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一握の砂もどき

作者: 弥生 祐

『働けど働けど なお わが暮らし楽にならざり ぢっと手を見る』

 石川啄木 歌集 『一握の砂』より


 夕闇と雨と空の下、男が走る

 生気を失った顔で、走っている


 世の不況、好転したというが

 未だリストラの波は絶えず


 その身に降りかかった男は

 なすすべもなく、溺れた


 男は愚かだった

 首切られ、蓄えもなく


 家で待つ女も愚者だった

 夫をあざけり、罵った


 やがて男は走るの止める

 夜に咲く花のような笑みを浮かべ


 やがて男は帰るだろう

 妻のいる家へと


 やがて男は帰るだろう

 首にあざの残る、小便にまみれた女の元へ


 夕闇の雨と空の下

 男は笑顔で、ぢっと手を見ていた……


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