大切な人を侮辱されると切れる
また伏線貼ってもうた・・・。
「ったく、あの爺ふざけやがって!!!」
俺は今、師匠に頼まれてあのトナカイを探してるんだけど、やっぱり腹が立つ。
あそこまで夢を壊す必要もねぇだろうが!!!子供の頃から修行に明け暮れてた俺にとって初めてのマトモなクリスマスだったのに・・・・・。
「だぁ!畜生!!こーなったら腹いせにあのトナカイをブッ飛ばしてやる!!!」
それで少しは気が晴れるだろ。
「それにしても・・・、どこだ?そんなに遠くまで飛ばしてなかったと思うけど・・・・。」
おかしいな・・・、いくら歩いても見つからねぇ。道間違えたか?
『空気弾。』
「へ?うぉ!!?」
あぶねぇ!!避けんのが一瞬でも遅かったら怪我じゃ済まなかったぞ!!!
「何しやがるテメェ!!」
そこにはさっきのトナカイがいた。
『何って、決まってるでしょ?聖夜神様を馬鹿にした上に、私を吹き飛ばした貴方に仕返しするの。』
「ハァ!?」
何言ってんだコイツ?むしろ馬鹿みてぇな扱いを受けたのは俺や水面だし、敵と戦ったら吹っ飛ばされても当たり前じゃねぇかよ。
『私って強いから。だから、貴方みたいな弱者に飛ばされるのが一番腹が立つのよ。』
「んだとコラ・・・!」
俺が、弱いだと・・・?
『だってそうでしょ?この距離まで飛ばされてここまでダメージが無かったの私初めてよ?びっくりしちゃった。』
クソッ!悔しいけど、ホントの事だから何も言えねぇ・・・。
『見てたら分かるわよ。貴方、「影縫」になり損ねたのね・・・?』
「・・・・・!?」
な、何で・・・・・・!?
『影縫に動きが良く似てるのに、実力は全然桁違い。どう見ても試験に落ちた「忍」でしょうが貴方。』
コイツ・・・、そんなことまで分かるのか・・・!?
確かに俺は、村を出る時に偶々10年に1回しか開催されない「職業ランクアップ試験」があったから受けた。どうせなら忍の上級職「影縫」になってから師匠に会おうと思って。
でも、結果は落選。しかも、「影縫」は年齢制限があって、20歳以下しか試験を受けられない。だから、俺はもう・・・・・。
『残念ね。貴方もう一生「影縫」にはなれないんじゃない?』
「うるせぇ!!お前なんかに同情される筋合いはねぇ!!!」
くそッ!この話題になるといっつも怒鳴っちまう。冷静になれ・・・。
『ふーん・・・。どうでもいいけど、貴方と一緒に来た男。アイツも相当バカよね。』
・・・・・・ッ!!!?
「何・・・だと・・・・!?」
ヤバい。頭に血が上ってきやがる。冷静になれ、忍は常に冷静でないと駄目だし、師匠にもいつも「お前はもっと冷静になれ。そしたらもっと強くなれるよ。」って言われてただろ。でも、師匠を馬鹿にされて黙ってられるか!
「オイ!!テメェそれ以上言ってみろ!ブッ飛ばしてやる!!!」
『あら?何か間違いを言ったかしら?態々HSSのモンスターの目撃情報があったこの山に来て、HSSモンスターを怒らせて。今頃もう死んでるでしょうよ。』
コイツ・・・!言わせておけば・・・!!
「師匠はギルドの依頼を受けて来たんだ!ちゃんと倒せるだけの実力はある!!」
『あははは!!!貴方、人を見る目も無いのねぇ!人間の命とも言える顔の、あんな目立つ所に大きな醜い傷をつけられるような男が強い訳ないじゃない!!ギルドはきっと不要物件を削除したかったのよ!!』
「ッ!?うっせぇこのアホトナカイ!!師匠はHSSの冒険者だ!!弱い訳ねぇし、ギルドの不要物件なハズもねぇ!!!」
コイツ、マジで許さねぇ!!!師匠をここまでコケにしやがって!!!
『ふ~ん。じゃあ、実力はあるんだ。だったら随分情の無い人みたいね。貴方みたいな到底私に勝てなさそうな小物を1人で向かわせたんだから。』
それを聞いた瞬間、俺の中にある切れたらいけない「何か」が、
切れる音がした・・・・・。
「いい加減にしろこのオカマトナカイ・・・・・・・。男言葉も喋れねぇで師匠を侮辱するな。」
『へ・・・・?』
「見せてやるよ。お前が馬鹿にした『小物』の底力・・・。秘術 体内門“開”!」
「な、何だったんだ?今の・・・・。」
気が付いたら、俺の周りにバラバラになったトナカイの死骸が散らばってて、白い雪は紅く染まってた。
「それに、あの術・・・・。俺あんな術しらねぇぞ・・・?」
唱えたところまでは覚えてる。だけど、そこから先は記憶に無い。一体何が・・・?
「何だか気味悪いな・・・。帰ったら師匠に訊いてみよ。」
『何ト言ウ事ダ・・・!下手ヲスレバ朕自ラ赴ク事二ナルゾ・・・・。』
ヤバい・・・。
回収が困難かもしれん・・・。




