一、白衣が似合う男?
一、
とある世界・・・人と人以外のものたちが共存する世界・・・まぁ、今のところは人が主導権を握っているのだが・・・そういう世界が存在していた。しかし、人間といってもただの人間ではなく、変わった力を持つ人たちのほうが多かったのだが・・・・
今年で既に十七歳の青年といっていい人物が白衣を翻してとある学校に侵入しようとする。しかし、校門の前には二人のガードマンがいて、職務を全うすべくこの不審人物の前に立ちふさがる。
「すみませんが、通していただけませんか?」
「いえ、それはなりません。ここは扱い上女子高ですので・・・」
「ああ、そうでしたね。すみません、ここの学園長先生の紹介状です。この学園に入るのは初めてですので、よければ案内してくれませんか?」
「・・・確かに、そのようですね。すみません。」
「いえ、職務上しょうがないことです。以前、この学園にも変態が侵入したと聞きましたからね。これからもがんばってください。」
「そういってもらえると気が楽です。」
何事も無かったかのようにガードマンの後をその青年がついていく。時間帯がまだ食事前で授業があっているのか知らないが、その女子高からは元気そうな声なんかは聞こえてこなかった。
他の学園や高校とは一線を引く存在のこの学園に男子は入ることが出来ない。
以前は共学制だったのだが、さまざまな問題をへて、今では女子のみの入学が定められていた。その結果、近隣の共学制高校の女子は大体がこの学園に来たのである。彼女持ちは別に構わないのだが、彼女がいない連中はちょっと危ないサイトに彼女を募集しようかという状況になりつつあった。まぁ、ちょっとしたことなので省くとしよう。
「・・・・ここです。」
「案内、ありがとうございました。」
「いえ、これも仕事ですので・・・帰りは他のものが?」
「いいですよ、僕・・・いえ、私は学園長の孫ですので・・・・いっしょに帰ります。」
そういうとガードマンは頭を慌てて下げたのであった。
「それは失礼しました!至らぬことを・・・」
「いいです、紹介状を見せなかった私がいけなかったんですから・・じゃ、私は時間がないんで・・・。」
そういって彼は学園長室へとはいっていったのであった。ここの学園長室の前を通る生徒は一人もいない。ここの廊下を通るならばわざわざ別の場所を通る生徒のほうが多いからである。ここの学園長先生は恐ろしいことで評判で、敵にまわせば卒業までいいことがないのである。一説では、龍の神様だとかそうではないだとか・・・
「ばあちゃん、頼まれたとおり、来たよ?」
そんな化け物婆・・・失敬、とても権力のあるおばあさまに話しかける主人公、狭間 雪那。ゆきなと呼ばれてしまうこともあるが、それはしょうがないことである。
「おお、ようやくきたのかい?ばあちゃん、遅くて腰がまがっちまったぞ。」
見るからに健康そうなおばあさんは自分の孫をじろじろと眺めていたのであった。おばあさんは雪那と同じように白衣をまとって目を細めたのであった。
「・・・・この前あったときよりはまともな顔つきになっているけど・・・まぁ、それはいい。お前さんにチャンスをやる機会がようやく訪れた。」
そういって年代もののぼろぼろのソファーに座るおばあさんに対して立ったままの雪那は首をかしげる。
「え?手紙には忘れ物を取ってきて欲しいって・・・。」
そういって書類を取り出す。
「まぁ、座ってその書類を開けてみなさい。」
孫が座り、書類の確認をしていると同時におばあさんはしゃべりだす。
「・・・私らの一族が『次元切断流』の使い手であることは知ってるはずだよねぇ。これもお前の親父から聞いただろうけど、使い手が基本的に大人の仲間になるためにするべきことは・・・一つの大きな仕事を達成することだ。それで、人のいいばあちゃんは可愛いお前のためにこの仕事を用意してやったんだよ。」
書類に書かれていたことに少年は非常に驚く。それには『初めての女子高にドキドキ!?〜僕、鼻血出ちゃうかも!〜』と題うった意味不明な冊子が出てきたからである。
「・・・ばあちゃん、冗談を聞きに来たんじゃないんだけど・・・僕さ、これから学校に行かないと・・・それに、ここは学園じゃないの?」
