怨念の刃
やっと「魔王の心臓」登場です。
何かが落ちた音で振り返るとそこには・・・、
「・・・・・・・うぅ、・・・・・ヒック・・・・・えぐ・・・・・。」
泣きじゃくっている1人の少(幼?)女がいた。しかも磔状態で・・・。
「さて、ムショに行こうかアニキよ。」
「ヤダネー!何で俺が?」
「テメェ・・・・自分が何したのか分かってんのか?いたいけな幼女の服剥いで泣かすのはどー考えても最低の犯罪行為だよな。」
そう言うとアニキは凄く気まずそうな顔をして(あ、自覚はあったんだ。)泣いてる幼女に近寄って謝罪した。
「あ~、ゴメンねお嬢ちゃん。服なくなって怖かったよね?」
いやいや、謝るぐらいなら最初からすんなよ。
「・・・・・違う。それに謝る必要はない。」
「「え?」」
うそー。服剥がれて謝らなくていいってもしかしてその歳で露出狂?
「・・・・・・泣いてるのは、この仮面が取れたから、一族の呪いから逃れられたから、やっと自由になれたから。・・・・・それが嬉しかったから。」
「「なるほど・・・・。」」
そう言うわけか。この子はなりたくて骸神になったわけじゃねぇんだ。狂信的な魔王教信者に無理矢理に仮面をつけられて神殿の番人にされたんだ。
「・・・・・本来この骸神の仮面は着用者の魔力を粘着力に変えて張りつくから1度ついたら2度と取れない。それを取って自由にしてくれたのが・・・・・、」
「俺のナイフってワケかい?」
「・・・・・そう。だからあなたにお礼をするならともかく、謝ってもらう必要なんてない。」
あ~、なんか仲間外れにされちまった・・・。今のうちに「魔王の心臓」取ってくるか・・・。
「何だ・・・ここ・・・?」
思わずそう呟いてしまうほど、その部屋は異常だった。地面に散らばる無数の仮面、台座を囲んでる人骨や死体はおそらく骨格からして女性だろう。
そして、その台座の上に「ソレ」はあった。‘狼爪’のような白い柄、死鎌紋を模る黒い鍔、そして鈍い光を放つ白の刀身に赤い炎型の峰。伝説と一切違わない、紛れもないそれは‘怨刀 魔王の心臓’だ。だったら、周囲の骨々はやはり、怨念を吸って魔力を出すと言われるこの刀の為の生け贄。捧げられた自分の運命や捧げた村人たちを恨み、その端から全て刀に吸われてやがて死んでいったのだろう。その最後の瞬間まで誰かを恨みながら・・・・・。
「これが・・・、人間のすることかよ・・・。」
なにか強い憤りを感じながら刀に手を伸ばす。しかし、おそらくこのまま触れたら生け贄の霊たちに取り殺されるだろうから布越しに。柄に触れた瞬間、俺の中に途轍もない黒い衝動が湧き上がってきた。それは、最近無くなっていた殺人衝動であり、生け贄たちの自分の後釜を求める声。感じてて涙が出そうになる・・・。
「聞け、この刀に憑依せし者よ!我は獅子王 砕牙、新たなるこの刀の主だ!誓おう!汝らの後釜を得るため、数多の生ある者を殺すことを!これからの生涯常に汝らと共にあることを!さぁ!!その牙を収め、新たな主の誕生を喜ぶがいい!!!」
少しクサイがしょうがない。伝説の中にある契約の言葉を言う。すると衝動が消え、俺の耳に少女の声が流れこんできた。
『くすくすくす・・・・。あなた面白いのね。今まで契約の言葉を恐怖ならともかく、憐みの感情を込めて口に出した者はいなかったから。いいわ、私はもうあなたの物、好きにして頂戴?』
「いいのか?」
『えぇ、いいわ。あなたは今までのニンゲンや村のみんなと違って優しそうだもの。これからよろしくね?』
笑い声と共にその声が消えた時、俺はその場にへたり込んでしまった。俺の中に残ったのは凄い疲労感と、
「魔力が、回復してる・・・?」
何故か回復していた魔力だった。
「何で?あんな刀に触れてるんだから魔力を吸い取られてもおかしくないはずなのに・・・。」
俺がすっかり考えこんでいると、
『貴様・・・・、其処で何をしている・・・。』
後ろから強大な魔力と共に声が聞こえてきた・・・・・・。
次回は豹牙視点。




