最優先は己の命
実際問題そうですよね?
「・・・・・・アイツら、上手くやったみたいだな。」
山の中にあった聖夜赤鼻の気が消滅してる。琥珀は少し不安だったけど、ちゃんと勝ったみたいだ。
『何を笑っている!?遂に儂との圧倒的な実力差を感じて気がふれたか!!?』
ったく、うるせぇ爺だ。
「ンな訳ねぇだろ聖夜神。お前如きに気がふれる程俺は雑魚じゃないんでね。弟子と義妹が勝ったのを感じ取っただけさ。」
それを聞いた瞬間、あの爺は笑えるくらい狼狽えだして、急いでトナカイを呼び戻そうとしている。
『ば、馬鹿な・・・。どちらにも連絡がつかん・・・。まさか、本当に・・・!!?』
で、何か落ち込み始めた。どーでもいいけどチャンスだよなコレ。
「炎剣 焔十字架!!!!」
余所見をしていた聖夜神の体を炎で出来た十字架が抉る。
『な!?あぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?』
激痛にそこいらをのた打ち回る聖夜神。そんな爺を見下ろしながら俺は言葉を繋ぐ。
「余裕こきすぎだよ爺さん。戦闘において最も気に掛けるべきは己の命。特に、実力が均衡している者同士なら尚更な。」
コイツ、本当にモンスターか?戦闘中に自分そっちのけで部下を気に掛けるとか俺でもしねぇぞ・・・。
『何を言っておる!!あの者達は数百年もの間、苦楽を共にしてきた同士じゃ!!捨て置けるものか!!!』
あ~はいはい。ご立派ご立派。だったらな・・・、
「ここにその同士とやらを殺した者の仲間がいるぜ?」
こんくらい挑発しとけば後は勝手に激情して自滅してくれるだろ。
『言われなくとも!!食らえ!風霊鶴齢!!!!!』
ほらな。大魔法を使ってくるのはいいけど、感情が昂ぶり過ぎてコントロール出来てない。こんなの、
「これで十分!焦熱地獄!!!」
さて、今から何分もつかね・・・?
絶対に許しはせん!!儂を侮辱するに飽き足らず、我が同士までも殺すとは・・・。その罪、命を以てして償わせてやる!!!
「ほらほらどーした!?そんなんじゃ全然当たらないぜ!!!」
くっ!何故じゃ、あの時を境に命中率が格段に落ちておる!!命中したとしても全て受け流される!!一体何が起こったんじゃ!!?
『小賢しい!!冷却砲!!!』
これでどうじゃ!!!
「だから効かねぇっつってんだろ。証拠を見せてやろうか?気剣 御鏡。」
む?奴の刀が円を描いたと思えばそこに儂の魔法が吸い込まれて・・・、
「そら、食らいな!!!」
『が、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?』
跳ね返って来て儂の脚を貫きおった!!何じゃ今の技は!!!?
「驚いたか?あれは俺が作った魔法剣って技でね、今のは相手の技を威力を倍にして返すヤツだよ。」
何と言う恐ろしい技じゃ。クソ!!脚も動かん・・・。ここまでか・・・。
そう思った時、儂の耳にある声が聞こえてきた。
『聖夜神様ぁ~!!ご無事ですかぁ~!!?』
『待っててください!直ぐに助けますから!!』
何と・・・、部下が生きておったのか・・・!?何と言う・・・・・。こんなに嬉しい日は無い・・・。
『無事であったかお前達ぃ!!』
脚の痛みも忘れて立ち上がり、走り寄ろうとしたその時、
『が、がは・・・・!!?』
急に激痛が走り、全身の力が抜け始めた・・・。
儂が最後に見たのはいつまでもトナカイの声色で話す機械と、左胸を突き刺す刀。
そして、その耳は最後にこんな言葉を捉えたのだ・・・・。
「だから言ったろ?自分の命を最優先にしろって。」
砕牙は最低野郎ですね・・・。