学校を前立てにして愛想笑いを浮かべながら雪那は自分の祖母にやんわりとこの意味不明な仕事をやりたくないと伝えようとしたのだが・・・・
「たわけが!おぬしなぞ、一刀の元に切り捨て、サメの餌にしてやっても構わんのだぞ!近頃、海水浴場ではサメが出没しているそうじゃないか!そこにいってサメの餌のようにぶつ切りにされたいのかい?」
そういって叱られる始末であった。とてもデンジャラスなおばあさんである。
「・・・わかったよ。題名がふざけているだけっていうことだろうから・・・それで、僕の仕事は?」
「簡単じゃ。この学園を守ること・・・それだけで許そう。」
「いや、許そうって・・・さっき、人がよさそうなガードマンが二人もいましたよ?それでいいじゃないんですか・・・って冗談です。ちょっとしたジョークです。」
いつの間にか自分の首筋には何でも切れそうな居合刀がひっついていたのであった。流れる汗に緊張がほとばしる。
「・・・・・次は無いぞい?」
「りょ、了解・・・」
両手をあげて降参をしめし、あきらめるようにして彼はため息をついたのであった。
「さて、本日から仕事をしてもらうぞ。」
「・・・あの、僕の学校は?」
「大丈夫、単位はきちんとやるように言っておく。さ、今から仕事開始じゃ!」
ここが女子高だということを本当にこのばあさんはわかっているのだろうかと心のそこで思いながら雪那は尋ねたのであった。
「・・・男の僕がここにいたら毎回毎回、捕まってしまいますよ。」
「ばかちん!そのために私らの一族は次元を切ることが出来るのだろうが!空間をも切り裂く能力・・それさえあれば、覗きをしようが何しようが、顔を見られる前に指でこのように・・・」
おばあさんは人差し指でちょっとだけ空間を凪いだ・・・それだけなのに、元からそこにあったかのように闇の空間が広がる。
「・・・逃げ道だって作成可能!この能力、おぬしのほうが得意じゃろうに!もう、何も話はきかん!それに、女子たちと同じ場所じゃ。よろこべ!夕食時になったら帰って来い。」
そういっておばあさんは再び指で空間を凪ぐとその隙間に入り、どこかに消えてしまったのであった。
「・・・・はぁ、ばあちゃん・・・本当に人間なのかな?僕、本当なのか不安になってきたよ・・・。」
そういって、とてつもなく弱そうな少年は自分の祖母に畏怖するのであった。しかし、震えているだけではいつか、食べられてしまうかもしれない。そんなことを考えた少年はソファーから立ち上がる。
「・・・・とりあえず、体がくっついているんだから・・・切り落とされる前に警備でもするかな?」
そういって彼も空間を指で凪いでその場からいなくなったのであった。
彼が警備を始めて一時間が経った。学校内部はガードマンの人がいるから大丈夫だろうと思った彼は学園の外を散歩することにした。そして、心の中で自分の祖母の愚痴を言う。
「・・・ちぇ、ばあちゃん・・僕だけのけ者なんて・・他の人は『名のある竜を自分の刀だけで倒せ』とか『伝説の秘宝を手に入れろ』とか・・・ファンタジーなことを要求するのに、僕のときだけなんで『女子高の警備をしろ』なんだろうか?予想していたのと全然違うよ・・。」
愚痴ってもしょうがないのでそこら辺でやめる。そろそろお昼のようだ。
「・・・・そういえば、母さんからお金、貰ったんだったな。」
どこで何を食べようかと考えていると目の前に祖母が現れたのであった。
「・・・うわっ!」
「ほほう、お前は・・・何時の間に学園の外に出たんだい?お前がそんなだから学園がのっとられるんだ。」
「え?」
我が耳を疑い、雪那は口を閉められないでいた。
「全く、余興のためにこの冗談を仕組んでいたのにねぇ。てっきりもうちょっと真面目にしてくれるだろうと思ったんだが・・・まぁ、それはいいや。とりあえず、今から学校を占領した輩を成敗して来い。成敗する方法は自由・・・じゃ、私は見てるからね。」
そういって彼女はいなくなったのであった。
「・・・僕のせいだって?」
ため息をついて彼は再び空間を凪いだのであった。
校内にある数少ない男子トイレ・・・そこで、一人の覆面が用をたしていた。彼らは人外の者で・・・・巷で噂になっている犯罪グループでもあった。
「・・・ま、今回も楽勝だったな。所詮は女子高だ。三人のほうが何かと動きやすいんだよな。」
