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七、調子に乗りやすいという言葉が似合う男?

七、

 再び、学園に戻ってきた雪那だったのだが、やはりというかなんというか・・・未だにその存在は怪談どまりなのであった。

男子トイレから叫び声が聞こえたので行ってみたら誰もいなかったとか、図書館で物音がしてもやはり誰もいなかったとか・・・そんなやつである。それもやはり雪那の仕業であり、前者はトイレで学園長にエロ本を読んでいたことがばれてその場で粛清・・・後者は本を勝手に失敬しようとして失敗に終わったということである。借りようとした本の題名は『彼女の作りかた』というものであったりする。

「はぁ、『女学園に謎の怪奇現象!?』ってどう考えても僕だよな?」

 この学園の新聞部が発行している学園新聞にそのようなことが書かれていることを眼にして雪那は

「困ったことになったな。」と思っていたのであった。相手がどの程度の実力者でうまく騙せることがことができるのは不安なのである。

「そうですよ、雪那さんの存在がなんだか幽霊じみた方向に持っていかれているみたいです。」

 時間帯はお昼休み・・・彼は一年生の瑠美子と共にお昼を食べていたのであった。

「・・・・・ううん、余山さんは・・・」

「瑠美子で結構です。」

「瑠美子ちゃんのクラスではどんな感じになってる?やっぱり、僕の存在が怪談にしろなんにしろ知られてる?」

 すこしばかり考え込んでいる瑠美子に雪那は期待の念を入れて視線を送ったのだが・・・

「・・・・怪談というより、変質者がこの学園に隠れているのではないかと噂になっています。」

「・・・・変質者ね・・・」

 雪那はそういってため息をついたのであった。そんな雪那を励ますために瑠美子は口を開いたのであった。

「だ、大丈夫ですよ!私、雪那さんが変質者じゃないことを知ってますから!」

 いや、実際のところは雪那もそう、大差はないんじゃないのだろうかと思うのだが・・・以前の学校では

「マニアック狭間」と呼ばれていた男でもあるのだ。

「はぁ・・・。」

 彼がため息をついたのと同時に学園長室の扉が勝手に開いた。

「あ、柏木さん?」

「おいっす、雪那。」

 やってきたのは問題児、柏木 芹奈であった。彼女も暇なのかどうなのか・・・ではなく、ここにお勉強にやってきたのである。

「雪那、数学でわかんねぇところがあるんだ。あたいに教えてくれ。」

「まぁ、わかるところなら・・・・」

 さっさと食器をどかして雪那は芹奈の勉強道具を置けるスペースを作ってみせる。その開けた場所に彼女は教科書を置いて自分は雪那の隣に座る。

「雪那、学園長から聞いたけど・・・」

 にやにやしながらそんなことを言ってくる芹奈に雪那はごほんごほんと咳をする。

「・・・・さ、勉強勉強・・・」

「・・・まぁ、やっぱり雪那も男だな。覗きとかしたことあるのか?」

「したことないよ。」

「やっぱり雪那さんは真面目な人です。」

 彼は

「したことないよ。しようとしたら体がばあちゃんの手によって強制的に分裂されるから。」とは言えずに黙ってしまった。


 五時間目の予鈴がなり、結局その場にずっといた留美子は立ち上がる。

「芹奈さん、帰りましょう?」

「あ〜あたい、今日は体の調子が悪いからこのまま保健室に行ってくるって先生に伝えておいてくれ。」

「え、それなら私も一緒に行きましょうか?」

「いや、いい。そこまで心配しなくて大丈夫だからよぉ。」

 そういって芹奈は追い出すような感じで瑠美子を学園長室から追い出したのであった。

「具合が悪いなら早く保健室にいったほうがいいんじゃないのかな?」

 雪那はそういって芹奈の学習道具を片付け始める。その手を、芹奈が止めたのであった。

