Another 1
閑散とした荒野に複数の爆発音と甲高いどこか狂気を孕ませた笑い声が響き渡っていた
「くははっ」
これは狩りだ、しかしこれは生きるために必要な狩りではなく、己の快楽のために獲物をいたぶる遊戯である
絶対的強者である男は周囲に魔法で生み出した火球や土塊を獲物がギリギリで避けられる程度の感覚で打ち出す
「おいおい少しは反撃してきたらどうだ?
それとも、もう諦めちまったのか。
だとしたらお前は獲物としても失格だぜ」
獲物は痩せた男だ直撃こそしていないが魔法の余波などで既に満身創痍である
何度か攻撃を避けるがついに体力の限界か足がもつれて倒れてしまう
「くははは。
おらっ避けてみろや!」
一際おおきな火球が獲物を襲う
しかしもう足が動かないのか悲鳴もなく火球にのみこまれていった
「ちっもう少しは遊べると思たんだが俺の見込み違いか……かーしらけるわ」
そう吐き捨てながら踵を返すと視界の端にキラリと光るものが移った
不信に思い動きを止めると投擲されたナイフが小さく頬を切り裂いた
「おいおいやればできるじゃねーか!
こいよほらこいよ!」
だが最後の投擲に全てをかけたのかそれとも、外したことで生をあきらめたのか、瘦せた男は既にすでに息絶えていた
「あーあもったいねえ最初から気合い入れてりゃもっと楽しめたかもしれねーのによ」
男は獲物への興味を完全になくし歩き始める
「どっかに俺の好みの面白いやつはいないもんかねぇ……」
いろいろ修正中