お料理講座1 シンプル・イズ・ザ・ベスト
1番手はアイ・C・ヘッジさん。どうなるのでしょうね。
「じゃあ、まずは私が教えましょう。」
そう言って黒板(何であるんだ?)の前に立って話し始めるのはアイ。口調や立ち振る舞いは完全に教師のそれだが、見た目のせいで背伸びした子供にしか見えない。まことに残念だ。
「・・・・・よろしくお願いします、先生。」
そして机と椅子を何処からともなく用意し、そこに座っているミンク。パッと見た感じは料理教室なのに、この2人だとおままごとにしか見えない。なんか和む。
「まず、初めて料理をする人にとって大切なこと、それはいきなり難しいメニューに挑戦しないことです。大した技術も無いのに難しいメニューを挑戦すれば必ず失敗し、その失敗は次への恐れになりますからね。」
「・・・・・なるほど。」
スゲェな。正論だし分かりやすい。ミンクも納得いってるみたいだし、これはいい料理ができそうか?
「そこで今回は、誰でも出来る料理をしたいと思います。それは、鍋です。」
「・・・・・え、お鍋?」
ミンクが驚くのも無理は無い。いきなり鍋料理はおかしいだろ。どう考えても難しいイメージしか浮かばない。
「そうでも無いで砕牙。鍋料理は下手な汁物よりずっと簡単やねん。」
「え?マジかよ吹雪。」
知らなかった。だってあんなスケールのデカい料理なんて難しそうじゃん。
「まぁ、そう考えんのも素人さんやったら無理はないわな。でも、鍋は言うてしもたら材料を鍋にぶち込んだらええだけや。入れる順番さえ間違えへんかったら後は楽なもんやで。」
なるほどね・・・。それなら確かに俺でも出来そうだ。冬になったら作ってみよう。
「吹雪さんの言う通り、鍋は簡単で美味しいのがウリです。さらに今回教えるものはその中でも特に簡単なもので、道具は菜箸と鍋だけ、材料も調味料を入れて3つしかありません。」
「「おぉ!少ない!」」
て言うかそんなに材料少ない料理とかあるのか?吹雪も知らねぇみたいだし。
そんな俺らを尻目に、アイは黒板に料理名を書く。その料理は・・・
「『ネギ鍋』です。」
「ちょっと待て。」
「何か?」
いや、そんな「なにかおかしい~?」みたいな耳されてもな。そんな某カロイドの黄緑ツインテール娘しか喜ばねぇような料理をアニキに作ってやれと?
「文句は食べてから聞きます。さぁミンクさん、始めましょう。」
「・・・・・うん。頑張る。」
そう言い合って作り始める2人。その手順は、
1,鍋に水を入れて沸騰させ、昆布でダシをとる。
2,洗って食べやすい大きさに切った青ネギ(九条ネギがbest)を湯にくぐらせ、ポン酢に浸けて 食べる。
3,白ネギでも挑戦してみよう!
「「少なッ!?」」
何てこったい、たった3ステップかよ。3つ目に至ってはただのアドバイスだし。
「あなた達何驚いてんのよ。」
驚いて声も出ない俺ら(俺と吹雪)に呆れたような声を出したのはフェレだった。
「『ネギ鍋』はある程度昔からこの地方で食べられてる料理よ。栄養があって作るのも簡単で何より美味しいし、知らなかったの?」
そんな事言われてもねぇ・・・。俺と吹雪はこの地方出身じゃねぇし。
「なぁ、お前らは知ってたか?」
水面は知ってるかもしれねぇが、琥珀は異世界人だし知らねぇハズだ。きっと分かってくれる。
「え?お兄ちゃん知らなかったの?」
「俺は知ってたぜ。」
・・・現実はいつも残酷だな。何で琥珀まで知ってんだよ。
「俺がいたフィンの村で生まれた料理だからな。村の人はみんな作れるんだ。それより、折角ミンクが作ってくれたんだ。早く食べようぜ!」
「・・・・・召し上がれ。」
そうだな。鍋は冷めちまうと美味くねぇし、頂くか。
「お、意外と美味い。」
「ホンマやなぁ、こんなシンプルで美味しい料理あったんやなぁ。」
昆布でダシをとった湯にネギを潜らせ、ポン酢で食べるだけ。それが無性に美味いから気付いた時には完食してた。
「どうやら私の授業は成功だった様ですね。ミンクさん、よく頑張りました。」
「・・・・・やった。」
ミンクも嬉しそうだ。アイがいて良かったのかもな。
「ウチも負けてられへんな。よし!ジャポネ共和国のナニワタウン育ちであるウチのとっておきを見せたるわ!」
次は吹雪か。アイツのメシも食ったことある。美味かったから今から既に楽しみだな。
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