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原約:世界の始まり


 ―――かつて、


 世界は神の力に守られていた


 ありとあらゆる生命が溢れていた


 神の祈りは世界の全ての食料であった


 食料があり、生命たちには上も下もなかった


 神の祈りは世界の全ての血であった


 血は世界を潤し、生命たちを癒した


 神の祈りは世界の全ての恵みであった


 全ての生命たちは死ぬことがなかった


 世界に人が生まれ、神の元についた



 ――――しかし



 いつか人は神を堕とそうとした


 人は神から離れ、生命たちの上に立ち


 生命たちを喰い、大地を荒らし、海と空の水を汚し


 人は人の血で世界を(けが)した


 神は泣いた


 神は嘆いた


 神は言った


「罪は私にある。世界よ戻れ」


 神は謳った


 神の詩が生命たちを甦らせた


 神の泪は水を癒し


 神の唾は緋色を剥がした


 世界は始まりになった


 しかし神は世界を閉じることにした


 神は別の世界を造りそこに人と生命たちを住ますことにした


 別の世界は丸い形をしていた


 方舟で人と生命たちは丸い世界に移った


 楽園は閉じられ、神は眠り


 三つの神が丸い世界を統べることになった


 世界は始まった

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