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悪役令嬢の宣言
王城の広間は、静まり返っていた。
貴族たちの視線が、私に集中する。
私は、わざと冷たい表情を作った。
「王太子殿下」
エドガーが、穏やかな微笑みを浮かべる。
「どうしたんだい、ルシア」
――その顔だ。
未来で、私を見捨てた顔。
「これ以上、私に関わらないでください」
ざわめきが起きる。
「あなたの善意は、迷惑です」
一線を越える言葉。
自分で、自分の居場所を壊す。
エドガーの表情が、初めて歪んだ。
「……君は、自分が何を言っているかわかっているのか?」
「ええ」
私は、はっきりと言った。
「私は、あなたの味方ではありません」
その瞬間、私は理解した。
――悪役令嬢とは、こういう役だ。
嫌われ、誤解され、
それでも選び続ける存在。




