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短編ホラー

フォーリーサウンド

作者: 壱原 一
掲載日:2026/07/28

■『La *-30』続編、今冬発売へ


「sin de tamore 俺の amore」で物議を醸した個人制作の海外インディーホラーゲーム『La *-30』。


その続編『La *-30: El Callejón』の今冬発売予定が、制作者Perro Saltarínの*アカウントで発表された。


『La *-30』は不気味で人通りの少ない道路「La *-30」が舞台のサイコサスペンスホラー。プレイヤーは行方不明になった*を探す*親を操作する。


個人制作でありながら緻密なフォーリーサウンド[1]を用いた臨場感溢れる音響演出が特長で、終盤の*の喚き声[2]に、ある暴行動画の*性被害者の音声が用いられているのではないかと囁かれたことでも話題になった。


■暴行動画と音声 SNSで話題に


問題の暴行動画は、『La *-30』発売の数か月前に某SNSの日本語名アカウントから投稿された。投稿当時、同SNSの一部で流行していた楽曲をBGMに用いている。


楽曲は日本の男性地下アイドルグループによるポップソングで、意中の相手の死を願うほどの独占欲を伴う狂おしい愛を表現。


「sin de tamore(=死んで()もれ;死んでください)」というキャッチーで力強い歌詞をフックに、当初はファンの間でメンバーへの熱い思いを表現する「推し活」ショート動画のBGMとして人気を博した。


この人気が徐々に他ジャンルの推し活動画やダンス動画へと広まり、やがて日常の様々なバッドマナーをコミカルに告発・啓蒙けいもうする動画に多用(「こんな迷惑なことをする奴は死んでしまえ。愛を込めて」というニュアンス)。


流行はいわゆる「迷惑系」動画にまで及び、「こんな迷惑なことをする自分(達)は死んでしまえ。愛を込めて」というニュアンスで用いられるようになり、この時期に投稿されたのが先述した暴行動画である。


動画は背景や音声から日本の市街地で撮影されたと目されている。


しかし投稿者のアカウントは*時間ほどで削除され、ほぼ全編が被害者の顔のアップであることに加え、楽曲のビートに合わせた様々なエフェクトのため詳細の解明には至っていない。


一方、映り込んだ加害者の腕に特徴的なタトゥーが見られ、このタトゥーが楽曲を歌うアイドルグループのメンバーの1人のものと一致するとの指摘もなされたため、SNS上で議論が紛糾。


グループの運営者がこれを否定し、法的措置を検討するとの声明と共に、メンバーの健康上の問題を理由にグループの解散も発表された。


さらにこの間、グループのファンやその関係者を名乗る複数のアカウントから、メンバーによる薬物使用や、ファンへの違法行為の強要被害を訴える投稿が散発した。


ところが動画の件も含めてメディア報道などは行われず、訴えの投稿も途絶えたので、騒ぎが忘れ去られた経緯がある。


その後しばらくして『La *-30』が発売。間もなく冒頭の通り、終盤の*の喚き声に、暴行動画の被害者の音声が用いられているのではないかと噂されて現在に至る。


とはいえ、『La *-30』はあくまで個人制作の海外インディーゲームで、噂も日本のSNS等の一部に限定されているとあって、制作者Perro Saltarínが噂を把握しているか不明で、今のところ言及はない。


