊んでみるか?」

 遊ぶ? 一体何のことだ?

「逆賊は何をされても仕方ないって言うじゃないですか。俺、前から目はつけてたんですよ」

「そりゃそうだな、城内でこんな格好されて、何も考えるなって方が無理だ」

「へへ、決まりですね」

「ドゥルジ隊長も馬鹿だよな、‘あ・り・す’様に逆らうなんて」

 ‘あ・り・す’!

『思い出した?』

 そしてその声はタローマティ。

 そうか、自分は偽の‘あ・り・す’を討とうとして……そして身体が動かないのか。

 何とかしなければ!

『力を貸して上げるわ。でも高いわよ』

 次の瞬間、目も耳も身体も、すべてが自分の制御下に戻ったのだ。

「ところで、どの部屋に連れ込む?」

「そうだなあ」

「……どこに連れ込んでも何もできないぞ」

 二人の衛兵は同時に声を上げたが、ドゥルジの肩を担いでいた兵士は腕をひねられ、関節を砕かれてその場に倒れた。

 痛みのショックで気を失ったのだ。

「く、くそ、逆賊が!」

 もう一人はすぐさま剣を抜こうとしたが、すでに鞘の中に剣はない。

 ドゥルジが身体を回転させると、衛兵の剣の柄尻がみぞおちに食い込んでいた。

 意識を取り戻したドゥルジ相手に衛兵二人では荷が重すぎたのだろう。

「 ここはどこだ?」

 衛兵二人を空き部屋の中に隠すと周りを見た。

 二人は丸一日目を覚まさないだろう。

「九階か」

 クセで兵士の剣をとったものの自分の剣は鞘に収まっている。

 ドゥルジは剣も部屋の中に投げ捨て、ネボの‘あ・り・す’の居る階層まで移動しようと思った。

 自分あての兵士が二人だったことからドゥルジ乱心の情報は城全体に伝わっていないと予想した。

 いずれにせよ時間は無い。

 そのとき、ドゥルジの目にある物が飛び込んだのだ。


  §


「ん? 何だおまえたちは?」

 保管庫の前で番をしている兵隊がそう言ったが、彼でなくてもそんな言葉を発したくなる妙な組み合わせであった。

 直立二足歩行のウサギとそれを連れているマルドゥックの兵士。

 服装だけ見るとさほど階級は高くない。

 ここに来た用件を言ったのはウサギの方だった。

「わたくし‘あ・り・す’様のトールでございます」

「……ああ、選任の従者ね」

 マルドゥックでのトールの扱いはこんな程度らしい。

 ‘あ・り・す’ほど丁重な扱いを受けないのは彼も承知の上のようだ。

 ちなみに、彼はただ単にトールと名乗っただけでマルドゥックともネボとも言っていない。

 つまり、ウソはついていないわけだ。

「それで、トール殿が保管庫にどんなご用件なのかな?」

「先日ここに納められた水晶ですが、‘あ・り・す’様がご覧になりたいとの事なので受け取りに参りました」

「水晶……ええと」

 番兵はそう言っていったん保管庫に入ると、登録台帳を取り出して調べている。

「……ああ、これか。だが、これは‘あ・り・す’様直々のお許しが無いと持ち出せないな」

「証明書ならここに」

 とトールは番兵をちょいちょいと呼ぶと閉じた右の前足を差し出した。

 それを勢いよくぱっと開いて見せた。マナフの見たところその中には何もなく肉球が見えているだけだった。

 しかし、番兵は、

「ウム……間違いないな。それではここに署名をしてくれ」

「署名はこちらの衛兵が」

 とトールに指名され、マナフはそこにケルマーと書き入れた。

「ちょっと待っていてくれよ……」

 再度保管庫の中に姿を消す番兵。

「……暗示ですか?」

 なにげにマナフがトールに聞いた。

「そのような物です。催眠術でもありますがあのような単純そうな人物の場合はよく利きます。それよりもわたしはあなたがこのような事になっているとは思いませんでしたよ」

「……わたしもわたし自身に暗示を施していましたから」

「それでこれからどうされるおつもりです?」

「先の事はまだ……ただ、いざとなったら」

「おう、待たせたな」

 そこに番兵が現れた。

 二人に差し出したのは掌の大きさの小さな木箱だ。

