笑顔
さて、アイさんの笑顔は戻るのでしょうか?
「お前ら~、準備はいいな~。」
今、俺らはアイの家の前にいる。全員サンタの服を着てクラッカーを手に持っている。
「まかせな師匠。1発ぶん殴ってやるぜ!!」
そう言うのは片手にハリセン持った琥珀。うん、まかせられない。
「何やってんの琥珀ちゃん。そんなんじゃ更に距離あけられるだけだぜ?」
呆れた顔でアニキが言う。今回ばかりはアニキに賛成だ。だが、
「ウッセェ!!変態に言われたくねぇよ!!」
普段の行いって大事だよね~・・・。頬の話の誤解も解いて、立派なクリスマスケーキ1人で作ったのにこの返され方。俺は常日頃から気を配ろうと思った。
「大騒ぎしないで!!もうここアイさんの家の前なんだよ!!?」
大丈夫だ水面、お前がダントツで声がデカい。
「ちょっ!?声が大きいわよ!!バレたらどうするの!!!」
君も声を落としなさい。声潜めてるの俺とアニキくらいじゃねぇか。
「大丈夫や。アイは何か座って考え事しとるし、気付きよらへんって。」
そうか、それなら安心だな。って!?
「何やってんだよ吹雪!!!?」
窓にしがみついてんじゃねぇよ!覗きは犯罪だぞ!!!
くいくい
ん?服が引っ張られて・・・?
目を下すと、そこにはむくれた顔のミンクがいて、一言、
「・・・・・みんな、うるさい。」
「「「「「「すいませんでした。」」」」」」
1番この子がしっかりしてたよ。やっぱり育ての親を反面教師にしたのかねぇ・・・。
「じゃあ、私がドアをノックするから、みんなでクラッカーならしてね?」
そう言ってドアノブに手をかけるフェレ。いつも汚れ役させてる気もするが・・・、本人が買って出てるんだからいいか。
さて、もう少しだ・・・・・。
コンコン・・・。
ドアをノックする音が聞こえた。
「こんな時間に客ですか・・・?また、『黒猫』頼りの暗殺依頼ですかね・・・・。」
ついつい卑屈な考えになってしまう。さっきまで不安になる様な事を考えていたからだろうか。
コンコン・・・・。
取りあえず、ノックは続いているから出なければ。
「はい、どなたです「「「「「「「メリークリスマース!!!!!」」」」」」」・・・・か?」
そこには、サンタクロースの服に身を包み、クラッカーを鳴らすいつものあの人達がいた。
「メリークリスマスだな!ケーキ作って来たぞ!!!」
変態だけど料理が得意で優しい大男と、
「ほれ!ウチからのプレゼントや!血塗られた牙の整備終わらせといたで!!」
独特な喋り方をする陽気な女性と、
「メリークリスマス、アイさん!一緒に宴会しよ!!」
元気いっぱいな水色の目の少女と、
「オイ!!後で1発殴らせろ。俺らを信用しなかった罰だ!!」
口は悪いけど人の良い少女と、
「何言ってるの!!ゴメンねアイちゃん・・・。」
面倒見の良い受付嬢と、
「・・・・・元気、出して?」
おっとりしてるけど根はしっかり者の女の子と、そして・・・・・・、
「アイ、メリークリスマス。もう1人じゃない。みんないるから、笑え。」
いつも悲しみや孤独から救ってくれる、最愛の男性がいた。
途端に、景色が滲み出す。目から、涙が溢れて止まらない・・・・。
「こんなに嬉しいクリスマス、初めてです・・・。」
その言葉も、ちゃんと言えない・・・。涙で滲んで、前が見えない・・・。
「え!?」
急に顔を上げられるような感覚があり、目を開けるとそこには、
「そういう言葉は目を見て言ってくれ?」
両手で優しく顔を包む砕牙さんと、後ろで微笑むみなさんの姿があった。
あぁ、私は、笑っていいんだ。もう、表情を消す必要はないんだ・・・・・。
「みなさん、本当にありがとうございます。」
そう言った時の私は、間違いなく笑顔だったと思う。
さて困った・・・。
次回どうしよう・・・。




