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ヒロインもどきが私のパートナーを倒そうとします。  作者: ゆいらしい
1章 ラスボスは生徒会入りを所望する
1/20

1 生徒会の管理下に置かれました。

『自称ヒロインは私のパートナーを奪おうとする』と同じ世界観です。




 この美しい『アンディリア国』は一時期戦争で荒れ果てた。ドラゴンの王『サファイア』は国を脅かす脅威から人々を守り、伝説となった。今、平和があるのはサファイア様とそのパートナーでいらっしゃったメル=ホリアス様のおかげ…



 私の通う学校は、そのメル=ホリアス様がご卒業になられた『ウィズイン魔法学園』だ。その影響なのかなんなのか、この学園にはドラゴンをパートナーにするものは名誉あることと見なされ生徒会に任命される。ドラゴンとパートナーになられる方はとても珍しいのだ。だから、生徒会は現在3人しかいない…………とか、言ってみたりしたけど私、リリィ=アネットには一切関係無い。だって、私は学園一の落ちこぼれだから…


 パートナーは、本人の魔力が強く影響する。私のごく僅かな魔力で、魔方陣から出てきたパートナーは『鯉』だった。名前は、目と体が赤かったからルビィ。皆からは「しょぼい」と散々言われたが、ほら見て、こんなに元気なの!正直、私の魔力が少な過ぎてパートナーを呼び出せないかと思ってたから嬉しかった。それに今では一番の友達です。(他に友達がいないっていうのもある…)


 確かに他の子みたいに、凄いことは出来ないけど…ギョロっとした目やパクパクする大きな口、黒い斑点……いっ、一見可愛くない様に見えるけど…ずっと一緒にいれば可愛くなっていくんですよ!


 召喚獣にはそれぞれ特性がある。例えば、一番メジャーな蝶々型の召喚獣にはそれぞれの鱗粉に相手を眠らせる効果や痺れさせる効果がある。特性も色々ならその強さも色々だ。私のルビィの特性は、同化だ。相手の召喚獣の近くにいることで相手と同じ特性を得る……のだが上記の理由により「気持ち悪い」と誰も近寄ってくれない。だから活躍の機会もない…ハァ…


 






 あぁ、最悪です…久しぶりにルビィに泳がせてあげようと学園の湖で遊んでいる最中に、生徒会で唯一の女性であるシャーロット=イベリアがやって来た。


(ルビィは水の中じゃなくても魔法の補正で空中にフヨフヨ浮いていることが出来るのです!勿論、水の中の方が好きだけど。)


彼女は美人で有名で、また彼女自身も美しいものを好む…らしい。私も会ったことは無かったのであくまで噂だ。でも生徒会の人(美男子)を女狐の様な目で見てると女の子達が騒いでた。さらに個人的に言うなら、彼女のリア充オーラに私が耐えられない…


「気持ち悪いわ!その汚らしい物体を湖に入れないで。そこは、これからイベントを行う場所…私がヒロインになる場所よ!モブがいたら、ストーリーが進行しなくなっちゃうわ。ジュエル、あの汚いものを退かして!」


開口一番からヒステリック気味によくわからない失礼なことを言った彼女のドラゴンが金色の大きな翼で風を仰いで、湖に大きな波を起こす。すると、湖に大きな渦が出来て、湖の中にいたルビィは渦に巻き込れてしまった。いくら水の中とはいえドラゴンの力に押されて何も出来ないでいる。


「ルビィ…!やめて、ルビィが苦しんでる……」


ルビィは渦に巻き込れてあんなにも苦しんでいるのに止めてくれる様子は無い。…私にもっと魔力があればルビィを助けてあげられるのに……!私はせめてもと、湖に飛び込みルビィの元へ行ってギュッと抱き締める。本当に私は馬鹿だ。近くにいるのに何も出来ない。悔しくて涙が溢れてきて、雫がルビィに

