交渉と決闘
今回は砕牙視点。
『答えろ。其処で何をしている・・・・。』
声と共に強大な魔力が後ろから注がれている。こんな芸当が出来て尚且つこのステージに出現するモンスターを俺は1種しか知らない。
「骸神か。あの子1体だけだと思ってたんだがね・・・。」
なんとか時間を稼ごうとしたが無駄だった。リッチは声色1つ変えずに質問を重ねる。
『つまらん時間稼ぎはよせ。そろそろ質問に答えねば死人が出るぞ。誰とは言わんがな・・・。』
その言葉を証明するかのように、部屋を包む魔力が一層濃くなる。潮時か。
「いやなに、ここに使用者がいないまま放置されている刀があると聞いたものでね。折れた刀の代わりにしようかと思ってやって来たのさ。」
『なるほどな・・・。その手の中に納まっているモノを見れば真か否かが容易に分かる。もう「魔王の心臓」を手中にしたのだな。』
そう言って目を細めるリッチ。まずかったか?
「いけなかったかい?」
『いや、刀は優れた武芸者の手によって真の輝きを得るもの、一向に構わない。問題は、貴様の連れが手懐けた骸神の小娘のことだ。』
あの子のこと?なんか問題でもあったのか?まぁ、あのアニキで問題無い方が変だもんな。
「それは失礼した。あのアニキが何をやらかしたかは知らないが、どうすれば許してもらえる?義弟が償おう。」
『簡単な話だ。あの小娘は私の下僕なのでな、返してもらいたいだけだ。』
あ、これは無理だ。1度誰かに懐いた幼子をその人から引きはがすのは基本NGだからな。それに、個人的にもあんな幼気な子を「下僕」とか言ってる野郎に渡したくないしな。
「スマンが、その要求は呑みかねる。他に無いか?」
『そうだな・・・、ならば「魔王の心臓」を返してもらおうか。』
うん。これも無理だ。俺が苦労して入手した刀だし、これが無いと俺は武器のランクを10ほど下げるか、クエスト受注を諦めねばならなくなる。それに、この刀は俺のことを気に入ってるみたいだしな。
「それ以外、と言ったらお前は怒るのだろうな。」
『分かっているのならどちらかを渡せ。我が下僕も、我らが秘宝も手に入れるなどさせぬ。どちらかを手放せ。』
部屋を包む魔力が濃くなる。どうやらこれが最後通牒のようだ。まぁ、コッチの要求を全部呑んでもらえるとも思ってなかったけどな。
俺は自分の魔力を開放し、言葉を紡ぐ。
「交渉決裂か、しょうがない。ならば昔からこうなった時の解決法は決闘と決まっている。来いよ。この新しい相棒の力を試してやる。」
『よかろう・・・。後悔するなよ!!』
さぁ、決闘の始まりだ!
『ふふふ、‘相棒’ってなんだか照れるね・・・。』
・・・KYな声のせいで気勢を削がれたがな・・・。
『さぁどうした!!その刀を持っていてその程度か!?』
「ぐ、うるせぇ!!」
やばい。魔力が回復してたからつい大丈夫だと思ってたが、‘獣眼’の連続使用と「魔王の心臓」との契約で体力の方が底を尽きかけていた。
『さぁ、いくぞ!超能力爆発!!』
「やばっ!御柱!!!」
よし、魔法のぶつかり合いで壁ができた。今のうちに遠くへ・・・、
『何をしている?』
「嘘だろ・・・!」
何でこんな早くにコッチ側に・・・!?
『くくく、瞬間移動は気の魔法だぞ。我が使えぬわけがあるまい。』
そうだった・・・。どれかの属性魔法を完全にマスターしていることが共通特徴のHSSモンスター。骸神は確か気属性だった。
『さぁ、覚悟はできたか・・・?まぁ、出来ていなくても殺すがな。』
ヤベェ、死ぬ。こんな事で義妹達を路頭に迷わす訳には・・・・。
『さらばだ。気じ「YEAR ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」グハッ!?』
あのアホ・・・・、遅いんだよ!
「オトウトニテヲダシテタダデイレルトオモウナヨ!!!」
「狂人モード」か、まぁいい。この状況では好都合。さっさとこの骸神を掃除しますかね!
「ヱハハハハハハヴェハハハハハハケハハハハハハ!!!」
ちょっと怖いけどね・・・・。
アニキは相変わらず狂ってる。
因みにあの幼女は骸神と狂人の両方にビビってました。




