表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

3-3. ジオルドルの緑化魔法




「技術をさらに進化させ、呪われた大地に息吹を吹き込むその具体的なプロセスを進めましょう」



街に人が集まり、資金も集まってきたところでシリルはさらなる計画を立てていた。


これは依頼の範囲を超えるが、シリルはさらなる最高を求めギルドマスターに期間の延長と追加の依頼を打診していた。まだ答えは来ないが、彼女はその返答が良い返事だろうと信じていた。




「ここまでくれば、食料も生産し、さらなる流通と経済の発展が見込める。ここは街からより大きい都市まで成長できる素質がある」


シリルはまたそれぞれに役割を与え、自身はその全てのサポートと調整に入る。

この辺境でわ現状の都市再構築計画の中枢はカグリナと、ナナーリカである。

二人の頑張りをみて、他のメンバーのモチベーションも高まっていた。





ナナーリカとの水路再建の成功を自信に変えたジオルドルは、その功績から「土の賢者」と呼ばれ、実力をついに全開にしていく。

無口な彼の姿は頑固な職人というように周囲からは見られており、彼を幼い頃から育ててきたナナーリカは我が子のように喜んでいた。



ジオルドルの新たな担当は砂漠の緑化。

緑化によるオアシスの建設と食材の育成は、ただ単に種をまくことではない。それは大地の深層から作り変えるものだった。



この砂漠の砂や土は、そもそもの気候のせいもあるが魔獣や魔物の害によって土地の魔力が変質し呪いのようになり、植物の根を腐らせる「死の灰」と化していた。




ジオルドルはまず、杖を大地に突き立て、数キロメートル四方の土壌解析ソイル・スキャンを行った。


ジオルドルは相変わらず口数は少なく、解析結果を手早く魔法でまとめると、ナナーリカに手渡した。



「変質した魔力の波長を特定。よし中和式を計算して、材料を調達しよう」


ナナーリカが呪いの魔力を彼女の水と氷の魔法で一時的に静止させた。その一瞬の隙に、ジオルドルが土魔法を発動。変質した魔力層を物理的に地下深くへと押し込み、代わりに深層にある清浄な原土を表層へと吸い上げる、大規模な大地反転グランド・フリップを行った。それによって正常な土と呪われた死の灰が混ぜられた。


「一時凌ぎだが、これで悪影響は薄まるだろう。早く薬の調合をしよう」



ナナーリカが薬を作る間、ジオルドルは土の粒子を一つ一つを魔法で加工し、水分と魔力を蓄えやすい呼吸する土へと少しずつ作り変えていった。



また彼は砂漠の砂を高温精錬した際に出る副産物(カグリナの炉の灰)を肥料として混ぜ込み、植物が急成長するために必要な魔導栄養素を土壌に定着させたいった。



そのうちナナーリカの中和剤が完成し、広域水魔法で撒いていく。




「全てに浸透するまでは時間がかかるが一週間もすればいい土地に変わるだろうね」


ナナーリカは嬉しそうに微笑み、早くも畑の支度に精を出していたジオルドルの背を叩いた。





土壌が整うと、次は命の種まきとなる。ここでゲイルとの連携が光る。



ナナーリカとジオルドル、ゲイルの3人で畑作業はスタートした。


「ゲイル、種の『ゆりかご』をお願いしよう」



「任せてください! 風の膜で種を保護しながら、最適な場所へ運びます!」



ゲイルが巻き起こす微風に乗せ、ジオルドルが魔法で特別に品種改良した魔導種を散布。この種は、大気中のわずかな魔力を吸収して数時間で発芽する特殊なものだった。



「私も出番だね!」


種まきの後はナナーリカの水魔法で雨を降らせ水を撒いた。魔力を含む水は種の成長を促し、一気に発芽していく。



種が地面に触れた瞬間、ジオルドルは植物成長加速プラント・ブーストを重ね掛けし、荒野を一瞬にしてエメラルド色の草原へと変えていった。






ジオルドルの緑化の真骨頂は、その持続性にあった。


彼は土壌改善を少しずつ拡大して街の周囲を取り囲むように作った。そしてリオヴェン包囲網をひと回り大きく囲うように、特殊加工した苗木を円状に植えた。



「この木々が、大気中の毒を吸い込み、地下の清浄な水へと変換する『フィルター』になる。とジオルドルは言いたいみたいだよ」


ナナーリカが代わりに話していた。



この緑の帯は、外敵を防ぐ物理的な壁であると同時に、土地に渦巻くの呪いを永続的に浄化し続ける生きた魔導装置となっていく。




街を囲む土壌改善の全ての作業を終えたジオルドルは、膝をつき、芽吹いたばかりの小さな双葉を優しく撫でた。



「……ナナーリカ。ありがとう」


「……ええ、私も頑張ったけどあなたの活躍が一番でしょ! もっと喜びなさい!」



ジオルドルの温厚な人柄と、大地に対する深い慈しみ。それが、知識や破壊の魔法だけでは決して成し遂げられない「再生」を可能にした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