「取り扱い注意だそうだ。間違ってもこの封を切るなよ。どんな処分を受けても俺は責任を持たないからな」

 受け渡された木箱には確かに小さな紙の封印がされていた。

 幸い呪術封印ではないらしい。

 二人はそれを大事に抱えて保管庫を後にする。

 そして番兵から自分たちが見えない位置まで離れて、一気に掛けだそうとしたが、

「おまえたち、何をしている」

 目の前に現れたのはドゥルジであった。

「……おまえはネボのトール」

「ドゥルジ様」

「しまった、今のでコイツが……」

 と言っている間にマナフの様子がおかしくなる。

 大きく瞬きするときょろきょろと周りを見回し、目の前のドゥルジに敬礼した。

「ドゥルジ様、当て身を」

 トールがとっさにそう言うとドゥルジは反射的に目の前の番兵の鳩尾に拳を入れた。

 甲冑をつけているものの、彼女の当て身で気を失わない兵士は居ない。

「……どういう事だ」

 当然トールに向かってそう聞くが、

「今は時間がございません。ここで争いたくは無いのですが……」

「その男が持っているのはネボの水晶だな」

「……避けられない事ですか」

 残念そうにつぶやくトールだが、

「安心しろ……いまやわたしは逆賊だ」

「逆賊?」

「ここの‘あ・り・す’に反抗した。もうすぐわたしを捕まえるためにここの兵士が動こう」

 ドゥルジが‘あ・り・す’に様をつけなかった事から、トールは有る程度彼女に起きたことを察したらしい。

「ドゥルジ様、お互いの詳しいことは移動しながら……今はマナフ殿が監禁されている部屋に向かいましょう」

「……判った」

 トールは水晶の入ったケースを番兵から取り上げ、それをドゥルジに渡して昇降機に向かって走った。


  §


 一方、華蓮の方はマルドゥックの‘あ・り・す’との会見を前に、従女によって準備がなされていた。

 といってもネルガルのような禊の必要もなく、着ている服の乱れを直す程度だ。

 そこで初めて判ったことは、スカーフだと思って首に巻いていた布は、実は腰に巻く物らしい。

 赤面するほどのことでも無かったが――赤面は先ほど十分にしたらしい、文化圏の違いなんだろうと納得する。

 やがて、そろそろ時間だろうなあと思うのだが、従女は部屋に居るものの部屋の扉は一向に開く気配がない。

 あわててもしょうがないのだが、意外と時間に几帳面な華蓮は、

「……時間、大丈夫なの?」

 と従女に聞くと、彼女は大きくうなづいただけだった。

 相変わらず言語が通じているのか疑問だ。‘あ・り・す’と言葉を交わすことが禁じられているとはいえ、返事くらいしてほしかった。

 華蓮が再度、彼女に質問をしようとすると、部屋ががくんと一回揺れた。

〈地震かな?〉

 そう思った物の揺れは一回で後は続かない。

 そう言えば、この世界に地震があるのかも判らない。

 ややあって窓が不透明になった。

 照明はそのままだが耳をすますと、何かがこすれるような音が断続的に聞こえてくる。

〈これって、この部屋が動いているのかしら〉

 そう、じっとしていると時々僅かに揺れる。

 この感覚はエレベータに乗ったときとよく似ていた。つまり、部屋全体が動いているのだ。

 時間にすれば数秒後、もう一回大きく揺れると振動音は止まった。

 そして部屋の扉が開くと、見たことも無いような通路がある。

 通路を挟んで正面に、これまた建物の中とは思えないほど大きな門があったのだ。

 従女が会釈するので外に出ると、その巨大な門がゆっくりと開いた。

 中に入れというのだろう。

 さすがに華蓮も慣れたのか、兵士の誘導を待たずに門をくぐると恐ろしく傾斜のついた階段を上った。

 部屋の中は暗かった。わざと照明を落としているようだ。

 しかし周りの様子がわからないほど暗くない。

 頂上知らずに思えた階段が終わると、そこにバスケットコート二つ分ほどの広間が出現する。

 その奥ほぼ中央に一段高くなった場所があった。