ここの学校の規則が厳しいこと、男性は許可がなければはいれないこと、更に・・・今日は学園長がいつもいる部屋にいなかったということで彼らは犯行・・・この市を治めている市長の娘の誘拐を目論んでいたのであった。わざと派手にやったのは目立つためであり、彼らは正々堂々としたことが好きだったのだ。まぁ、誘拐が正々堂々にはいるかわからないのだが・・・いや、実際のところは卑怯に違いないだろう。
「さて、と・・・そろそろ戻るかね?他の教室の人も気づいているころあいだろうからねって・・・」
そういっていた犯人の一角がめったに掃除されない男子トイレの埃積もった床に倒れたのであった。その後ろからは上体のみを出している雪那がいたのだった。
「やれやれと・・・峰打ちだから許してね?」
そういってどこからかロープを取り出してその人物を縛り上げ、人目に付くような場所に転がしておく。無論、既に警察には知らせており、時間の問題だろうが・・・。
「・・・・後二人か・・・」
そういって彼は再び闇の空間の中に消えたのであった。
「おとなしくしやがれ!黙っておけばこの娘以外には手をださないからな!!全員、あっちを向いて床にうつぶせにしてな!ほら、葛籠も動かないようにしてな。」
一人の覆面が(因みに、覆面は額に肉とかかれていたりもする。)縄でぐるぐるまきにされている女子生徒を掴んでいたのであった。掴まれている女子生徒は震えており、他の生徒たちも既にロープでぐるぐる巻きにされていたのであった。動けるものは犯人以外、その場所にはいなかった・・・はずであったが・・・。
「・・・うがっ!!」
唐突にそんな叫び声をあげて犯人は崩れ落ち、ロープでぐるぐる巻きにされている女子生徒、葛籠 氷は解放されたのであった。
「え?」
困惑する女子生徒だったが、自分が解放されたことにようやく気づき、なおかつ犯人が少量の血を出しながら倒れており、おまけに気絶していることに気がついたのだろう・・・慌てて携帯電話を取り出して警察を呼んだのであった。
「・・・遅いな・・・。」
逃げるために用意されていた車の中で最後の犯人は犯行終了予定時刻を過ぎても戻ってこない二人の不甲斐ない犯人に対して憤りを感じていた。
「・・・五分前には大体、仕事が終了していないといけないんだぞ?そんなことも出来ない奴が犯罪を起こせるかってんだ。犯罪の世界でも頭が悪い奴は生きてはいけないんだ!」
持論を展開している彼にも魔の手が忍び寄っていたのであった。当然のように彼は気がつかない。
「もう、この仕事を最後にあいつらとは縁を切ろう!俺は今度からソロで生きていく!」
それならばもうちょっと早く縁を切るべきでしたねと心の中で呟いて雪那はその男を切り捨てたのであった。
学園の前にはパトカーが何台も止まり、父兄の方々の姿も見える。監禁されていた教室の女子生徒たちも人質となっていた女子生徒に解放されて誰一人として怪我をしてなかったそうだ。因みに、犯人たちは首辺りに殴られたような形跡・・一部、神経が麻痺していたり、背中が斜めに切られていたそうだ。
女子生徒はモザイクをかけられてテレビ取材を受けていた。
「あ〜え〜・・・気がついたら、ナイフが床に落ちてて・・・いつの間にかロープも取れてて・・・そのナイフを使って皆を助けました。」
犯人の前での勇気ある行動として彼女は一躍学園の中でヒーローとして迎えられていたのだが・・・・もう一人、ナイフを必要としている人がいた。いや、ナイフよりも鑢のほうが必要かもしれない。
「た、助けて!ばあちゃん!僕はよくやったほうだよ!」
「はん!何がだい?それだけですんでありがたいと思って欲しいくらいだよ。本当。」
鎖でぐるぐるにされている雪那の目の前でおばあさんはほっぺたが落ちそうなくらいのステーキを優雅に食べていなさったのであった。空腹の彼には拷問である。
そして、彼に食事が与えられたのは五時間後だったそうだ。
えっと、そうですね・・・連載第一回目ですので、何からはなしていいことやら・・・ほかの作品との掛け持ちですので、どうかとおもいましたが、連載することにしました。これまで漢字を題名によく使ってましたが、ひらがなもいいのではないかと思ったので、題名がすべて漢字です。基本的にコメディーにしていきたいとおもいますので、これからよろしくお願いします。




