噂の真偽は確かめて
作者の妄想全開章スタートです。
「やっぱり来たか・・・・。いつかは来ると思ってたんだけどな。」
我が家の地下、武器製作所で俺、獅子王 砕牙はため息を吐く。その手に握っているのは愛刀、‘邪刀 狼爪’。いや、かつて‘狼爪’だった物だ。今のソレは形こそ刀の形状をしているが、かつての黒い輝きは感じない。
「寿命か・・・。」
そう、普通の刀と違い、‘狼爪’には寿命がある。その理由は材料だ。柄や鞘に人骨を使い、刀身を鍛える炎を焼くにも人骨を使うこの刀の力の源は材料に使われた死者の怨念なのだ。だけど、怨念も無限にある訳じゃない。人やモンスターを斬ることで、まるでストレスが発散されるかの様に抜けていくのだ。そしてその怨念が尽きたとき、刀としての切れ味が消え、刀はただの骨に変わる。
「まぁ、ぐちぐち言っててもしゃーないわな。それより、武器をどうするかねぇ・・・。」
問題はそこだ。ギルドはその規則で、武器を持たない者のクエストの受注を禁止している。だからあのアニキですら武器を持っているのだ。でも、俺の作ったあの刀は、自画自賛になるかもしれねぇが最高の物だ。代刀ならともかく、これからも使う刀に店で売ってるような物はいらねぇ。でも、もう1度'狼爪'を作るのは無理だ。そんなに人骨を持ってない。
「ホント、どーしたものかねぇ。」
「どーしたの?」
「!?」
驚いた・・・。いつの間に水面が後ろに。昔は誰かが後ろに来てもすぐ気づいたのに・・・。
「それだけ常人に近づいたってことだよ。それでどーしたの?」
「ん?あぁ、武器の寿命が来たんだ。」
もう突っ込むまい。地の文で会話が成立してることには。
「それなら、吹雪さんの店に行けばいいんじゃない?」
「いや、アイツの作った刀は切れ味はいいんだけど強度がな、せめてアニキが殴って壊れねぇぐらいは欲しい。」
「それは無理でしょ・・・。」
水面はそう言うけどやっぱりそんくらいの強度ねぇと技の剣圧に刀が耐えられねぇ。
「だったら良いのがあるぜ。」
「!!?」
こ、今度は琥珀か。心臓に悪い・・・。
「あはは、悪い悪い。それより今の師匠にピッタリの話があるぜ。」
「へぇ、どんな話だ?」
放置でいいよな、例の状態は。
「師匠は『魔王の心臓』の伝説を知ってるか?」
あぁ、あの伝説か。
「遥か昔、勇者に倒された魔王の怨念が刀になったって話だろ?で、刀は心臓のように脈を打っていたから、『魔王の心臓』と呼ばれたという。」
でもそれは所詮伝説じゃあ・・・。
「ところがそうじゃねぇんだよな。実は最近その伝説は本当で、『魔王の心臓』は実在するって噂が出てるんだ。」
「へー。噂ねぇ。誰が発生源?」
噂なんて所詮根も葉もないものがほとんどだ。俺はある1人が発生源のものを除いて噂を信じない。
「俺だよ義弟。」
「!?アニキが!?」
まいったぜ。まさかその1人が発生源だとは・・・。
「で、どうする?行く?」
「・・・場所は?」
「旧神殿跡。」
おあつらえむきか・・・。
「分かった、行こう。」