「いいって!今日の五時間目は自習だし、先生はこねぇ。ここで雪那に教えてもらったほうがはかどるってもんだ。」

「でも、柏木さん・・・」

 そう雪那が言うととても不満そうな顔になったのであった。

「おいおい、柏木さんって・・・あんた・・・まるで他人みたいじゃないか。あたいのことは芹奈って呼んでくれよ。仮にも、あんたより学年は下だ。」

 そういう芹奈だったのだが、なんだかおばさんくさいところがあるなぁと芹奈を見ながら思っていたのであった。

「・・・まぁ、やっぱり芹奈って呼び捨てで呼ぶのはどうかと思うから芹奈ちゃんと呼ばせてもらうよ。」

「ちゃん付け・・なんだかなめられているようなきがするねぇ。」

 実際、なめるも何も自分から学年が下だと言ってきたのだが。いや、本当のところ彼女はダブっているので歳は同じなのだが・・・・

「コホン、実際は芹奈ちゃんは留年していたりしてね。」

「ぶぇ!何故それを・・・」

「あ、冗談だったのに本当だったの?」

「・・・・。」


 結局、五時間目が終わるまで芹奈は雪那と話しながら勉強をしていたのである。しかし、思った以上に勉強ははかどったのだった。芹奈は立ち上がり、道具を片付ける。

「はぁ、意外とすすむもんなんだなぁ。この前先生が何で、あんなことを言ってたのか理解できたよ・・・・。」

「そう、それならよかった。僕としても教えれてよかったよ。」

 さすがに一年前のことだったので雪那も忘れていたりもしたのだが教科書を読んだりして思い出したのであった。

「じゃ、あたいはこれで教室に戻るよ。雪那もがんばりなよ?」

「ああ、また何かあったらおいでよ。僕がいないときには奥の部屋で静かに待っててくれると嬉しいな。」

 あまり引っ掻き回されればここではいえないような本がごろごろ・・・ではないが、二冊ほどは出てくるかもしれない。

「あたいが静かに待っててられると思うのなら、きちんと隠しておくことだね。」

「・・・・君が来たら速攻で戻ってくるよ。」

 冷や汗を流しながら雪那は芹奈を見送ったのであった。


 次の日のお昼休み、芹奈から再び貰った新聞に眼を通して驚愕した。

「!!!!『一年生の二人組、あの学園長室に頻繁に出入り!』って・・・君たち二人のことじゃないか!!」

 怪しい行動が最近目に付いてきていたのだろう・・・とうとう、芹奈と瑠美子は目を付けられてしまったようだ。

 少しだけ反省気味の瑠美子

「・・・ちょっと、気をつけないと危ないようですね。」

 それに対してあっけらかんとしている芹奈

「大丈夫、大丈夫。怪談のことについては関係ないと思うぞ。」

 対極的な二人の意見にどうしたものかと悩んでいると

「ほぉ、正体がばれたのかい?」

「ば、ばあちゃん・・・・」

 いつの間にか隣に座っている学園長に言葉も出ない雪那だったのだが・・・多くの女子学園の生徒に顔がばれてしまったら警察沙汰である。

「どうしよう?」

「いや、正直言うならここは女子学園の生徒に変装するっていうのが王道なんだけど・・・残念なことに雪那では無理だろうな。だから、極力手助けをしないように・・・いや、それならば余山と柏木には雪那の敵になってもらう。」

「敵?」


 二人の女子生徒が新聞部の本部である視聴覚室にやってきた。

「お、噂の二人がようやくきたか・・・」

「ええ、そうですね。これも、新聞のおかげですね、部長。」

 ぐるぐる眼鏡の部長に腕利きそうな副部長・・・・

「あ〜え〜とだな、あたいたちもおたくらと同じで・・・・」

「怪談を研究してたんです。ほら、そろそろ夏ですよね?だから、他校の友達に話して聞かせようと調べてたんです。ですから、私たちも新聞部に入れてもらいたいんですけど・・・」