それでもこの噂が根強く語られる理由の1つとして挙げられるのが、『La *-30』発売より1*年以上前のPerro Saltarínの*への投稿内容である。


■リアリティのある音響への志向 故・著名フォーリーアーティストの影響も


Perro Saltarínは当該の投稿で、フォーリー技術の中でもリアリティのある音響を追求する姿勢に強い関心を示した。


また、映画表現において日常生活のリアリティを重視する伝統を持つ*(国名)の著名なフォーリーアーティスト、故・--(人名)を尊敬しているとも述べている。


--は『*』シリーズなどのフォーリーアーティストとして知られるが、一部のホラーファンや音響マニアの間では別の作品でも名高い。


その作品とは短編映画『**』[3]。--の没後に発見され、晩年の自主制作と考察される、実際の事件の被害者の音声が用いられているのではないかと噂の作品である。


『**』は日暮れか夜明けの薄暗い住宅街を*が黙々と歩く内容。終盤に*の前方へ人影が見えてくると、*は人影の名前と思しき*性名を発しながら人影に向かって走り出す。


この時それまで映らなかった*の手元が、振りたくられる腕の残像として映り込む。刃物を握り締めているらしき輝きが見られるなか、*性の喚き声[4]が上がり終幕となる。


なぜこの内容が語り草になっているのか。


調べてみると--は、保護者であった親族の*性との間に確執を抱えていた。確執は*性からの児童虐待や就労後の金銭搾取などを含む深刻なものだったといわれている。


この*性が--の亡くなる*年前に住宅街の路上で殺害された。犯人は捕まっていない。


加えて『**』内の音響がまるで低品質なボイスレコーダーの録音のように粗くこもっており、またあまりに真に迫っていることから、実際に*性が殺害された時の音声が用いられているのではないかと憶測を呼んでいるのである。


ただし--が逮捕されておらず、『**』の発見後に捜査が行われた事実も認められない。このため、大部分のファンの間では、この憶測は単なる与太話に過ぎないと認識されている。


■共鳴する『**』と『La *-30』 真相は


それぞれ謎の多い『**』と『La *-30』だが、双方には共鳴する要素が少なくない。


片や薄暗い住宅街、片や不気味な道路というシチュエーションや、終盤に人の喚き声が上がる展開。作品全体を通して醸し出される不安定な居心地の悪さや、現実とのリンクを思わせる異様に生々しいフォーリーサウンドなどである。


こうした作品上の共通点に加え、Perro Saltarín自身がリアリティを追求するフォーリー技術や--への敬意を公言している。


このため一部ファンの間では、Perro Saltarínは『**』にまつわる噂を踏襲したオマージュ作品として『La *-30』を制作し、実際の被害者の音声を用いたのではないかとも推察されている。


この推察に基づく議論では、音声の元と噂される被害者と、制作者との関係が焦点となっている。


すなわち『**』の音声とされる親族の*性と--との間に確執があったように、『La *-30』の音声とされる被害者とPerro Saltarínとの間に、何らかの関係があったのかについてである。


Perro Saltarínの唯一露出している情報源は*アカウントの投稿だが、もっぱらゲーム制作に関する話題ばかりで、現時点でめぼしい内容は確認されていない。


筆者はさらなる情報を得ようとPerro Saltarínに取材を申し込んだが、期日までに回答を得られなかった。


■[PR]「いわくつき」インディーホラーゲーム、Steamで販売・予約受付中!


『La *-30』は、現在Steamで販売中。今冬発売予定の続編『La *-30: El Callejón』の予約も開始されている。


=====

[1] 映画などの映像に合わせて、日常の動作音を生で制作・録音する効果音の手法。音響制作者ジャック・フォーリーに由来している。

[2] 荒々しく無軌道な、非常に長い胴間声。話が通じないまま一方的に暴行され続け、抵抗するのに嫌気が差してしまい、心から腹を立てていた被害者の憤怒の声そのものと思われる。

[3] 発見後、関係者と見られる人物によりネットオークションに出品された。落札者はデンマークの70代*性とされる。200*年頃、海外発の動画共有プラットフォームに投稿された映像作品『¿Podría morirse, porfis?』内で、終盤の喚き声部分が、断片的に計8秒ほど確認されていた。作品は201*年頃にアカウントごと削除されている。

[4] 不規則に炸裂する、爆竹のようなつんざき声。突然のことに驚きながらも、いずれこうなるとどこかで予見し、即座に形勢を立て直そうとした被害者の迎撃の声そのものと思われる。


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