にわめ
10分ほど休み、だいぶ自分が落ち着いたことを確認して、まずは自分のスペックから確認するかと、重たそうに腰を上げる
俺が本当に那由多の果てでのメイになっているんだとしたら、メイの持っていた力も使えるはず、とりあえず初級技能から試してみよう
「ふぅ…スラッシュ!」
と声を出した瞬間
「えっ体が引っ張られる!」
強制的に淡い光を発しながら上段から剣を振り下ろした
…えっ何これスラッシュって初級技能のはずだよな、まるで隕石でも墜ちたみたいだ、確かにメイは火力型ビルドだったけど
とりあえず威力については保留にしよう、今はメイの力が今も使えるってことが重要だよな、うん現実逃避じゃないよ
「次は魔法か魔法なら大丈夫だよな」
近接型だから魔力が低いし装備も剣だから補正もないし、習得してるのも初級魔法の中でも最弱の攻撃魔法と回復魔法のみだし、と自分に言い聞かせる
「よっよしいくぞ、ウォーター!」
パシャッと音を立てて、木をゆらした
よかった魔法も問題なくつかえる、しかもこれですくなくとも水の心配はしなくていいな
その時何かの気配を感じ、背後に勢い良くふりかえった
「えっウルフ」
そこには那由多の果てでは最弱とされる魔物ウルフがガルルと唸り声を上げこちらを、品定めするかのように様子をうかがっていた
どっどうする、たたかう?逃げる?いやっでも
この世界に来たばかりで現状の確認すら終わっていないし、地球で喧嘩すらほとんどしたことのない楓は、戦闘状態に入ったウルフに睨まれただけで萎縮し、思考の海に飲まれてしまう
「うわ!」
こっちに飛びかかってきたウルフを拙いどうさで、かわしながら、どうしよう、どうしよう、どうしよう!と思考しながら無様ではあるが体を動かして攻撃をよける
その時ウルフの爪が鎧にかすり、キンッと音を立てた
くっと唇を噛み、音のした場所に首を向けると、自分が技能の確認のために持っていた両手剣が見えた
これで切れば倒せる?
剣をもっていると自覚した途端、スッと落ち着きを取り戻しせまくなっていた視界が急に開けた
すると今まで凄まじく速度に感じていたウルフの動きががまるでスローモーションのようにゆっくりと見え始める
わかるウルフの動きが、体のうごかしかたがっ!
剣を確かめる様に、けれど振れのない剣筋で飛び掛かってくるウルフを斬りつける
その一撃は正確にそして無慈悲にウルフの首を落とした
主人公の思考がおかしいとおもう方もいると思いますがそれはまだ冷静ではなく混乱しているからです