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第2話:尻拭いする教師

ミコトとゲンサイ。

本人達に悪気はなくとも俺の頭と胃をカオスにしているヒノモトからの留学生。

この2人が留学した理由は単純なようで複雑だ。

「魔法技術の獲得」という計画を女王が立ち上げた際に国中から猛反発を受けたらしい。

曰く、


「国内が未だごたついているのにそんな事している暇はない」

「そんな怪しげな物に貴重な金を使いたくない」

「そんな物なくても我等は戦争に勝ったではないか。」


ゲンサイに言わせると戦争に勝って調子にのった馬鹿が即座に利益の出ない事業に

無意味な反対をしているだけなんだそうだけど、

上の理由で国費で正式に派遣する事が出来なくなった。

(反対する連中をブッ飛ばそうとした夫を女王は、ゲンサイをして見事と唸らせる程の

 掌底アッパーで沈めたらしい)

女王は強権を発動する事をあまり好まないそうで、夫の実家から資金を調達してもらって

私費留学という形にしたらしい。


しかし、私費留学とはいえ国を代表する留学生に凡愚を派遣することは出来ない。

優秀で、異文化に積極的に溶け込もうとする姿勢を持ち、

なおかつ暇な少数の人間を選考することは困難を極めた。

前2つの条件に当てはまる人材が居なかったからである。

(自分が行くと言い出した夫を女王は、ゲンサイをして精密と唸らせる程の

 スリーパーホールドで沈めたらしい)


そこで選ばれたのが隠居して暇を持て余していた夫の祖父「ヒノモトの武神」ゲンサイと、

血統の理由から剣より魔法の方に資質があるのではないかと目された娘であり王女の

「ヒノモト王国第2位継承者」ミコトであった。

(こっそり3人目として書類を紛れ込ませようとした夫を女王は、ゲンサイをして真似できないと唸らせる程のジャックハマーで沈めたらしい。)





え?夫弱すぎ??

ゲンサイさん曰く「大馬鹿」、ミコト曰く「料理や裁縫が上手い」らしいんだけど、

ゲンサイさん自分の孫を悪く言いすぎでは?あとミコトのは答えになってないからね?

「アレは平和な世ではわし以上に不要な存在なのですよ」

「父様のご飯美味しいよ?」

もういいです・・・


よ、要約するとカトラス帝国が侵攻した際に、10倍の兵力で攻められたにも関わらずサムライを率いて撃破した時の総指揮官。

戦争の采配が不気味なほど上手いらしい。

その一戦から諸国からは「極東の魔王」とまで言われている。

それ以上は怖すぎて話せない(汗)


撃破した時の戦いが野戦とか、

よりによってゲンサイ1人に先陣切らせて、ゲンサイはゲンサイで敵兵100人切り捨てて

掠り傷1つ負わなかったり、

カトラス帝国の兵はフランベルジュの兵3人に伍するとか、

実はこの時ヒノモトのサムライを総動員して逆侵攻を仕掛けて王城を包囲中だったとか、

考えただけで俺の中の常識が木っ端微塵にされちゃうのよね。ハハハ。

帝国の王様は未だに夢で魘されるらしいし。


まあ・・・こちらの常識が異国での非常識ってのはありうる事で、

俺もヒノモトの常識ってやつをゲンサイから学んでいる最中だ。





でもね・・・なんでこうなった??


今は学園が管理するダンジョンでの実習中。

蔓延るモンスターやトラップなど、実際に起こる事にどう対応するか学んでいく内容なんだけど、

経験の少ない新入生に関しては自動的に結界が作用して下の階層に行けない仕組みになってるのよね。


その実習中に2人が行方不明になったと聞いて慌てて俺もダンジョンに入ったんだわ。

で、何とか無事に合流できたわけ。


45階で。


俺の理解している話だと、1年次は5階までしか潜れなくて、

30階が学園生が入れる限界到達点。

そこから40階までは教師の訓練や軍の実習で使われる範囲で最下層。


俺が苛めで間違った情報を教えられた??

それとも、ここってあれですか?隠しダンジョンって奴ですか??


「先生、どうなされたのですかな?」

「顔色悪いよ~?」

「ガウ??」


いや、そもそも何で俺ってここまで潜れてるの!?

確かにモンスターには遭遇しなかったんだけどっ!!


「いや、面倒をかけて申し訳ないですな」

「ごめんなさ~い」

「ガウゥ~」


話を聞くと二人もウロウロするうちにここに来たんだとか。

全くモンスターに出会わなかったらしく、安全区域と勘違いをしていたらしい。


ってか結界はどうしたの!?

あんまり問題起こすんで意趣返しに誤作動させたとかかっ!!


「ん??階段の近くの見えない壁の事ですかな??

 鬱陶しいので殴れば、ほれ」


カシャーンとガラスが砕けた音がして、45階の結界が消えてなくなった。

え??もしかして力ずくで突破してたの?


「おじいちゃんすご~い♪」

「ガウ~」


あの~・・・ミコトさん??後ろの御仁はダレデスカ?

すっごく大きくて毛むくじゃらで硬そうなんですが。


「ここで拾ったの~。ガウちゃんって言うんだよ♪」

「ガウッ♪」


いや、拾ったのじゃないでしょ!?

こんなモンスターの情報なんて俺知らないよ!?

あれかっ!?伝説のモンスターって奴ですか!?


「ミコトに懐いてしまいましてな。害意があれば切り捨てたのですが」

「お散歩と芸の仕込みは頑張るよ!!」

「ガウッ!!」


アハハ・・・オサンポッテナンデスカ??

コンナノガクエンニツレカエッタラダイパニックデスヨ??


「駄目・・・なの??」

「ガウゥ」


メヲウルウルサセテモダメデスヨ?

ダッテアレデスヨ??コウシャトオナジクライデカインデスヨ??

ソモソモソトニデラレマセンヨ。


「ミコト、先生に無理を申すでない。また会いに来れば良いだけではないか」

「分った・・・ガウちゃん、また遊びに来るからね??」

「ガウゥ・・・」


この後の騒動を俺は思い出したくない。

隠しダンジョンの発見で国中が大騒ぎだったとか、

このモンスターが上層のモンスターに脅しを掛けて学生の前に姿を現さなくしたとか、

ミコトが会いに行くたびにゲンサイが結界をぶち破って行ったりとか、

その度に俺が始末書を書く方面に提出する破目になったとか、

何より・・・


「ガウちゃん、お手♪」

「ガウ♪」


ガウと名づけられた問題のモンスターが実は魔法で大きさを自由に変えられることが分り、

ミコトの部屋にペットとして飼われる事になったとかっ!!


故郷にいる父さん。

俺、今すぐにでも辞表を書きたい・・・。


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