8話
「君ねぇ……」
思わずため息が出てしまう。
「心配いらないって!俺が教えてやるからさ」
とカイル君は目を輝かせて私を見ている。
(そんな目で見ないでもらいたい……)
私は頭を抱えた。
(しかしどうしたものか……)
私が悩んでいると、ロゼさんが申し訳なさそうに声をかけてきた。
「あの……タクミさん、もしお嫌でしたら無理にとは……」
どうやら彼女は私のことを考えてくれているらしい。
(ありがたいことだな)
私は素直にそう思った。
しかし困っているのも事実だったわけですぐに答えを出すことはできなかった。
しばらく悩んだ後、私はロゼさんに告げた。
「ロゼさん、カイル君。私のような何もわからない新人冒険者でも受け入れてくれる仕事場があれば教えていただけないでしょうか?」
すると二人は顔を見合わせて喜んだようだった。
「はい!」
と元気よく返事をしたロゼさんはすぐに冒険者ギルドの職員に連絡してくれたのだ。
(やれやれ、仕方あるまい)
こうして私はカイル君の案内で冒険者ギルドへと向かうことになったのだった。
そこは大きな酒場のような建物だった。
(ここがギルド?)
てっきり酒場だと思ったらまさかのギルドだった。
(こんな場所にあるのか……)
私は戸惑いながらもカイル君とロゼさんに続いて建物の中に入った。
中は思ったよりも広く、大勢の人で賑わっていた。
(おお!すごい熱気だな)
辺りを見渡しながら奥へと進んでいくと、受付らしき場所に若い女性が立っていた。
「おはようございます!本日はどういったご用件ですか?」受付嬢と思われる女性が笑顔で尋ねてきた。
「実は俺達、冒険者になろうと思ってさ」
とカイル君が言うと、受付嬢は一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔に戻った。
「承知しました!ではこちらの書類に必要事項を記入してください」