気まぐれ、そんなとこが
君の為に。
水色銀髪美青年の口から発せられたその言葉は、ひどく押し付けがましく聞こえた。
2畳分の空間には窓があり、そこから見える風景は常に流れていた。
緑が多く、森の中を移動しているようだ。
(馬車、かな…)
電車に乗っていたのに。
ここは?青年は誰だ?何が起きたのか?
思うところは色々あるはずなのだが、唐突に起きた出来事に頭が処理できていないようで、見た目上はボーッとしていた。
「…よかったです。君が大人しくしてくれていて」
ホッと息をはく青年。
大人しくしてくれない状態なのだろうか。
急に不安が増して、意を決して話しかけることにした。
「あ、の…。ここ…どこですか…?」
「……?」
声が小さかったのだろうか。
青年は首を傾げてこちらを見つめている。
「あの!ここ…どこですか?」
身振り手振り大袈裟に、声を大きくしてもう一度訊ねる。
「……申し訳ありません。異界語は少しだけしかわからないのです。」
切ない表情で、苦笑する。
それはとても絵になるくらいきれいだが、より不安になる。
異界語?
今青年が発している言葉は日本語ではないのか。
なぜわたしは彼の言葉はわかるのか。
何なのだ。
頭を抱えて、唸る。
訳がわからないことだらけだ。
「こちらの言葉がわかるようで安心しました。まったく…あいつは気まぐれで…、そんなところが人気の一部ではあるのですが…」
道は遠い。説明させてもらいますね。
そう言って青年はわたしがここに呼ばれた理由を話し始めた。