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処刑された悪役令嬢、三年前に死に戻ったので王国ごと選び直します  作者: ピラビタ


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1/10

処刑台の上で

首に冷たい鉄の感触があった。


処刑台。

視界の端で、刃が鈍く光っている。


――ああ、やっぱりここに戻ってきたのね。


私は静かに息を吸った。

群衆のざわめきが、遠い波音のように耳を撫でる。


「王太子暗殺の罪により――」


高らかに読み上げられる罪状。

何度も聞いた言葉だ。忘れようとしても、夢にまで出てくる。


視線を上げると、王太子がいた。

私の元婚約者。

怯えたような顔で、けれど決してこちらを見ようとはしない。


……逃げるのね。最後まで。


かつて私は、この人を愛していた。

王国を、未来を、信じていた。


その結果が、これだ。


「何か、最後に言い残すことはあるか」


役人の問いに、私は小さく笑った。


言いたいことは山ほどある。

けれど、今さらだ。


「ありません」


そう答えた瞬間、刃が振り上げられる。


――もし、もう一度やり直せるなら。


そんな願いが脳裏をよぎった、その時。


世界が、反転した。





目を開けると、天蓋付きのベッドがあった。

柔らかなシーツ。朝の光。


「……?」


起き上がり、手を見る。

震えていない。血もない。


壁に掛けられた暦を見て、息を呑んだ。


三年前。

処刑される、三年前の朝。


「戻った……?」


喉から漏れた声は、掠れていた。


夢じゃない。

私は、死んで――戻ってきた。


胸の奥で、何かが静かに音を立てて壊れる。


もう、同じ選択はしない。


あの処刑台に、二度と立たないために。


私は、すべてを――選び直す。

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