 四方を暗幕に囲まれたそれのすぐそばに、おなじみの召使の服装の女性が一人控えている。

 華蓮は部屋の奥に進む。そして暗幕との距離を三メートルほどあけるとそこで止まった。

 目に止まったのは控えている召使の女だ。ここに来てから華蓮の世話をしてくれる女性と同じ服装だが、目を閉じているにせよよく見ればその顔は。

〈蘭姉ぇ〉

 美咲家の三姉妹の長女、蘭とよく似ている。

 百合が美人顔としたら蘭は豪華な顔、そう例えるのが一番だった。派手な化粧をしていないにも関わらず蘭はともかく目立つ女性だ。

 彼氏が欲しいと言うが慧香高校に通っていた頃は一日一回告白されていたと言われている。ブレザーを着ていても年齢詐称に見えてむしろセクシー女優に見られるらしい。

 高身長と抜群のプロポーションも相まって、蓮美と二人で町を歩くと親子が逆に見られることが多い。

 華蓮は召使からベールに目を向けた。

「……あなたがマルドゥックの‘あ・り・す’?」

「左様。ネボの‘あ・り・す’だな」

「最近ではそう言われているわ」

 確かにその声は学校のプールでサルワに襲われたときに聞こえた声に似ていた。

「……‘あ・り・す’なんて名前だからもっと若い声かと思ったわ」

「くっくっく……同じような事を言うのだな」

「何が?」

「まあよい。今日はおまえと話し合いをしたいと思ってな」

「それはいいけど、こっちは立ちっぱなしなわけ?」

「そんな事はない」

 ぴん、という小さな音がし華蓮の目の前で何かが光った。

 すると、今までの陰湿な部屋の風景は消え、青空を望む準水晶の天井がある。

 マルドゥックの‘あ・り・す’のベールはそのままらしい。控える女性もそのままだった。

 華蓮が振り返るとそこに粗末ながらソファがあった。

 軟禁部屋の調度品を思い出すと、これでも高級品なのだろう。

 華蓮は柔らかさを確かめるべく、すとんと腰を落としたが思いの外堅かったようだ。

 お尻に来た衝撃に表情をゆがめた。

 そしてベールの中の‘あ・り・す’を見て背もたれに身体を預けると思いっきり足を組んでみた。

 普段そんな格好はしないため、ちょっと無理があるようだ。

「あまり対等とは思えないわね」

「おまえは囚われの身だよ。それでも不満かね?」

「わざと囚われたって考えも有るわよ。捕まれば自動的にここに運んでくれるでしょ」

「……威勢がよいのう」

「ありがと。元気だけが取り柄なの」

 華蓮はそう言って普通に座り直した。やはり慣れてなかったのだろう。

 外国の映画俳優みたいに、ノーパンのミニで足でも組み替えれば格好いいかもしれないが、観客は‘あ・り・す’だけだ。

「それで、相談って何なの?」

「ウム……交換条件だよ」

「何と何を?」

「わしが欲しいのはおまえの水晶の力だ。それをこちらに貰えればおまえとその仲間をそのままネボに返そう」

「水晶なら持っているじゃない。捕まった時に渡したわよ」

 と、自分は持ってないと手をぶらぶらさせる華蓮だが、

「わしが言っているのは水晶ではなくてその力だよ。それはおまえの中にある」

「わたしの中?」

「左様……わしが欲しいのはそれだけだ。それがあればネボにもネルガルにも進攻する事もない」

「信じられないわね……いくつか質問してもいいかしら?」

「なんだね」

「なんでそんな力を欲しがるの?」

 その質問にベールの中の‘あ・り・す’は笑っていた。

「決まっておろう、力を得てこの世界を守るのだよ」

「守る? あなたは世界を征服しようとしていたんじゃないの?」

「それが誤解だ。わしは世界を守るために力を必要としておる。同じ‘あ・り・す’として力を封じるためにな」

「何の力?」

「『混沌の‘あ・り・す’』……すなわちおまえだよ」

 ベールの中の‘あ・り・す’はそう言ってまた笑った。



■Scene 40 反撃【Counter】に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