『切り札』
豹牙視点です。
「『切り札』、だと・・・?」
俺の言葉に不思議そうに顔をしかめる砕牙。どうでもいいけど、その台詞はガチで悪役みてぇだな。
「そう、『切り札』だ。俺は研究員の実験で全魔力を筋肉強化につぎ込むことになった。だから俺の全ての筋肉は異常なまでに強化されている。」
トクン・・・トクン・・・トクン・・・
「それはさっきも聞いた。それと『切り札』がどう関係するんだよ。」
さっきの説明で分かんねぇか。我が義弟ながら理解力の無さには畏れ入る。
「考えてみろ。人間の臓器で筋肉を用いていないものを脳以外で言えるか?答はNoだ。ありとあらゆる臓器が筋肉を用いている。心臓さえもな・・・。」
ドクン・・!ドクン・・!ドクン・・!
「聴こえねぇか?心臓の鼓動音が。それが『切り札』の答だよ!!!」
ドクン!!!バクン!!!!バクン!!!!バン!!!!!バン!!!!!ズン!!!!!!!ガン!!!!!!!ドギャン!!!!!!!!
「ッ!?ヤベェ!!火剣 大文字!!!!」
急に焦って魔法剣をしてくる砕牙。今さら気づいたか。だが、もう遅イ!
「ムダジャア!!!!」
一瞬デ斬撃ノ間ヲ抜ケテ砕牙ニ詰メ寄ル。ソシテ、
「腕砲 轟撃!!」
「御柱!!ッグ!?」
アイツノ出シタ防御魔法ゴト砕牙ヲ吹ッ飛バス。砕牙ハ揉ンドリウッテ転ガッテイッタ。
「ソノマホウノセイデオモッタホドトバナカッタナ。ダガ、ソレヲサシヒイテモヤハリコノワザハツヨイ。サスガハ『切り札』ダナ。」
「あ、アニキ・・・。何なんだその速度と怪力は・・・。」
ホゥ、アレヲ食ラッテマダ意識ガアルカ。流石ダナ。
「イッテオクガ轟撃ジャナイゾ。アンナワザヨリズットツヨイ。ケツエキハ、シンゾウガオクッテイルノハシッテイルダロ?オレハシンゾウノキンニクヲサラニハゲシクコドウサセ、ジョウジンノ10バイイジョウノケツアツデケツエキヲオクル。」
ソウスレバヨリ早クニ栄養ヤ酸素ガ全身ニ行キ、俺ノ身体能力ハ跳ネ上ガルンダガ、無駄ニ情報ヲ与エル必要ハネェナ。
「つまり、アニキの身体により早く栄養や酸素が行ってアニキの身体能力が跳ね上がるって訳か。」
アララ、バレチマッタ。
「ソレガワカッテモ、オレガカテルトイウジジツニカワリハナイ。サラニケツアツヲアゲルゾ。オマエハヤブレルカ?オレノ『切り札』、『血流異常』ヲ!!!!」
バガン!!!ズガン!!!!グギャン!!!!!!
メキッ、ビキビキビキ・・・・!!!!
アァ、血管ガ浮キ出ルコノ感覚。常人ナラ死ヌホドノ激痛ナンダロウガ、痛覚ノ無イ俺ニハ関係ネェ。
「な、まるで怪物だ・・・!」
「イッテクレルナ。ダガ、コワイノハミタメジャナイゼ。ヒャハァ!!!」
「なっ!?消えた!?」
アイツノ目ニハソウ映ッテルダロウナ。ダガ、
「オレハココダァ!!!!!陥没 流星脚!!!!!!」
ククク、砕牙ノヤロウ俺ニ気付ク前ニ沈ンデイッタゼ。
「シンダトハオモウガ、ユダンハキンモツダナ。豪腕 流星!!!!」
威力ノ増シタ俺ノ拳ハ、地面ニ大穴ヲ空ケテ破壊シテイキヤガル。
「ヒャハハハハハハハハ!!!!!モット、モットダ!!グチャグチャニナッテシネェ!!!!!」
自分デモ何ヲ言ッテイルノカ分カラネェ。頭ニモ膨大ナ量ノ血ガ行くからな。正常な思考なんて出来やしねぇ。
・・・いや、それ以前の問題か。俺の思考はイカれてる。周囲から「狂人」と呼ばれる程に。元から俺はマトモじゃねぇ・・・。
そんな、俺の歪んだ考えを払ったのは、
「オイオイ、随分と無茶苦茶してくれるじゃねぇか。アニキよぉ・・・。」
死んだと思っていた、聞き覚えのある声だった。
遠征で完徹してマジで眠いです・・・。