 雪那は緑茶を学園長と飲みながら将棋をしていたのであった。

「・・・あの二人、大丈夫ですかね?」

「大丈夫じゃろ。ただ単に、入部しにいっただけだからな。」

「ええ、瑠美子ちゃんなら大丈夫ですけど・・・芹奈ちゃんがへまをしないか心配です。」

「それなら、見に行ってくればよかろう?」

「残念ですけど・・・もしも、そこで僕の存在がばれたら大変じゃないんですか?」

「ほれ、王手じゃ・・・・」

「・・・。」

「今日の晩飯は雪那のおごりじゃな。」

 話しこんでいたのか知らないが、雪那の王は気がつけば周りを敵兵に囲まれていたのであった。いや、一生かかってもこの人には勝てないだろう。


「いやぁ、新入部員が二人も増えてよかったよかった。」

 暗い夜道をぐるぐる眼鏡をかけた新聞部部長さんが歩いていた・・・・と、その足が急に止まる。目の前には不良たちが円を作ってタバコを吸っていたからだ。

「・・・・。」

 危険なことにはさすがに首を突っ込んだら危ないと知っている部長さんは回れ右をしたのだが・・・目の前にいつの間に現れたのか知らない人間がいた。

「ははっ、それでよぉ、そのときのバイクが・・・」

 気がつけば後ろにも不良がたむろっていたりもしていた。万事休すのこの状況に部長さんは心の中で決意をした。

「・・・うん、黙って走って通り過ぎればダイジョブ!だよね。」

 そういって走り出す部長だったのだが・・・

「お、可愛い子じゃね?」

「今更あんなぐるぐる眼鏡のどこが可愛いんだよ?」

「俺は好きだぜ?しかも、俺が前々から目をつけていた噂の学園の新聞部長さんだぜ。あの子、眼鏡をはずすとキュートなんだぜ。」

「え、まじ?」

 隣を走っていた部長だったのだが、あっさりと腕を掴まれてしまった。

「なぁ、部長さん・・・俺たちと遊ばない?」


 晩御飯は雪那のおごり・・ということで上機嫌の学園長と共に雪那はあるいていた。

「ばあちゃん、そんなにおごってもらったことが嬉しいの?」

「違うぞ、賭けにかったことが嬉しいんじゃ・・・それより、雪那、あれを見てみろ。」

 唐突にそう告げる学園長の指差す方向を雪那も見る。

「・・・・不良に女の子が絡まれてるな。」

「そうですね。あの制服はばあちゃんのところの生徒です。」

「雪那、いって助けて来い。恋に発展するかも知れんぞ?」

「・・・・・それはいいとして、とりあえず助けてきます。」

 雪那はそういって闇夜に白衣をはためかせて時空を裂いたのであった。


 昼休み、雪那の元に眼をぎらぎらさせている瑠美子、芹奈がやってきた。

「こら、雪那!人がお前を助けるためにはいったことを忘れたのか!」

「そうです!これは何ですか!」

 突き出された学園新聞には白衣をはためかせて不良を木刀で叩いている雪那の姿があった。それを見て雪那は驚いている。題名は“かっこいい白衣の学生!”

「嘘・・・」

「部長さん、雪那にインタビューまでしてるぞ!学園長の孫だってことまでしゃべってるじゃないのかよ!」

「そうです!これはなんでですか!」

 どうせ一般生徒だろうとおもって雪那は調子に乗ったのである。あと、雪那の写真の右下部分に映っている生徒が自分が昨日助けた人物で新聞部長だということに気がついた。

「しゃ、しゃべったのは・・・ほら、てっきり・・・関係ない人かと思って・・・・。」

「でも、顔を知られてるんだから今度ここで顔を見られたら一発で終わりだぜ?」

「そうです!そうしたら雪那さんは終わりですよ!破滅ですよ!!」

 うぐぐと唸っている雪那たちのところへ、ノックの音が聞こえてくる。

「すみませーん、学園長先生!ちょっと用事があってきました!!」

 その声をその場で知らないものはいなかった。何故なら、雪那は昨日助けたばかりだし、他の二人は部活の先輩にあたる人物だったからである。

「じゃ、じゃあ・・・・二人とも・・・なんとかごまかしておいてね。」

 雪那はそういってさっさとその場から逃げ出したのであった。痺れを切らしてあけてしまった部長がもうちょっとはやくあけていたら彼女は雪那の姿を見ることができただろう。

 瑠美子と芹奈は振り向いて不思議そうな顔をする部長に愛想笑いをしたのであった。


さて、このたびのお話でまたまた、新キャラらしき人物が出てきました。今のところ名前が決まっていませんが、皆さんの脳内に残るような名前にしたいと思います。

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