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ヒロインもどきが私のパートナーを倒そうとします。  作者: ゆいらしい
1章 ラスボスは生徒会入りを所望する
2/20

2 手をつなぐ

 こんにちは、リリィ=アネットです。私は、昨日から生徒会の管理下に置かれることとなりました。これからどうなるのでしょうか?…心底逃げたいです。私とルビィの時間を邪魔しないでください。







「リリィちゃん、何帰ろうとしてるの?」


 放課後そそくさと帰ろうとしてる所、生徒会のメンバーの1人メイソン=アドルフに捕まった。


「ていうかこの学園、全寮制なんだから逃げたって無駄だよ?さ、生徒会室へGO!」


そう言って、アドルフさんは私の手をとって歩き始めた。


「キャーーー!メイソン様!?」


すると、女の子達から悲鳴が聞こえてくる。生徒会は、何故か美男美女で構成されている。そんな訳で、アドルフさんも勿論イケメンだ。(なんていうか男性というより男の子!って感じの少し可愛らしげな…)だから、ファンが多い。私は「かっこいいな」とは思うけどそれまでだ。そんなイケメンに手を繋がれることは彼女達にとって乙女ちっくな妄想を繰り広げるきっかけになるのかもしれないが私にとってこれは「懐かしいな…」と小学校、中学校のことを思い出すきっかけとなった。


 この『ウィズイン魔法学園』は、入学条件の一つに“魔力を持つ”ことがある。また魔力は、大人と子供の境目にあたる高校生位の年齢から扱える様になる。だから、魔法学園自体に小学校や中学校は存在しない。たまに子供でも扱える者がいるようだがとても稀だ。


 私も普通の小学校に中学校を卒業していた。そこでは、魔力や階級差別が無いので普通に友達がいた。


 何故だかこの学園の生徒の殆どが貴族だ。私みたいな庶民は少数。魔法学園を卒業出来れば、官僚の様な国を動かす仕事だって出来る。それでも将来をより良くする為、少しでも偉くなりそうな人…将来を見込んだ人には自分の顔を売っておきたいじゃないか。素晴らしい人には取り巻きがつく。いわば、ここは社交場なのだ。だから、必然的にこの学園には階級差別がある。


 魔力も無い、貴族でも無い、何も無い私には高校に入って友達が出来なかった。いつも当たり前にしてたお喋りが無くなった。




「その子、誰なんですか!?」


何人もの女の子達がアドルフさんを囲って尋ねる。男の子達も「なんだ?」と集まって来ている。








「んー、新生徒会役員?」







 アドルフさんの言葉に周囲に静寂が訪れた。当たり前だ。生徒会に入るのはドラゴンをパートナーにする必要がある。しかも、『名誉ある人』とも称される。その中に私の様な何も無い人間が入るとこの人は言ったのだ。



 問題発言をした張本人は、周囲を見回してニヤリと笑い。「ちょっと大人しくしてね」と小さく呟き…私を抱いて窓の外へ飛び出した。「え…」私は一瞬の間に浮遊感を感じた。この高さから落ちたら死んでしまうだろう。(最後にルビィに会いたかったな…)と覚悟を決めて目をギュッと閉じる。



「おいで、ライコウ。」



そんな声が聞こえると共に浮遊感は無くなった。どうしたんだろうと思って目を開けると…私は大きなドラゴンの背中に乗っていた。そのドラゴンの毛色は黄色くギザギザとした角が特徴的だ。


 じっとドラゴンを見てると「こいつが俺のパートナーのライコウ。」と視線に気が付いたアドルフさんが紹介してくれた。


「有難う、助けてくれて…アドルフさんにライコウ君」


 私の言葉にアドルフさんは困った様に「僕が君を落としたんだけどなー…ごめんね?」と言う。


「私なら大丈夫!…結局助けてくれたんだから全然気にしてないよ。有難うね!」


「そんなにお礼を言われると困るよ…」


(僕は今さっき君に酷いことをしたんだから…)


 何故か、アドルフさんは悲しそうな顔をした。またそのアドルフさんの顔を見るライコウ君は呆れていた。少し心配になったが、アドルフさんが「触れないでくれ」という顔をしたのであえて気にしないことにした。…風が気持ちいい…それに景色が綺麗。ルビィにもこの景色を見せてあげたかったな…。




 私は、空を飛んでいるという興奮に“新生徒会役員”という言葉は頭から吹き飛んでいた。









 
















 








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