当たる。するとルビィの体が光り始めた。



「え……」


気がつくと私は、大きな赤いドラゴンの背中に乗って空を飛んでいた。

その赤いドラゴンは大きく息を吸い込み、イベリアのジュエルに向かって炎を放った。


丸焦げになったジュエルはどう見ても苦しんでいるのにイベリアは見向きもしない。それどころか…


「赤いドラゴン…あぁ、やっと見つけた…これで私は本物のヒロインになれる…!」


心の底から笑っていた。言葉の意味はわからないけど、彼女の様子に狂気を感じた。



「おい、大丈夫か!?」


 颯爽と生徒会の1人、ルーカス=エイハブが現れた。赤いドラゴンを見て驚きつつも、冷静さをすぐに取り戻してイベリアさんの元に駆け寄る。彼女はハッとした様に


「ルーカス!?……だ、大丈夫よ。有難う。」


ジュエルを隠すように抱えながら、そそくさと逃げるようにする。


「ジュエルは……」


「ジュエルは大丈夫よ!」


彼女は言葉通り叫んで逃げた。

エイハブさんは不審そうにしていたが、すぐにこちらを見る。


こちらを見られても困る。私だって、ルビィが消えて赤いドラゴンが現れたのだから混乱しているんだ。


「君は?」


「リリィ=アネットです。…私の、パートナーのルビィが消えたんです……!そしたら、赤いドラゴンが出て私を救ってくれて…だから、

私は助かったけどルビィが…」


正直私が何を言っていたのか覚えて無い。気がつくと私は保健室にいた。途中泣きながら喋って、泣き疲れて寝てしまった様だ。


「そうだ!ルビィ……」


私は急に心細くなった。そんな時に


「起きたか?」


声をかけてくれたエイハブさんの手にはルビィがいた。


「パクパク!」


「ルビィ!無事だったのね!」


パクパクと口を開け閉めして音を鳴らす元気の良い姿に安心した。


「リリィ=アネット。話がある、生徒会室に来てくれ。」


ルーカスさんは咳払いをしてから言う。…生徒会室…もしかしたら、イベリアがいるかもしれない。私は動けずにいた。


「イベリアならそこにいない。」


私の心中を察したのかエイハブさんが言う。「その件についての話が聞きたい」と私を生徒会室へ案内した。




 生徒会室に行くと、生徒会のメイソン=アドルフとこの国の王子様であるオリバー=アンディリアがいた。このメンバーの威圧に押されて、私のルビィを抱く力が強まる。「パク、パク。」ルビィは私のことを心配してくれた。


多分、私はあの赤いドラゴンのことで話に呼ばれたのだと思う。あの大きい体から放つ強大な威力の炎・・・でも何故だか、私を助けてくれたその恐ろしいドラゴンに嫌な感じはしなかった。


「君は、このアンディリア国の歴史・・・あの戦争について知っているかい?」


あの戦争とは、オリバー様の祖母でいらっしゃるメル=ホリアス様とそのパートナーであるサファイア様が人々の平和を守る為に凶悪なドラゴンと戦ったことだろう。その戦争は、サファイア様がその凶悪なドラゴンとともに封印される結末に終わった.




「はい、ある程度なら。でも、それがあの赤いドラゴンに関係があるのですか?」


王子様が言った言葉に答える。私には、そもそもどうして王子様がここにいるかもわからない。もうわからないことだらけだ。


「これは国の極秘機密なんだけどね、あの戦争を引き起こしたドラゴンの名前はルビー。名前は僕の祖母がつけた。ルビーの正体は、サファイア様の怒りや悲しみから出来たもの、つまりルビーはサファイア様自身だったんだ。だから、2匹で封印されたというよりはあるべき形に戻ったという方が正しい。祖母は最後にルビーにお呪い(おまじない)をした。


「あなたも幸せを感じて。どうか、あなたの心が素敵な人に導かれますように・・・」




そうか、そんな裏話があったのか。正直、私には美談には思えなかった。だって、メル様はサファイア様と引き離されちゃったんでしょう?私は、ルビィと離れたくはない。またもや、ギュツとルビィを強く抱きしめる。その様子に王子様が柔らかく笑った。



「さて、ここで君の話になる。」とエイハブさんは言った。


「俺達は、君のパートナーのルビィが赤いドラゴン、ルビーなのではないかと思っている。」


!?


「待ってください!まず、ルビィはドラゴンではありません。鯉ですよ?そんな力はありません。」


「君が寝てしまった後、赤いドラゴンが光輝き鯉に姿を変えたのを見た。ルビィの特性が変化であるのかとも考えたが、それではあの炎の威力が説明つかない。変化は、見た目だけだ。」


「とある国では、鯉はドラゴンになるという伝説があるみたいだしね!」


エイハブさんに続いて、アドルフさんも言う。私は、違うと言おうとした時にゴホンと咳払いして…


「とにかく、そのルビィが赤いドラゴンの可能性があるのなら君は生徒会の管理下に置かなくてはならない。また、国としても監視をしなくてはならない。」


当然でしょ?と王子様が言う。確かに赤いドラゴンは災いを作った本人だ…


私には、流石に国に対抗する力は無い。…これからどうなるのだろう?




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